魔導師として宮廷入りしたので、そのお仕事はお引き受けしかねます!

一花カナウ

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6:魔導師として宮廷入りしたので、やれることだけやってみます!

緊急事態です! 2

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 ベッドのそばに来るようにと招かれるが、彼女の裸が気になって近づけない。女同士ではあるが、アルフォンシーヌが羨む大きな胸とハリのある尻を持つモニックは直視しづらい。

「うーん……そうねえ。勃たせるのは大変だと思うわよ。男って、視覚的に興奮することが多いから、寝ている状態では、ね」
「どんな方法でもいいんです。媚薬もあります。どうにかなりませんか」
「うまくいくかはわからないけど――」

 モニックは丁寧に手順を教えてくれる。聞いていると特別なことはそんなにないように思えたが、アルフォンシーヌは必死に覚えた。

「……魔法はないんですね」

 テクニックばかりなのが気になって、アルフォンシーヌはぼやく。

「今のメルには魔法が効かない可能性が高いからね。反発されたら面倒だし。――ま、あたいも廊下で待機してあげるから、やれるだけやってみなさい」

 モニックは片目を瞑ってアルフォンシーヌを励まし、やっと服を着た。

「そうですね……」

 うまくいくと信じるしかない。
 アルフォンシーヌはモニックとともにメルヒオールの眠る部屋に戻った。




 見学がしたいと駄々をこねるリシャールをモニックは隣の空き部屋に誘導し、いよいよメルヒオールと二人きりになった。

「メルヒオールさま、あたし、頑張りますから……起きたら褒めてくださいね」

 ゆるく波打つ赤い毛をお団子にして高い位置にまとめる。そして制服を脱ぎ始めた。

 ドキドキする……。

 彼の前で自分から服を脱ぐことがあっただろうか。着替えは別として、交わりの前に服を脱いだのは初めてのような気がする。
 脱いだ服は丁寧に畳んでテーブルの上に置いた。メルヒオールのトラウザーズや下着もその隣に畳んで並べる。
 全裸になり、一呼吸。
 改めてメルヒオールに掛けられていた毛布をのけ、彼が着ているシャツのボタンを外していく。完全に脱がすのは無理だが、はだけさせることはなんとかできた。
 アルフォンシーヌはベッドに上り、彼の腰のあたりに跨る。体重をかけないように気をつけながら、上体を倒して口づけをした。

 メルヒオールさま、起きてください……。

 汗ばんだ胸元に自分の小さな胸を押し付ける。

 温かい……。

 肌が触れ合うだけでも気持ちが良かった。
 こうして触れることでも、互いの魔力は交換される。それは行為と比べたら微々たるものではあるが、裸でのふれあいから拒絶反応がないことを確認する上では重要だ。特に、強大な魔力を持つ魔導師たちならなおさら。

「はぁ……」

 いつも余裕がなくなるような行為ばかりだったので、自分のペースでするとつい堪能してしまう。それどころではない状況であることを忘れてしまう。

 しかし、モニックは言っていた。
 施術だと割り切るのではなく、いつも以上に相手を思いやり、慈しみながらしなさい、と。
 彼女は重要な仕事を任されたプレッシャーを感じさせないために告げたのかもしれないが、アルフォンシーヌにとってはとてもありがたいアドバイスだった。

「メルヒオールさま……」

 大好きという気持ちを込めて、何度も口づけを施す。やがて舌で彼の薄い唇を割って、歯列をなぞる。ゆっくりと、丁寧に。頑張って舌を伸ばし、メルヒオールの舌に絡ませた。

「んっ……んんっ……」

 声が漏れたときには拒まれたかと思ったが、そうではなかったようだ。応じるほどではないが、彼の舌も動いてくれた。
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