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5:魔導師として宮廷入りしたので、襲撃されても怯みません!
馬車の中という密室で 2
しおりを挟む今すぐ馬に乗り換えたいとアルフォンシーヌが切実に願っていると、リシャールがポンと手を叩いた。
「よし。次の休憩場所までは長いですし、私を楽しませるつもりで交わってください」
「何を言いだすんですか、殿下」
真顔ですぐさま突っ込んでしまった。笑えない。
メルヒオールのため息が聞こえる。
師匠、文句くらい言ってよ!
馬車に乗ってからメルヒオールは無言だ。不機嫌そうなのはいつものことといえばそうなのだが、険悪な空気はいつもより増している。
「二人は師弟とはいえ、そういう関係なんですから構わないでしょう? 一昨日見せていただいたくらい激しいものがいいですね」
爽やかな笑顔で告げるような台詞ではないとアルフォンシーヌは思うが、ここで何か言い返したら負けのような気がする。
「私とやれと言っているわけじゃないんですよ。それに、混ぜろと言っているわけでもありません。ただの暇つぶしなんですから、要求に応じてくれませんか?」
「お断りします」
殿下と交わるのも、混ざってくるのも論外だ。そして、暇つぶしにしてはひどい要求である。
リシャールは残念そうな表情を見せた。
「では、脱ぐだけでも。ほら、馬車に三人もいるから暑くなってきたでしょう?」
「でしたらここを出るだけです。それに……色気もない小娘の裸を見て何が楽しいんですか」
彼が何を考えているのかわからない。それこそ暇つぶしにアルフォンシーヌをからかっているとしか思えないので、真面目に相手をする方が阿呆なのだろう。
ため息まじりに返してやれば、リシャールは首を傾げ、目を瞬かせた。
「え? メルと交わっている君はとっても色気があって美しかったですよ。純真無垢な印象の裸体が、あれほど乱れるなんて想像できませんでしょう? ああ、また見たいなー」
純真無垢……。
幼児体型といっても差し支えがなさそうなこの身体をうまく表現したものだな、などとアルフォンシーヌはつい感心し、しばし黙る。
その沈黙に、押せばいけるとでも考えたのか、リシャールはニコニコしながら言葉を続けた。
「そういうわけで、アルちゃんは充分に魅力的です。脱ぐか交わるかの二択でわかりやすいでしょう? どちらがいいですか?」
「勝手に二択にしないでください。それに、この制服には魔法耐性や補助もあるのです。脱いだら警護に差し支えが出ますよ。よって、お断りいたします」
アルフォンシーヌは胸を張ってきっぱり言ってやった。
制服には着る人に合わせた魔法が込められている。それぞれ専用の制服があり、他の人のを借りることはほとんどない。研修生は一律で同じ制服を着てはいるが、城外での課題実習や、こういう実践の場では宮廷魔導師たちのように専用のものとなるのだ。
「アルの制服には、魔法はかかっていませんよ」
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