強運と幸運を持ったガチャ好きな召喚者は目標が無いので最強を目指してみた

第一章 奔走冒険者編

第十話 魔法

　「で、ここか？」
　「ああ。ここが私の別荘だ。明後日の会議までここで休んでおけ。それと、世界会議は世界中の『王』と呼ばれる者達が集まる場所だ。とりあえず準備はしておけ。正式な魔王ではないにしろ、魔王としてはすでに認められているからな」

　認められている、か。14歳児にいわれてもなー。ていうか、服装が明らかに日本のチャラい女子なんだよ。
　なんか黒い渦巻きが右脇腹部分に書かれている白いシャツ。ジーパン。で、もともと持っていたものの中でかろうじて残っていた耳飾。それだけ。

　「あーめんどくさい つかれた のんびりしたい 会議なんて出たくない だれか俺の身代わりになってほしー」

　溜まりに溜まった不満をぶちまける。森の中に有る屋敷のリビングのソファに倒れこんでぐだぐだする。
　誰もいない屋敷で何を言ってもつまらねーなー。ヒマなことこの上ない。

　「とりあえず、気体支配と液体支配。この二つは今後の生活の中心になるだろうから、もっとよく知っておかないと･･････」

　ソファから見えた窓の外にオレンジ色に染まっていく夕暮れの空が見えた。

　「そういえば光平は･･････あいつらはどうしてるかな」

　感傷的になるなんて俺らしくない。こっちの世界に来てからはかなり性格も変わったような気がする。以前と比べると高慢になった。
　召喚されて、国に喧嘩売って、逃げ出して、魔王（仮）になって。
　あーやめやめ。こんなこと考えてもどうにもならない。もっと力を付けないとすぐにお陀仏だ。
　やっぱり声に出したほうが操りやすいのかな？技名とか付けたらカッコいいな。

　「･･････流鉄の盾」

　おお。溶けた鉄の盾か。これはいい。今日中にがんばっていくつか名前（？）を付けるか。
　でも、流鉄の盾じゃあ防御力は低そうだなあ。
　物理攻撃は速さで逃げられるし、いざとなれば昇天脚で緊急離脱すればいいし。魔法攻撃に対しては気体支配を応用すれば何とかなりそうだなあ。
　ギュィィィイイン･･････

　「！？」

　な、なんだ今の！？ってそうじゃなくて、誰！？

　「はじめまして。ベルナ様に仕えておりました、リマでございます。何なりとお申し付けを」

　赤い髪の毛。赤い眼。メイド（？）姿。おしとやかな雰囲気を漂わせている
　 大 馬 鹿  ベ ル ナ の バ ッ カ や ろ ー が ー ･ ･ ･ ･ ･ ･ 。
　あいつには今度地獄見せるとして、これは一体どう言うことだよ･････････。

　「えーと。何でここに？どうやって来た？」
　「ベルナ様の命令でヒロキ様に仕えるように と申されまして、王城と別荘をつなぐ転移装置を使ってまいりました。他に質問はございますか？」

　つ、仕えるようにって、俺何も言ってないぞ･･････。
　ベルナには地獄を見せるんじゃなくて地獄に突き落とすことになりそうだな。
　えーと、とりあえず今聞きたいことはわかった。あとは･･････魔法の知識かな？

　「色々言いたいことはあるけれど、まずは魔法の常識からかな」
　「はい、それについてはこの書類に全て記載されております。お読みしましょうか？」
　「いや、自分で読む。その間は有る程度自由に暮らしてていいよ」

　書類を受け取り、ソファに座って読み始めた。


　　　魔法に関する書類
　魔法は、一般的には魔力を変換して詠唱・イメージ・魔法陣のいずれかを通して発生させるものである。魔法の格は最下級・下級・中級・上級・最上級・帝王級・魔王級となっている。

　　　　詠唱発動
　詠唱で発動させる際には、加護や称号が無い限り誰が使用したとしても消費魔力が変動することは無い。しかし、詠唱を暗記し、同時に魔力を集めなければ発動できない。
　　　　無詠唱発動（イメージ発動）
　無詠唱と呼ばれるイメージで発動させる場合は、想像力しだいで消費魔力を抑えられる。だが、詠唱魔法とは桁違いに消費魔力が大きく、そして発動までの時間が短い。
　　　　魔法陣発動
　魔法陣を使用する際には、妖精、または精霊などの精神生命体との契約が必須である。そして魔法陣を物体に描き魔力を流すことで消費魔力を最小限に抑え、かつ最大限の威力で発動できる。が、魔法陣のサイズに威力は左右され、時間がかかる。

　　　　魔法格
　最下級魔法は、一般国民でさえ使える。
　下級魔法の魔法は学園などで習うことで使えるようになる。
　中級魔法は冒険者系の職業を持つ人のほとんどが習得するもの。
　上級魔法は才能があり、更に何度か職業のランクアップした人が習得できる。
　最上級魔法にいたっては、上級魔法を使えるものが五人以上が集まらなければ発動できない。その上消費魔力が異常な量なので、魔法陣を使わなければほとんどの使用者が魔力欠乏で死に至る。
　帝王級魔法は、国が許可を出さなければ使用できない。超大型魔法陣を使用した上で、比較的魔力量が多い人材を数百人を集めることで使用が可能となる。
　魔王級魔法は、魔王の半分以上が全力を出すことで使える魔法である。使用するには、複数の国家がそれに見合うものを魔王達に支払わなければならない。

　　　　ユニークマジック（固有魔法）
　生まれつき持ち合わせている特殊な魔法。ユニークスキルよりも強力だが、制御難度が高く、暴走し使用者が死亡するケースが多い。だが、これを操れる者に関しては、国民として認められているだけで国からの支金が送られる。


　はー。疲れた。こんなもんかー。
　要するに、めんどくさいって言うことはわかった。
　魔法なんかいやだよー。魔法を習得する前にスキルを習得したいよ。
　ま、がんばるか。