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腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!
ヒロインの秘密 3
しおりを挟む「オレは見ていた。助けに入ろうかと何度も考えたが……その、彼女は……自ら進んでその身体を差し出し、快感に溺れていたんだ」
「…………」
衝撃的すぎて言葉が出ない。
ええ……乙女ゲームの清純派ヒロインが超ビッチって、どこの二次創作……
とりあえず、この世界は私がやり込んだ乙女ゲーム《緋竜の姫君》をベースにはしているが、完全一致というわけではなさそうだ。私が前世を思い出す前から、状況は大きく異なっている。この世界はどこに向かっているのだろう。
私が黙っていると、アーデルベルトが言いにくそうに唇を動かした。
「そして、事もあろうにマリアンネはオレを誘うようになった。オレの身体に竜化の片鱗が現れたと知っての行動なのか、あるいはその情報を得るために近づいてきたのかは正直わからん。オレはそのときには彼女の力を知ってはいたが、しっかり断った。オレ自身の秘密を、町民出身の人間に知られるわけにはいかないだろう?」
「あっ! それで必要以上にマリアンネとの接触が多かったんですね! 言い寄られ続けていたから」
私がアーデルベルトが二股をかけているように見えたのは、マリアンネが猛烈にアタックしていたからなのだ。たぶらかしていたのは、マリアンネのほうだったということである。
マリアンネが積極的になっているようには感じられなかったけど、それは私が彼女の本質を理解していなかったからでしょうね……アーデルベルトさまも下心を持って接しているように見えたし。
二人がそれとなく接していたのは、おそらく私の存在があったからだ。私の婚約者を無自覚にたぶらかしていたのではなく、意図的に隠していたという話だ。
私が理解すると、アーデルベルトは頷いた。
「そういうことだ。――嫉妬しているお前を見ているのはとても楽しかったし、そうすることでマリアンネが諦めるのではと期待していたのだが、決してそうはならなかった。お前への危害を加えることをほのめかすようになり、彼女の信者からも同様に脅迫された」
いやはや、とことん鈍いわね、私……
アーデルベルトからの愛情に鈍かっただけでなく、周囲の状況にも鈍かったのだと改めて感じた。
ってか、この人に愛されすぎでしょうよ……
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