【R-18】ザマァされた悪役令嬢ですが、腹癒せにドラゴン(ラスボス)退治に行ってきます!

一花カナウ

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腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!

こんなはずでは 2

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「わ、わかった。私、自分で宿を取るわ。あなたに任せて悪かったわよ」

 私は入ったばかりの部屋から出ることにした。シャツ一枚で下着も身につけていないという、お屋敷から着の身着のまま逃げてきたみたいな格好で外をうろつくのはどうかと思うが、幻影の魔術で見た目はどうにでもできる。チート能力万歳!
 一応、幻影の魔術は使用許可をもらわなければならないレベルの魔法なので、むやみに使うものではないことは付記しておく。

「そうは言うが、服もないしお金も持っていないだろう? どうするんだ?」

 声をかけられたと思ったら、私はもう手首を掴まれていた。

 その図体で超はやっ‼︎

 彼が座っていたベッドから私が立つこの出入り口までは、一般的な男性が両手を広げた以上の距離があるというのに。予備動作を感知できなかったことから、おそらく、私がかけた高速移動の魔法がまだ効いているのだろう。

「身体を売るつもりなら、俺に売っておいた方が賢明だと思うが」

 おい待て。売るわけがないだろう。私が売るのはケンカだけだ――いや、それもあんまり褒められることじゃあないな。

 私はマッチョさんの言葉にカチンときて、キッと睨みつけた。

「なにそれ――ってか、あなただって無一文じゃないの? 服が復元できるのはわかったけど、お金は持って来られないでしょう?」

 何か良からぬことをしたのではないかと疑って、私は尋ねる。私の体調が万全であれば、彼がどうやって宿を借りたのかがわかったのに、情けない。

 マッチョさんは、なんだその話か、と眉を上げた。

「ああ、それは、人に戻る時に鱗を数枚ひっぺがして、換金するんだ。それなりの金額になるから、一泊くらいどうってことはない」

 マジか! あの高級品が取り放題なんて! ドラゴン超便利!

 そう考えたが、もしかしたら爪を剥がすのと同程度の痛みはともなうのかもしれない。そんなことを想像して、何ともいえない気持ちになる。
 気分が朦朧としていたから、宿が決まるまでに立ち寄った店の記憶が曖昧である。そんなことをしていたとは思わなかった。

「とにかく、移動中には貴女が体調を崩してしまったからなにも話せなかった。ここで話を聞いてほしい」
「変なことはしない?」
「変なこととは――こういうことか?」

 マッチョさんの俊敏な動きに私はついていけない。こんなことなら魔法の効果を消しておけばよかった。
 彼に瞬時に抱き上げられた私は、ベッドに下ろされて組み敷かれてしまう。
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金曜夜のティーンズラ部
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