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腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!
捨てる王太子あれば、拾うゴリマッチョあり……? 2
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私を脱がす口実としてそうしたわけではなさそうだし、彼なりに悪かったと考えているのであれば情状酌量の余地はある。
服だって、ブカブカながらこうして貸してくれているわけだし、もういいわよね。あの王立魔導軍の制服は諦めるってことで。デザインが凝っていて機能的でもあったから結構気に入っていたんだけど、私を駒にした組織の衣装に固執するのも未練がましい感じでよろしくないわ。
よし、切り替えていこう。
「――王都の魔導師はみんな服の修復ができるのか?」
「ううん。他の数人くらいしか聞いたことないわね。結構魔法を組むのが面倒なの。コツがいるっていうか、センスが必要というか。私は裁縫をしたくないから、魔法でどうにかしようと思ったんだけど」
このブカブカのシャツをどうリメイクして着たらいいかと考えながら、腕を動かしてみる。本当にデカすぎる。こんなサイズの人間がいるなんてビックリだ。
身体を動かしていて気づいたが、腹の傷は完治したようだ。昨夜――外が暗かったし、魔法灯もついていたから日は暮れていたのだと思う――は鈍い痛みが残っていたが、今は違和感はなかった。魔法バンザイ。
するとマッチョさんは感嘆の声を漏らした。
「へえ。貴女は大した魔導師なんだな。若そうに見えるが、実は年を食っているのか?」
「失礼ね。十八歳よ。まだまだ結婚適齢期の範囲内でしょ? 王太子妃の候補に挙がるくらいには有名だったと思うわ」
候補というか、婚約者だったわけだが。今や元婚約者だし、婚約していたこと自体も忘れたいからそういうことにしておこう。
あの二股王太子、許さん……
ゲーム時に主人公を操作している時にはどうとも思わなかった当て馬キャラの悪役令嬢だが、いざ当て馬キャラになってみると湧き上がる嫉妬がすごい。だいたい、家同士の決め事なのに、あの程度の嫌がらせでドラゴン退治を命じるんだから、ずいぶんとぞんざいな扱いだと思う。
だって、ドラゴン、超強いじゃん‼︎ 特殊能力持ちの主人公と二人掛かりで倒すのがやっとだったり、他の攻略対象たちとの絆パワーとか駆使して国を守るのに、なんで私一人でドラゴン狩りに行ってるのよ! 仮にも令嬢なんだから、御付きの一人くらい寄越しなさいよ!
いや、御付きをつけると言ったのを振り切って旅立ったのは私だったわ……むしゃくしゃしていてさ――と、心の中で不満をぶちまけていると、キーンと耳鳴りがして軽い頭痛を覚える。
……あれ? 糾弾された悪役令嬢って、あのシーンの後、何をしていたんだっけ? 彼女の結末は?
服だって、ブカブカながらこうして貸してくれているわけだし、もういいわよね。あの王立魔導軍の制服は諦めるってことで。デザインが凝っていて機能的でもあったから結構気に入っていたんだけど、私を駒にした組織の衣装に固執するのも未練がましい感じでよろしくないわ。
よし、切り替えていこう。
「――王都の魔導師はみんな服の修復ができるのか?」
「ううん。他の数人くらいしか聞いたことないわね。結構魔法を組むのが面倒なの。コツがいるっていうか、センスが必要というか。私は裁縫をしたくないから、魔法でどうにかしようと思ったんだけど」
このブカブカのシャツをどうリメイクして着たらいいかと考えながら、腕を動かしてみる。本当にデカすぎる。こんなサイズの人間がいるなんてビックリだ。
身体を動かしていて気づいたが、腹の傷は完治したようだ。昨夜――外が暗かったし、魔法灯もついていたから日は暮れていたのだと思う――は鈍い痛みが残っていたが、今は違和感はなかった。魔法バンザイ。
するとマッチョさんは感嘆の声を漏らした。
「へえ。貴女は大した魔導師なんだな。若そうに見えるが、実は年を食っているのか?」
「失礼ね。十八歳よ。まだまだ結婚適齢期の範囲内でしょ? 王太子妃の候補に挙がるくらいには有名だったと思うわ」
候補というか、婚約者だったわけだが。今や元婚約者だし、婚約していたこと自体も忘れたいからそういうことにしておこう。
あの二股王太子、許さん……
ゲーム時に主人公を操作している時にはどうとも思わなかった当て馬キャラの悪役令嬢だが、いざ当て馬キャラになってみると湧き上がる嫉妬がすごい。だいたい、家同士の決め事なのに、あの程度の嫌がらせでドラゴン退治を命じるんだから、ずいぶんとぞんざいな扱いだと思う。
だって、ドラゴン、超強いじゃん‼︎ 特殊能力持ちの主人公と二人掛かりで倒すのがやっとだったり、他の攻略対象たちとの絆パワーとか駆使して国を守るのに、なんで私一人でドラゴン狩りに行ってるのよ! 仮にも令嬢なんだから、御付きの一人くらい寄越しなさいよ!
いや、御付きをつけると言ったのを振り切って旅立ったのは私だったわ……むしゃくしゃしていてさ――と、心の中で不満をぶちまけていると、キーンと耳鳴りがして軽い頭痛を覚える。
……あれ? 糾弾された悪役令嬢って、あのシーンの後、何をしていたんだっけ? 彼女の結末は?
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