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腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!

二人きりの浴室 2

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「そう警戒するな。お前の身体は隅々まで洗ってやるが、それ以上のことはしない。あまり時間がないからな。それに、ここに招いたのは下心だけではないぞ」

 ってか、その下心は隠さなくていいんですか、アーデルベルトさま……

 発言に呆れていると、彼はシャツを脱ぎ捨てた。自然とアーデルベルトの裸身が目に入る。

「――これがどういうことか、叔父に会ったならわかるだろう?」

 晒された上半身には、鱗状の模様が――いや、鱗そのものが貼り付いていた。胸のあたりは色が透けているので模様のようだが、肩や二の腕あたりには確かに金色の鱗がくっついている。

「それって……」
「ふだんは幻影の魔法で見えないように隠しているが、ここのところ広がりが激しくてな。叔父への相談を重視するようになったのも、この鱗のせいなんだ」
「竜化ってことですよね……?」

 私が確認すると、アーデルベルトは真面目な顔をして頷いた。

「お前にはこの症状は出ていないんだな。魔力が強ければ強いほど発現しやすいものだと聞いているんだが」

 視線が私の肌をなぞる。私の白い肌はキメが細かくて、とても滑らかだ。

 魔力が強ければ――が本当ならば、私もドラゴンになっていてもおかしくはない。今のところ、兆候はなさそうだけども。

 入浴を提案した理由は、私にかけられた魔法を解くことと、自身の竜化の進行状況を知らせること、改めて私の身体の状態を調べること――と、複数あるようだ。

 そうね。竜化は国家機密っぽいし、王族の口からは外でなんて気軽に話せないわよね……

 ゲルハルトさんは身分を隠しているから、多少は外で話しても真実味が薄くてどうにでもごまかせるのだろう。
 だが、顔をよく知られているアーデルベルトであればそうはいかない。警戒心が強い男でもあるので、その辺は慎重にことを進めるだろう。

 まあ、ゲルハルトさんは器用な魔導師だから、私が気づかなかっただけで防音の魔法や聞き耳無効の魔法などを使っていた可能性は否定できないけどさ。

「今のところは問題は生じていないですけど……やっぱり私もドラゴンになる可能性があるんですか?」
「理屈としては可能性はあるだろうが、不思議とお前の家系には竜化の症状が出たという報告はないんだよな……。表に出せない裏の歴史書も目を通した限りでは」

 不思議そうな顔をしながら、アーデルベルトは最後の一枚を脱いで湯船に身体を沈めた。
 彼の体積分のお湯が溢れる。
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