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3:魔導師として宮廷入りしたので、これは予期せぬ事態です。
師匠が優しいなんて、つまりそういう…… 1
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遠くから愛しい人の声が聞こえる。
「……アル……目を覚ましてください、アルフォンシーヌ」
ああ。あたし、眠っているのか……。
心地よい魔力を肌で、そして体内で感じて、もう少しこのままでいたいだなんて願ってしまう。
「起きて、俺の名前を呼んで、笑って……アル、君に会いたい……」
切実な声は彼らしからぬ気がした。
ちょっと深く眠りすぎただけのことで、そんな声を出さなくてもいいのに。
心配しすぎな彼を笑ってやろうと、アルフォンシーヌは目をゆっくり開ける。
視界がぼやけていた。陽の光のような長い金色と、白っぽい中に空の青さよりもずっと深い青い点が二つ。焦点が定まっていくと、それらは眼鏡をかけた美青年の顔を形造った。
「メルヒオール……さま?」
「アルっ!」
いきなりぎゅっと抱き締められた。
え、何?
この反応は想定外だ。そしてメルヒオールの必死な声を聞いたのが初めてであることに、彼の温もりを感じながら驚いていた。
ここは馬鹿にして、小言が始まる場面じゃないの?
キョトンとしているアルフォンシーヌを抱き締める腕に力がこもる。
「アルフォンシーヌ……もう目を覚まさないのかと思った……ここで君を失ってしまうのではないかと……本気で……」
頭を撫でられ、かと思えば情熱的な口づけをされた。メルヒオールの魔力が流れ込み、アルフォンシーヌは素直に受け取る。
絡み合った舌が離れると、アルフォンシーヌは苦笑する。
「そんな大仰な。気絶していただけでしょう?」
よくあることではないか――そう感じたとき、自分がどの状況で気を失ったのかを覚えていないことに気づいた。
あたしはどうして気絶していたんだっけ? それに、ここにメルヒオールさまがいるのは変じゃない?
軽い痛みが残る頭で記憶を遡る。
えっと……メルヒオールさまは仕事で城外に出ていて、あたしは留守番で……。
彼には指令書が来ており、その仕事のために数日留守にすることになっていたはずだ。アルフォンシーヌ自身が覚えている範囲で数えれば、今は見送った日の翌日にあたる。メルヒオールが戻るにはまだ日があるはずで、だから彼が自分のそばにいるのはおかしいだろう、とアルフォンシーヌは結論づける。
「……アル……目を覚ましてください、アルフォンシーヌ」
ああ。あたし、眠っているのか……。
心地よい魔力を肌で、そして体内で感じて、もう少しこのままでいたいだなんて願ってしまう。
「起きて、俺の名前を呼んで、笑って……アル、君に会いたい……」
切実な声は彼らしからぬ気がした。
ちょっと深く眠りすぎただけのことで、そんな声を出さなくてもいいのに。
心配しすぎな彼を笑ってやろうと、アルフォンシーヌは目をゆっくり開ける。
視界がぼやけていた。陽の光のような長い金色と、白っぽい中に空の青さよりもずっと深い青い点が二つ。焦点が定まっていくと、それらは眼鏡をかけた美青年の顔を形造った。
「メルヒオール……さま?」
「アルっ!」
いきなりぎゅっと抱き締められた。
え、何?
この反応は想定外だ。そしてメルヒオールの必死な声を聞いたのが初めてであることに、彼の温もりを感じながら驚いていた。
ここは馬鹿にして、小言が始まる場面じゃないの?
キョトンとしているアルフォンシーヌを抱き締める腕に力がこもる。
「アルフォンシーヌ……もう目を覚まさないのかと思った……ここで君を失ってしまうのではないかと……本気で……」
頭を撫でられ、かと思えば情熱的な口づけをされた。メルヒオールの魔力が流れ込み、アルフォンシーヌは素直に受け取る。
絡み合った舌が離れると、アルフォンシーヌは苦笑する。
「そんな大仰な。気絶していただけでしょう?」
よくあることではないか――そう感じたとき、自分がどの状況で気を失ったのかを覚えていないことに気づいた。
あたしはどうして気絶していたんだっけ? それに、ここにメルヒオールさまがいるのは変じゃない?
軽い痛みが残る頭で記憶を遡る。
えっと……メルヒオールさまは仕事で城外に出ていて、あたしは留守番で……。
彼には指令書が来ており、その仕事のために数日留守にすることになっていたはずだ。アルフォンシーヌ自身が覚えている範囲で数えれば、今は見送った日の翌日にあたる。メルヒオールが戻るにはまだ日があるはずで、だから彼が自分のそばにいるのはおかしいだろう、とアルフォンシーヌは結論づける。
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