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2:魔導師として宮廷入りしたので、研修生には課題があります。
研修生なので、城外活動の課題があります 1
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宮廷魔導師の研修生にはしばしば課題が与えられ、城外で活動することがある。だいたいが半日から一日で終わるものであり、宮廷内の設備では体験できないことを中心に学ぶ。
課題はたいてい研修生同士の二、三人でグループを作ってこなす。今日の課題は出題者が任意に組み合わせた二人で行うことになっていた。
今回アルフォンシーヌに与えられた課題は、薬草の採取だ。薬草を見分ける力だけでなく、特殊な摘み方が必要であり、知識と技能の両方が必要となる。また、道中も危険な場所がいくつかあり、そこを回避あるいは突破することも必要だ。全体的に難易度は高めである。
とはいえ、難易度よりも師匠が変だったことの方が気がかりよね。なんか珍しく心配していたけど。
アルフォンシーヌを指導している教官のメルヒオール・ファイエのことを思い出す。
プロポーズまがいの告白をされてから、彼は不自然なほどに過保護だ。
それ以前は、課題で城外に出るときにかける言葉は「攻撃魔法しか取り柄のない君には随分と骨が折れる課題ですね。しかし、この程度の課題をこなせないようでは宮廷魔導師としては恥晒しも同然。心して臨みなさい」と、突き放すような喋り方で、しかもノーヒントで送り出すのが常だったのに、今日は久しぶりの城外での課題だからか「身の危険が迫っていると感じたときは、すぐに周りを頼りなさい。周りに頼れない場合は、全力で攻撃魔法を放って構いません。後の処理は俺がしますから」などと言って送り出された。
まあ、今日の課題は楽勝よね。師匠が何を警戒しているのか知らないけど。
アルフォンシーヌは隣で馬に乗る青年を見やる。今日の課題のパートナーだ。
彼の名前はラウル・ヴァレンヌ。タテガミのように逆立つブルーグレーの髪と、睨まれたら氷付けにされてしまいそうなアイスブルーの鋭い眼を持つ二十三歳の青年だ。研修生の中でも人一倍背が高く、肩幅もあってがっしりしている。戦闘が得意そうな厳つい見た目だが、植物学者として有名な家系の出だというのもあってか、植物に精通している。
「僕に何か?」
見つめる視線に気づいたのだろう。アルフォンシーヌと目が会うなり問いかけられた。怖そうな外見とは異なる柔らかな口調を好ましく思いながら、アルフォンシーヌは微笑みを返す。
「課題が一緒にできて光栄だなって思いまして。先日の植物学の筆記試験、トップだったでしょう?」
自分の成績が落第ギリギリだったのを思い出す。かなり勉強してから臨んだはずだったのだが、想定していたよりも散々だった。
アルフォンシーヌがおだてると、ラウルは苦笑する。
「受験者の中ではトップでしたが、満点を出すことはできなかったので、まだまだですよ」
謙遜しているのか、ラウルはさらさらと答える。しかし、悔しそうにしている雰囲気もあって、どうやら満点を取るつもりで試験を受けていたらしいことが伝わってきた。
実家に成績が報告されているだろうし、重圧があるのかしらね。
彼にも彼なりの事情があるのかもしれない。
課題はたいてい研修生同士の二、三人でグループを作ってこなす。今日の課題は出題者が任意に組み合わせた二人で行うことになっていた。
今回アルフォンシーヌに与えられた課題は、薬草の採取だ。薬草を見分ける力だけでなく、特殊な摘み方が必要であり、知識と技能の両方が必要となる。また、道中も危険な場所がいくつかあり、そこを回避あるいは突破することも必要だ。全体的に難易度は高めである。
とはいえ、難易度よりも師匠が変だったことの方が気がかりよね。なんか珍しく心配していたけど。
アルフォンシーヌを指導している教官のメルヒオール・ファイエのことを思い出す。
プロポーズまがいの告白をされてから、彼は不自然なほどに過保護だ。
それ以前は、課題で城外に出るときにかける言葉は「攻撃魔法しか取り柄のない君には随分と骨が折れる課題ですね。しかし、この程度の課題をこなせないようでは宮廷魔導師としては恥晒しも同然。心して臨みなさい」と、突き放すような喋り方で、しかもノーヒントで送り出すのが常だったのに、今日は久しぶりの城外での課題だからか「身の危険が迫っていると感じたときは、すぐに周りを頼りなさい。周りに頼れない場合は、全力で攻撃魔法を放って構いません。後の処理は俺がしますから」などと言って送り出された。
まあ、今日の課題は楽勝よね。師匠が何を警戒しているのか知らないけど。
アルフォンシーヌは隣で馬に乗る青年を見やる。今日の課題のパートナーだ。
彼の名前はラウル・ヴァレンヌ。タテガミのように逆立つブルーグレーの髪と、睨まれたら氷付けにされてしまいそうなアイスブルーの鋭い眼を持つ二十三歳の青年だ。研修生の中でも人一倍背が高く、肩幅もあってがっしりしている。戦闘が得意そうな厳つい見た目だが、植物学者として有名な家系の出だというのもあってか、植物に精通している。
「僕に何か?」
見つめる視線に気づいたのだろう。アルフォンシーヌと目が会うなり問いかけられた。怖そうな外見とは異なる柔らかな口調を好ましく思いながら、アルフォンシーヌは微笑みを返す。
「課題が一緒にできて光栄だなって思いまして。先日の植物学の筆記試験、トップだったでしょう?」
自分の成績が落第ギリギリだったのを思い出す。かなり勉強してから臨んだはずだったのだが、想定していたよりも散々だった。
アルフォンシーヌがおだてると、ラウルは苦笑する。
「受験者の中ではトップでしたが、満点を出すことはできなかったので、まだまだですよ」
謙遜しているのか、ラウルはさらさらと答える。しかし、悔しそうにしている雰囲気もあって、どうやら満点を取るつもりで試験を受けていたらしいことが伝わってきた。
実家に成績が報告されているだろうし、重圧があるのかしらね。
彼にも彼なりの事情があるのかもしれない。
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