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腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!
封印を解きました。 4
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ボタンを留めて、身支度を整える。
マッチョさんは私の魔法が必要らしい。王都に危機が迫っているらしいことを匂わせる発言もあった。勇ましく出て行ってなんの成果も出せなかった私なのであまり帰りたくなかったが、事の成り行きを見守りたくもあるのでマッチョさんのやることに乗るつもりだ。国を出るのはその後でいい。
「ああ、そうだったな。外にある祠を壊してほしいんだ。俺の魔法や筋肉ではどうにもならないものでな」
マッチョさんも本題を思い出したらしい。私が衣服を整え終えるのを待って立ち上がる。ついて来るようにと手で指示を出してきたので、私は素直に従った。
「魔法でも筋肉でもどうにもならないって……呪いみたいなもの?」
彼はこの山になんらかの理由で封印されてしまっているということなんだろうか。
となると、なにかの罪人だったりする? ここを出る目的を王都を守るためみたいなニュアンスで話していたように思うけど、実は襲うことが目的だったりして。復讐の機会を狙っていた、とか。
私はうーんと小さく唸る。
そう仮定してみたけれども、マッチョさん、人がよさそうだから、罪を着せられた可能性の方が高いんじゃないかなぁ。
まあ、復讐目的だったら、二股王太子さまとあの横取りヒロインにザマァし返せるからいいけどね! この国を出るつもりだから、もうどうなったって構わないもん!
「呪い……呪いと言ったら、ここに縛られていることよりも深刻なものがあるけどな」
「ん?」
私が促すが、マッチョさんは応じなかった。
やがて私たちは家の外に出た。
陽は天頂を過ぎて傾き始めている。高速移動の魔法をかけたところで、王都に到着するのは翌朝以降ではなかろうか。
マッチョさんはスタスタと大股で歩いていく。周囲の様子を見ると岩ばかりで、私とドラゴンがやり合っていた場所からそう離れていないらしいことがうかがえる。
つまりここは、王都の東にある岩山の山頂付近だ。
「――ほら、そこに祠があるだろう? これを壊してくれ」
岩山に作られた窪み。洞窟と表現するには浅いその場所に、赤ん坊ほどの大きさの石がドンと置かれていた。その表面には魔導文字が細かく描かれており、なにかを封じていることがそのデザインだけでも読み取れた。
想像していたよりも本格的なものが出てきたわね……この魔導文字、王宮でしか見たことがないのも混じっているんですけど……
「これとあなたに関係があるって、何かで証明できる?」
「仕方がないな」
余計なトラブルに巻き込まれたくないので問うと、マッチョさんはゆっくりと石に近づいて――触れると同時に弾き飛ばされた。勢いよく弾かれたので心配したが、彼は私との遭遇時で見せたように、宙で停止し、ゆっくり地面に足を下ろした。
ああ、なるほど。こういうことに慣れていたから、私が風の魔法を使った時にもすぐに対処できたわけね。
感心していると、マッチョさんは私の隣に立った。
マッチョさんは私の魔法が必要らしい。王都に危機が迫っているらしいことを匂わせる発言もあった。勇ましく出て行ってなんの成果も出せなかった私なのであまり帰りたくなかったが、事の成り行きを見守りたくもあるのでマッチョさんのやることに乗るつもりだ。国を出るのはその後でいい。
「ああ、そうだったな。外にある祠を壊してほしいんだ。俺の魔法や筋肉ではどうにもならないものでな」
マッチョさんも本題を思い出したらしい。私が衣服を整え終えるのを待って立ち上がる。ついて来るようにと手で指示を出してきたので、私は素直に従った。
「魔法でも筋肉でもどうにもならないって……呪いみたいなもの?」
彼はこの山になんらかの理由で封印されてしまっているということなんだろうか。
となると、なにかの罪人だったりする? ここを出る目的を王都を守るためみたいなニュアンスで話していたように思うけど、実は襲うことが目的だったりして。復讐の機会を狙っていた、とか。
私はうーんと小さく唸る。
そう仮定してみたけれども、マッチョさん、人がよさそうだから、罪を着せられた可能性の方が高いんじゃないかなぁ。
まあ、復讐目的だったら、二股王太子さまとあの横取りヒロインにザマァし返せるからいいけどね! この国を出るつもりだから、もうどうなったって構わないもん!
「呪い……呪いと言ったら、ここに縛られていることよりも深刻なものがあるけどな」
「ん?」
私が促すが、マッチョさんは応じなかった。
やがて私たちは家の外に出た。
陽は天頂を過ぎて傾き始めている。高速移動の魔法をかけたところで、王都に到着するのは翌朝以降ではなかろうか。
マッチョさんはスタスタと大股で歩いていく。周囲の様子を見ると岩ばかりで、私とドラゴンがやり合っていた場所からそう離れていないらしいことがうかがえる。
つまりここは、王都の東にある岩山の山頂付近だ。
「――ほら、そこに祠があるだろう? これを壊してくれ」
岩山に作られた窪み。洞窟と表現するには浅いその場所に、赤ん坊ほどの大きさの石がドンと置かれていた。その表面には魔導文字が細かく描かれており、なにかを封じていることがそのデザインだけでも読み取れた。
想像していたよりも本格的なものが出てきたわね……この魔導文字、王宮でしか見たことがないのも混じっているんですけど……
「これとあなたに関係があるって、何かで証明できる?」
「仕方がないな」
余計なトラブルに巻き込まれたくないので問うと、マッチョさんはゆっくりと石に近づいて――触れると同時に弾き飛ばされた。勢いよく弾かれたので心配したが、彼は私との遭遇時で見せたように、宙で停止し、ゆっくり地面に足を下ろした。
ああ、なるほど。こういうことに慣れていたから、私が風の魔法を使った時にもすぐに対処できたわけね。
感心していると、マッチョさんは私の隣に立った。
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