80 / 82
腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!
裏切りと内通者 2
しおりを挟む
「アーデルベルトとの別れは済んだか?」
「あなた、何言って――ひゃっ⁉︎」
突き飛ばされて、後方にあった太い幹に身体がぶつかった。体勢を立て直す前にヴァルデマールの筋肉質な腕が邪魔をして、挟まれてしまう。前世で死ぬちょっと前に流行った壁ドンという状況だ。
ん? この状況、確かゲーム内にあったような……
《緋竜の姫君》のヴァルデマールルートに、こういうシチュエーションがあったような気がする。いや、あったはずだ。何度も何度も繰り返し見ていたあのシーンでの相手役は私じゃなくて、マリアンネであるが。
「ホント、見違えるほど綺麗になったな、ルツィエ」
状況を飲み込めないまま、私は彼に顎の先を持ち上げられて乱暴に唇を奪われた。ぬるりとした厚い舌がパニックに陥っている私の口の中に入り込んでくる。
「んんんっ⁉︎」
え、え? 待って、私、ヴァルデマールとはこんな関係じゃ……
魔力の相性の都合もあって簡単には蕩けないが、彼の舌使いは意外と器用だ。背中をぞくりとする快感が走って、このままではまずいととっさに舌を噛んでやった。
「ひっ、いってぇな! なにするんだ!」
「そ、それはこっちのセリフですわっ! 誰に対してサカってるのよ!」
まさかこの幼馴染みが私を性的な目で見ているとは思いもしなかった。セクハラ発言が多いとは感じていたが、それは真面目に反応してしまう私をからかいたいからだけではなかったのか。
「この状態で何言ってんだ? ルツィエに対してに決まってんだろ!」
「は……はぁっ⁉︎」
正気か、コイツ。
あきれた声を上げると、ヴァルデマールは前をくつろげた。そこには天を向いている――大きなソレがあって、私はもう一度彼の顔を見た。
理解が追いつかない。
「え、え、なんで? ああ、そっか、誰かに操られている、とか? じゃなければ、脅されている、とか? アーデルベルト様の親友で信頼も厚く、親衛隊隊長のあなたが、私に? そんな――」
「冷静沈着なアイツが怒り狂う様を見たいからな」
彼の瞳は妙に冷めていた。
なんでそんな顔をするの?
言葉を失っていると、ヴァルデマールは私のブラウスの下に手を差し込んでくる。ゴツゴツとした大きな手のひらは、剣術を鍛えてきたのがよく伝わった。
「やっ……」
「大事なものを奪われたとなったら、さすがに落ち着いてはいられないだろ?」
「あ、あなたが教えてくれたんじゃないですか。私が陵辱されそうになっていたからどうのって」
心配してくれたではないか。私を気遣ってくれたのではなかったのか。
大きな手から逃れたいのに、うまく動けない。この現実を受け入れられなくて、身体が混乱しているのだ。
「あなた、何言って――ひゃっ⁉︎」
突き飛ばされて、後方にあった太い幹に身体がぶつかった。体勢を立て直す前にヴァルデマールの筋肉質な腕が邪魔をして、挟まれてしまう。前世で死ぬちょっと前に流行った壁ドンという状況だ。
ん? この状況、確かゲーム内にあったような……
《緋竜の姫君》のヴァルデマールルートに、こういうシチュエーションがあったような気がする。いや、あったはずだ。何度も何度も繰り返し見ていたあのシーンでの相手役は私じゃなくて、マリアンネであるが。
「ホント、見違えるほど綺麗になったな、ルツィエ」
状況を飲み込めないまま、私は彼に顎の先を持ち上げられて乱暴に唇を奪われた。ぬるりとした厚い舌がパニックに陥っている私の口の中に入り込んでくる。
「んんんっ⁉︎」
え、え? 待って、私、ヴァルデマールとはこんな関係じゃ……
魔力の相性の都合もあって簡単には蕩けないが、彼の舌使いは意外と器用だ。背中をぞくりとする快感が走って、このままではまずいととっさに舌を噛んでやった。
「ひっ、いってぇな! なにするんだ!」
「そ、それはこっちのセリフですわっ! 誰に対してサカってるのよ!」
まさかこの幼馴染みが私を性的な目で見ているとは思いもしなかった。セクハラ発言が多いとは感じていたが、それは真面目に反応してしまう私をからかいたいからだけではなかったのか。
「この状態で何言ってんだ? ルツィエに対してに決まってんだろ!」
「は……はぁっ⁉︎」
正気か、コイツ。
あきれた声を上げると、ヴァルデマールは前をくつろげた。そこには天を向いている――大きなソレがあって、私はもう一度彼の顔を見た。
理解が追いつかない。
「え、え、なんで? ああ、そっか、誰かに操られている、とか? じゃなければ、脅されている、とか? アーデルベルト様の親友で信頼も厚く、親衛隊隊長のあなたが、私に? そんな――」
「冷静沈着なアイツが怒り狂う様を見たいからな」
彼の瞳は妙に冷めていた。
なんでそんな顔をするの?
言葉を失っていると、ヴァルデマールは私のブラウスの下に手を差し込んでくる。ゴツゴツとした大きな手のひらは、剣術を鍛えてきたのがよく伝わった。
「やっ……」
「大事なものを奪われたとなったら、さすがに落ち着いてはいられないだろ?」
「あ、あなたが教えてくれたんじゃないですか。私が陵辱されそうになっていたからどうのって」
心配してくれたではないか。私を気遣ってくれたのではなかったのか。
大きな手から逃れたいのに、うまく動けない。この現実を受け入れられなくて、身体が混乱しているのだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,116
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる