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第1章
秘密
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「秘密?」
クラウス殿下は立ち止まり、ゆっくりと振り返った。
「なんの?」
彼の目は先ほどとは違い、寒風吹きすさぶかのような冷たさだった。
私の背筋が凍る。
「適当なことを言っているなら、弟の婚約者であろうが容赦はしない」
ヤバいヤバいヤバい。
どうしよう。
完全に怒らせちゃった。
クラウス殿下は、剣を抜いて私に剣先を向ける。
「ひっ」
私の口から、思わず悲鳴が漏れ出た。
「グラシア嬢、君は私に無礼を働くつもりかい?」
「と、とんでもありません……っ」
私は全力で否定する。
ヤバいって。
この男、マジで怖いんですけど。
めちゃくちゃキレてんじゃん。
さすがに、こんな場所であっけなく死にたくない。
まだ復讐も果たしていないのに。
私は深呼吸し、どうにかして態勢を整える。
「……この場で申し上げても良いんでしょうか?」
「……チッ」
殿下は軽く舌打ちをする。
ここは、城の中の客室。
クラウス殿下の部屋ではない。
客室は1階にあり、外では城で働く様々な人たちが行き交いしている。
その中で秘密の話をするなど、
「聞いてください」
と、周囲に向かって公言してるようなものだ。
「……わかった」
第一王子はそう言って、剣を収めた。
「ついてきてくれ、私の部屋にまで」
「はい」
私は立ち上がる。
「言っておくが」
殿下はギロリと私を睨んだ。
「その『秘密』というものが、もし取るに足らないものであれば、どうなるかわかっているだろうね」
私は無言で頷く。
ーーだが。
殿下、ちょっとわかりやす過ぎないか?
そんな態度取れば、誰だって、
「ああ。殿下、なんかヤバいことしてるんだな」
と思ってしまう。
あんまりこう、駆け引きに向いていない性格なのかもしれない。
クラウス殿下は立ち止まり、ゆっくりと振り返った。
「なんの?」
彼の目は先ほどとは違い、寒風吹きすさぶかのような冷たさだった。
私の背筋が凍る。
「適当なことを言っているなら、弟の婚約者であろうが容赦はしない」
ヤバいヤバいヤバい。
どうしよう。
完全に怒らせちゃった。
クラウス殿下は、剣を抜いて私に剣先を向ける。
「ひっ」
私の口から、思わず悲鳴が漏れ出た。
「グラシア嬢、君は私に無礼を働くつもりかい?」
「と、とんでもありません……っ」
私は全力で否定する。
ヤバいって。
この男、マジで怖いんですけど。
めちゃくちゃキレてんじゃん。
さすがに、こんな場所であっけなく死にたくない。
まだ復讐も果たしていないのに。
私は深呼吸し、どうにかして態勢を整える。
「……この場で申し上げても良いんでしょうか?」
「……チッ」
殿下は軽く舌打ちをする。
ここは、城の中の客室。
クラウス殿下の部屋ではない。
客室は1階にあり、外では城で働く様々な人たちが行き交いしている。
その中で秘密の話をするなど、
「聞いてください」
と、周囲に向かって公言してるようなものだ。
「……わかった」
第一王子はそう言って、剣を収めた。
「ついてきてくれ、私の部屋にまで」
「はい」
私は立ち上がる。
「言っておくが」
殿下はギロリと私を睨んだ。
「その『秘密』というものが、もし取るに足らないものであれば、どうなるかわかっているだろうね」
私は無言で頷く。
ーーだが。
殿下、ちょっとわかりやす過ぎないか?
そんな態度取れば、誰だって、
「ああ。殿下、なんかヤバいことしてるんだな」
と思ってしまう。
あんまりこう、駆け引きに向いていない性格なのかもしれない。
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