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飛んで火に入る夏のヒナ
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▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
鏡に映る自分の姿を見て、首のあたりが赤くなっているのに気づいた。品川さんにつけられた痕だろう。
明日も残るだろうか……
ドレスを着るのは今日だけなので、首まわりを気にする必要はないだろう。日焼け対策でスカーフを持っている。巻いておけば隠せるので大丈夫だ。
メイクも落とせたし、汗も流せたし、これでさっぱりね。
湯上がりの保湿はメイク道具一式を部屋に置いてきてしまっているので、ホテルが置いてくれているものを使う。肌は弱くはないけれど、高価だからといって合うかどうかはわからない。かぶれるようなら洗い流すことにしよう。
そんな調子で整えて、私はバスタオルを巻いた状態で脱衣所から顔を出す。
「シャワー終わりましたよー?」
待たせていた二人はベッド付近ではなく、テーブルセットの方で向かい合って座っていた。テーブルの上には缶ビールが置かれている。
「緋夏ちゃん、ゆっくりできたかい?」
「おかげさまでさっぱりしました」
「緋夏はなに飲む? 水分は必要だろ」
二人が私においでと手を振るので、バスタオル一枚の心細さはあれどのそのそと彼らのそばに移動する。
「私はミネラルウォーターがほしい」
「お酒もあるよ」
そう告げて、品川さんは私に口の開いた缶ビールを持って見せてくる。
「もう充分にいただいていますので」
片手を胸元まで上げて、丁重にお断りした。パーティでそれなりに飲んではいる。だいぶアルコールは抜けていたが、これ以上飲んだら二日酔いの心配をしなくてはいけない。
冷蔵庫から一本のペットボトルを取り出して、陽貴は自分が座っていた席に戻ってきた。
「遠慮しなくていいよ。ちゃんと介抱するからさ」
「品川さん、酔っていらっしゃるんですか?」
「酔っていてもしっかり勃つからねえ」
これは完全に酔っ払いである。
なんと返せばいいのか迷って、私は陽貴に視線で助けを求める。陽貴は苦笑するだけだ。
「試してみるかい?」
「……遠慮します」
揺らがないで、私!
品川さんの誘いを断れたのはえらいと思う。
品川さんは私がつれないとわかったからか、視線を陽貴に向けた。
「陽貴、君はシャワーはどうする?」
「この流れで緋夏と二人きりにはさせられねえよ」
「手は出さないで待つよ」
「信用できるか」
「でも、シャワーしたほうがよくない?」
私が促すと、陽貴は舌打ちした。ゴメンて。気遣いは察しているよ、ちゃんと。
別に私が品川さんと二人きりになりたいわけじゃなくて、イチャイチャするならシャワーのあとの方がいいと思っているからって理由なんだけど。伝わらないかな。
乱暴に頭を掻いて、陽貴は立ち上がった。
「わかった。シャワー浴びてくる」
立ち去り際に陽貴は品川さんを牽制するようにひと睨みして、浴室に姿を消した。
鏡に映る自分の姿を見て、首のあたりが赤くなっているのに気づいた。品川さんにつけられた痕だろう。
明日も残るだろうか……
ドレスを着るのは今日だけなので、首まわりを気にする必要はないだろう。日焼け対策でスカーフを持っている。巻いておけば隠せるので大丈夫だ。
メイクも落とせたし、汗も流せたし、これでさっぱりね。
湯上がりの保湿はメイク道具一式を部屋に置いてきてしまっているので、ホテルが置いてくれているものを使う。肌は弱くはないけれど、高価だからといって合うかどうかはわからない。かぶれるようなら洗い流すことにしよう。
そんな調子で整えて、私はバスタオルを巻いた状態で脱衣所から顔を出す。
「シャワー終わりましたよー?」
待たせていた二人はベッド付近ではなく、テーブルセットの方で向かい合って座っていた。テーブルの上には缶ビールが置かれている。
「緋夏ちゃん、ゆっくりできたかい?」
「おかげさまでさっぱりしました」
「緋夏はなに飲む? 水分は必要だろ」
二人が私においでと手を振るので、バスタオル一枚の心細さはあれどのそのそと彼らのそばに移動する。
「私はミネラルウォーターがほしい」
「お酒もあるよ」
そう告げて、品川さんは私に口の開いた缶ビールを持って見せてくる。
「もう充分にいただいていますので」
片手を胸元まで上げて、丁重にお断りした。パーティでそれなりに飲んではいる。だいぶアルコールは抜けていたが、これ以上飲んだら二日酔いの心配をしなくてはいけない。
冷蔵庫から一本のペットボトルを取り出して、陽貴は自分が座っていた席に戻ってきた。
「遠慮しなくていいよ。ちゃんと介抱するからさ」
「品川さん、酔っていらっしゃるんですか?」
「酔っていてもしっかり勃つからねえ」
これは完全に酔っ払いである。
なんと返せばいいのか迷って、私は陽貴に視線で助けを求める。陽貴は苦笑するだけだ。
「試してみるかい?」
「……遠慮します」
揺らがないで、私!
品川さんの誘いを断れたのはえらいと思う。
品川さんは私がつれないとわかったからか、視線を陽貴に向けた。
「陽貴、君はシャワーはどうする?」
「この流れで緋夏と二人きりにはさせられねえよ」
「手は出さないで待つよ」
「信用できるか」
「でも、シャワーしたほうがよくない?」
私が促すと、陽貴は舌打ちした。ゴメンて。気遣いは察しているよ、ちゃんと。
別に私が品川さんと二人きりになりたいわけじゃなくて、イチャイチャするならシャワーのあとの方がいいと思っているからって理由なんだけど。伝わらないかな。
乱暴に頭を掻いて、陽貴は立ち上がった。
「わかった。シャワー浴びてくる」
立ち去り際に陽貴は品川さんを牽制するようにひと睨みして、浴室に姿を消した。
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