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本部侵攻編
#13 閑話
しおりを挟む魔法大臣大道克己が長官として指揮する魔道士部隊BEEMsは選りすぐりの魔道士集団である。
隊員の殆どがランキング二十位以内に入り、隊長である景山フクリは第五位の実力者。
そんな彼は、ステージから降りるとユウキ達の元へと歩み寄ってきた。
「おう、フクリ」
「お疲れ様、フクリ」
彼ら三人は幼馴染み。
中学時代、共に時定の下で特訓し、競い合った。
頭文字を取ってK'sなんて呼ばれていたが、現在も三人は頭を並べるトップ魔道士。
「ユウキ、君の祖父はなんなんだ、仕事を増やさないで欲しいな」
「全くだよ」
「いいじゃねぇか、時定さんらしいぜ」
フクリは『【風魔法】の完成系』と呼ばれ、そのクールな性格と整った顔立ちから、男女両方から人気がある。
「フクリ、この二人が今回参加してくれるインターン生だよ」
ユウキがカレン達を紹介する。
「火ノ花さんと風凪さんだね、よろしく頼む」
二人は恐縮ながらも握手を交わし、よろしくお願いします、と頭を下げる。
「火ノ花です、面接で一度お会いしました」
来期からBEEMs所属になる二人にとっては顔見知りの様なものだった。
「フクリ、この作戦中風凪さんを頼めるかな、彼女お前の同じ【風魔法】が適正なんだ」
「そうか……わかった、善処しよう」
フクリは冷たいながらも確かに感じる優しさを含んだ笑顔をアイリに向けて方に手を置いた。
それが嬉しかったのか、アイリは万遍の笑みを浮かべる。
「ありがとう……ございます、実は景山さんにはずっと憧れていて、景山さんの技はどれも使いやすくてすごいなぁって」
ユウキが魔法剣を使う時に使用する【穿風】という技も元はフクリの技である。
「フクリが面倒みるのか? 無理無理、コイツら三人集まったら意地張ってすぐ突っ走ってくんだよ」
「「お前だろ」」
二人に盛大にツッコミを入れられたアキラはガハハ、と豪快に笑っている。
カレンがふと周りに目をやると、竜胆やカズハの姿はなく、班長に指名された者らしく班員との親睦を深めに行ったようだ。
アンコは、と言うと、丁度どこからか見つけてきた時定を引っ張って来ていた。
「ユウキくん、先生叱ってよ、また出しゃばって」
連れてこられた時定はオドオドと、先程の発言から感じた威厳さは全くもってない。
「いやいや、私はちゃんと筋を通して……」
「そうだよ、じいちゃん、あんまり大道さんを困らせちゃダメだ」
ユウキにも叱られ、しょぼんとする時定。
「筋……ですか?」
カレンが尋ねると、よくぞ聞いてくれました、と言わんばかりに自信満々に話し始めた。
「いやね、突入には愛弟子四人がいるし、カレンちゃんもアイリちゃんもこの前の一件を鑑みれば、十分戦力になる、ならば突入は質より量! 私が魔獣を請け負って専念してもらうと思ったんだよ」
「はぁ、それで……」
ルンルン、と指を回す時定だが、またもユウキの厳しい言葉が飛んだ。
「だとしても、花火はないでしょ、恥ずかしいよ、孫として」
「ほんとうよ、目立ちたがりなんだから」
アンコがユウキに続く。
「いや、まぁ、克己に気づいてもらうにはあれが一番だったし、後からでも時間がなかったから……」
徐々に声のトーンが下がり、最後には弟子に向かって謝る"最強"がそこに居た。
かくして、各々が作戦の確認と準備に入り、『旧暦信仰東都本部突入作戦』が決行を迎える。
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