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腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!
ふつうに話し合いませんか? ああ、無理ですか…… 2
しおりを挟むだが、あの二股王太子さまのところに戻る未来は絶対にない。私という婚約者がいるのに平気で浮気して、その上捨てるなんてひどいやつだ。そりゃあ私はマリアンネに散々嫌がらせをしてきたけれど、向こうだって無意識にせよ私の未来安泰の道を脅かすようなことをしてきたんだから、この仕打ちは重すぎる。
王太子さまのことを思い出したら、気分がそがれた。むすっとしてマッチョさんを見つめる。
胸を揉む手がゆっくりになった。
「……そういう表情をするってことは、あの王太子のことを多少なりとも愛していたんじゃないのか?」
「ムカついているだけよ。あの裏切り者」
「裏切られたと思う程度には、気持ちが向いていたってことだろ。あれから直接顔を合わせてはいないが、将来を期待されているよくできた人物だとは聞いている。貴女が惹かれるのも当然だ」
慰めるように私の頬を撫でて、軽く唇を重ねて離れた。
私のことをよく知らないくせによく言うなあと思いつつ、優しく触れて甘やかしてくれるとどうでもよくなってしまう。くそぅ、マッチョさん、私の扱い方をマスターしつつあるな……
恨めしい気持ちを込めた視線を向けていると、マッチョさんは父親みたいな顔をした。大人が子どもに向けるみたいな、そういう顔。
「……侯爵家のご息女はルツィエという名前だったか。もうこんな立派になられたとはな。月日が流れるのは早い」
「ん? ……あなた、私を知っているの?」
こんなごっつい人物、出会っていたら覚えていそうなものなんだが。目立つよね?
私が目をパチパチさせると、マッチョさんは苦笑した。
「貴女の命名式の時にはまだ王宮で仕事をしていた」
「え……はい?」
「それが俺の最後の公務だったな。どうも貴女とは縁があるようだ」
首筋に口づけをする。優しい口づけ。身体は素直にピクッと反応した。
ああ、もうっ! これじゃ質問できないじゃないっ‼︎
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