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第二章 地帝国生活編
第三十三話 バトル②
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「それじゃあ、ぼちぼち力入れていくかな?」
「なっ!」
その一言は、最初から全力で勝負をしていた人間にとっては想定外以外の何物でもなかった。
リーダーは、何の変哲もないただの蹴りで人一人を失神させたのに、まだまだ底の見えない男に恐怖を抱いた。
同じように腰をすえても多分逃げるだろうから次はスピード重視だな。
真正面にでると予想通りに逃げたが、その後ろに回り込み首筋に手刀を打ち込んだ。医療系や動物や人の体に興味を持っていたヒロキにとっては、頚動脈の場所などほとんど手に取るように分かっていた。
簡単に気絶し、あとに残ったのはもう勝てないという絶望感が漂う空間だった。
「こ、降参で、す・・・・・!」
「そうか。すまない、危うくお前も気絶させるとこだった」
降参を宣言した女は、リーダーについでの実力者らしい。
『な、なんとぉ!副リーダーが降参を宣言!なんと、圧勝!無傷で、完・全・勝・利!!うぉおおおおおおお!掛け率60:1を、覆しましたあ!!』
え?掛け率って何?ま、いいか。
『ヒロキ選手、このまま次の試合へと進みますか!!』
「じゃあ、そうします」
『余裕!完全に余裕!汗一つかかないこの異常な人物に、次のチームは勝てるのか!?では、第二回戦!次の相手チームを紹介します!はるばる異世界からきてくださった、今回の優勝候補の一組!37名の『真の勇者』です!キャ~~~~~!!!』
・・・・・・は?確か俺がいたクラスは38人だったな。俺から誰も死んでないとしたら37人か。うーん。ちょっとメンドクサイな。
「ふーん。頭にくる顔をしているな『目無し』」
「?どういうことですか?」
知らなかったことのように疑問符を使う。てか、リーダーは大志かよ。ないわー。予想通りとかないわー。
「ちっ。声までそっくりか。お前が、俺の進んでいる道をとことん邪魔をして先を進んでいくバカ野郎にそっくりなんだよ。だが、お前は(穢れた)獣人だ。あいつではないことは確かだ」
「(・・・・・・穢れた獣人?)」
うわー、腹たつなあコイツ!この場にも結構獣人は居るのに。俺にしか聞こえないような声でふざけたこと抜かしやがった。
『掛け率が判明しました!80:1!?え!?うそ!?こんなに差があったの!?すごい!あ、では、第二回戦、スタートです!』
「『天空大斬波』!!」
透明な魔力の塊が、大志があの聖剣?を振るった時に飛んできた。
「貧弱」
腕ではじく。そのまま方向を変えて飛んでいくかと思ったが、その場で砕けて少しダメージを受けてしまった。
て、いやいや。それは問題じゃない。問題はその魔力の塊がぶつかった時の衝撃で包帯が取れてしまったことだ。
ここで包帯で目を隠していた理由を話そう。
普通に目を晒していると、何も関係ない通行人の考えまで頭の中に入ってくるのだ。それだけならまだいいが、俺の脳みそのサイズは普通の人間と変わらない。
つまり、膨大な情報量に頭が耐え切れないのだ。光速思考を使えばどうにかなると思ったが、更に頭に負担がかかり、しばらく自然回復するまで脳を休めなければいけない羽目になってしまったのだ。
竜眼は魔力を違うエネルギーに変えて使うものだ。つまり、目へ通る魔力を変質させなければいい。のだが、この方法はリミットがある。15分が限界で、それを超えれば眼球にダメージが入る。 このダメージは簡単に言えば、常に目を指でつかれ続けるような感じだ。
『おおーっとぉ!包帯で隠していた顔が、今、この場で晒されたぁ!!て、え!?イケメン!!』
うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
ヤッチマッタ感半端ない。
「お前、どういうことだ?」
「あーやっちまった。最悪。よりにもよってお前らが相手のときとか。完全にばれた」
「お前か!そうだったんなら、さっさと死ねぇ!!」
よし、相手から来てくれた、ラッキー。単なる突進と突きの複合技みたいだな。
なら、半回転、顎を膝でかちあげ、上に上がってきた顔を肘で叩き落す。まだ意識があるようなので、ミドルキックで吹き飛ばす。
次に弓矢を持って後ろにいた女。クラスメイトだったらしいけど、眼がうつろになってる気がする。から、『浄化』を乗せた軽い突きで殴り飛ばす。
やっぱ操られてるかもしれないと思うと助けたくなるじゃん?ね?
で、次は――――――
―――――よし、終了!
『な、なんとおおおおおお!!大番狂わせ!ななななんと、勇者のチームに、たった一人で勝ってしまったああああああ!!!』
あーつかれた。予備の包帯、もってきといて正解だった。
でも、つっかれたなあ。あいつら全員変なスキルで攻撃してきたり妨害して来るんだもん。それに、妨害とか攻撃を避けたら『避けるな!』とか言われるし。
普通妨害とかされたら避けるよね。攻撃されたら避けるでしょ。
『このまま第三回戦、ていうかあと6チームありますけど、このまま全部突破しますか!!?』
「いえ、流石に疲れたので、休ませていただきます」
『と、言うわけで!つぎは―――――』
明日も続きかあ。今日でチームは半分以下になったから、俺を含めてあと4チームか。あと二回勝利すればいいな。がんばろう!
「なっ!」
その一言は、最初から全力で勝負をしていた人間にとっては想定外以外の何物でもなかった。
リーダーは、何の変哲もないただの蹴りで人一人を失神させたのに、まだまだ底の見えない男に恐怖を抱いた。
同じように腰をすえても多分逃げるだろうから次はスピード重視だな。
真正面にでると予想通りに逃げたが、その後ろに回り込み首筋に手刀を打ち込んだ。医療系や動物や人の体に興味を持っていたヒロキにとっては、頚動脈の場所などほとんど手に取るように分かっていた。
簡単に気絶し、あとに残ったのはもう勝てないという絶望感が漂う空間だった。
「こ、降参で、す・・・・・!」
「そうか。すまない、危うくお前も気絶させるとこだった」
降参を宣言した女は、リーダーについでの実力者らしい。
『な、なんとぉ!副リーダーが降参を宣言!なんと、圧勝!無傷で、完・全・勝・利!!うぉおおおおおおお!掛け率60:1を、覆しましたあ!!』
え?掛け率って何?ま、いいか。
『ヒロキ選手、このまま次の試合へと進みますか!!』
「じゃあ、そうします」
『余裕!完全に余裕!汗一つかかないこの異常な人物に、次のチームは勝てるのか!?では、第二回戦!次の相手チームを紹介します!はるばる異世界からきてくださった、今回の優勝候補の一組!37名の『真の勇者』です!キャ~~~~~!!!』
・・・・・・は?確か俺がいたクラスは38人だったな。俺から誰も死んでないとしたら37人か。うーん。ちょっとメンドクサイな。
「ふーん。頭にくる顔をしているな『目無し』」
「?どういうことですか?」
知らなかったことのように疑問符を使う。てか、リーダーは大志かよ。ないわー。予想通りとかないわー。
「ちっ。声までそっくりか。お前が、俺の進んでいる道をとことん邪魔をして先を進んでいくバカ野郎にそっくりなんだよ。だが、お前は(穢れた)獣人だ。あいつではないことは確かだ」
「(・・・・・・穢れた獣人?)」
うわー、腹たつなあコイツ!この場にも結構獣人は居るのに。俺にしか聞こえないような声でふざけたこと抜かしやがった。
『掛け率が判明しました!80:1!?え!?うそ!?こんなに差があったの!?すごい!あ、では、第二回戦、スタートです!』
「『天空大斬波』!!」
透明な魔力の塊が、大志があの聖剣?を振るった時に飛んできた。
「貧弱」
腕ではじく。そのまま方向を変えて飛んでいくかと思ったが、その場で砕けて少しダメージを受けてしまった。
て、いやいや。それは問題じゃない。問題はその魔力の塊がぶつかった時の衝撃で包帯が取れてしまったことだ。
ここで包帯で目を隠していた理由を話そう。
普通に目を晒していると、何も関係ない通行人の考えまで頭の中に入ってくるのだ。それだけならまだいいが、俺の脳みそのサイズは普通の人間と変わらない。
つまり、膨大な情報量に頭が耐え切れないのだ。光速思考を使えばどうにかなると思ったが、更に頭に負担がかかり、しばらく自然回復するまで脳を休めなければいけない羽目になってしまったのだ。
竜眼は魔力を違うエネルギーに変えて使うものだ。つまり、目へ通る魔力を変質させなければいい。のだが、この方法はリミットがある。15分が限界で、それを超えれば眼球にダメージが入る。 このダメージは簡単に言えば、常に目を指でつかれ続けるような感じだ。
『おおーっとぉ!包帯で隠していた顔が、今、この場で晒されたぁ!!て、え!?イケメン!!』
うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
ヤッチマッタ感半端ない。
「お前、どういうことだ?」
「あーやっちまった。最悪。よりにもよってお前らが相手のときとか。完全にばれた」
「お前か!そうだったんなら、さっさと死ねぇ!!」
よし、相手から来てくれた、ラッキー。単なる突進と突きの複合技みたいだな。
なら、半回転、顎を膝でかちあげ、上に上がってきた顔を肘で叩き落す。まだ意識があるようなので、ミドルキックで吹き飛ばす。
次に弓矢を持って後ろにいた女。クラスメイトだったらしいけど、眼がうつろになってる気がする。から、『浄化』を乗せた軽い突きで殴り飛ばす。
やっぱ操られてるかもしれないと思うと助けたくなるじゃん?ね?
で、次は――――――
―――――よし、終了!
『な、なんとおおおおおお!!大番狂わせ!ななななんと、勇者のチームに、たった一人で勝ってしまったああああああ!!!』
あーつかれた。予備の包帯、もってきといて正解だった。
でも、つっかれたなあ。あいつら全員変なスキルで攻撃してきたり妨害して来るんだもん。それに、妨害とか攻撃を避けたら『避けるな!』とか言われるし。
普通妨害とかされたら避けるよね。攻撃されたら避けるでしょ。
『このまま第三回戦、ていうかあと6チームありますけど、このまま全部突破しますか!!?』
「いえ、流石に疲れたので、休ませていただきます」
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