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腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!
ある意味では初恋の人 1
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もっと時間が経ってるように感じていたけど、まだ明け方なのね。
就寝が早かったのだから、たっぷり眠っていたように感じていてもこういう時間である。当然だろう。
外の様子に気を取られて私が黙ってしまうと、私の耳にアーデルベルトは唇を寄せて囁いた。
「――ルツィエ。今までどおりとはいかなくても、しばらくはオレの婚約者として振る舞っておけよ。そうでないと、お前を守れない」
「あなた様に守ってもらえずとも、封魔錠を外していただければどうにでもなるかと思いますが」
正直な感想である。私は守られるお姫様ポジションよりも、誰かを守って鮮やかに散るような兵士ポジションの人間ではなかろうか。
私が不満たっぷりに返せば、アーデルベルトはやれやれという顔をした。
「ソレにも意味がある。まだつけておけ」
「私に何をさせるつもりなんです?」
「お前が一番得意なことをさせてやるから、安心しろ」
それが安心できないから、文句をたれているんでしょうよ……
私は小さくため息をついた。
今は従うしかない。何が始まるのか、聞いてから動くのがよさそうだから。
アーデルベルトとゲルハルトさんが繋がっているのであれば、どちらが主導権を握っているのかは定かではないにしろ、消えてしまった彼を追うヒントを得られるはずだ。王都で闇雲に暴れるのは賢くはない。
さすがに、両親には迷惑をかけたくないからね……
任務で大暴れして鮮やかに散るのは名誉だけど、私の勝手で破壊活動をして有名になるのは名門の侯爵家に泥を塗りかねない。その程度の分別はある私なのである。
「――おっ。本当にルツィエ嬢がいたんだな。なかなか出てこないから、お楽しみだったんじゃないかと思ったぞ」
聞き覚えがある軽口に、私は思わず頭を動かしてキョロキョロした。
あっ……うん、そりゃあ王太子サマの親衛隊隊長なんだし、一緒にいてもおかしくはないけどさ……
宿屋に併設されている厩舎で待機していた人物は、私がよく知っている幼馴染みだ。
『緋竜の姫君』の攻略対象の中では一番ガタイがよく、背は高いし肩幅もある。顔立ちはスポーツマン的で、熱血系爽やか。侯爵家の人間で、魔法よりも剣術のほうが得意。二十四歳の若さで王太子サマの親衛隊隊長に任命される程度には強いし、アーデルベルトからも信頼されている。
「無駄口叩いていないで、すぐに戻るぞ。城を抜け出しているのがバレるのはまずい」
「そうだな」
声をかけてきたのは、ヴァルデマールだった。
就寝が早かったのだから、たっぷり眠っていたように感じていてもこういう時間である。当然だろう。
外の様子に気を取られて私が黙ってしまうと、私の耳にアーデルベルトは唇を寄せて囁いた。
「――ルツィエ。今までどおりとはいかなくても、しばらくはオレの婚約者として振る舞っておけよ。そうでないと、お前を守れない」
「あなた様に守ってもらえずとも、封魔錠を外していただければどうにでもなるかと思いますが」
正直な感想である。私は守られるお姫様ポジションよりも、誰かを守って鮮やかに散るような兵士ポジションの人間ではなかろうか。
私が不満たっぷりに返せば、アーデルベルトはやれやれという顔をした。
「ソレにも意味がある。まだつけておけ」
「私に何をさせるつもりなんです?」
「お前が一番得意なことをさせてやるから、安心しろ」
それが安心できないから、文句をたれているんでしょうよ……
私は小さくため息をついた。
今は従うしかない。何が始まるのか、聞いてから動くのがよさそうだから。
アーデルベルトとゲルハルトさんが繋がっているのであれば、どちらが主導権を握っているのかは定かではないにしろ、消えてしまった彼を追うヒントを得られるはずだ。王都で闇雲に暴れるのは賢くはない。
さすがに、両親には迷惑をかけたくないからね……
任務で大暴れして鮮やかに散るのは名誉だけど、私の勝手で破壊活動をして有名になるのは名門の侯爵家に泥を塗りかねない。その程度の分別はある私なのである。
「――おっ。本当にルツィエ嬢がいたんだな。なかなか出てこないから、お楽しみだったんじゃないかと思ったぞ」
聞き覚えがある軽口に、私は思わず頭を動かしてキョロキョロした。
あっ……うん、そりゃあ王太子サマの親衛隊隊長なんだし、一緒にいてもおかしくはないけどさ……
宿屋に併設されている厩舎で待機していた人物は、私がよく知っている幼馴染みだ。
『緋竜の姫君』の攻略対象の中では一番ガタイがよく、背は高いし肩幅もある。顔立ちはスポーツマン的で、熱血系爽やか。侯爵家の人間で、魔法よりも剣術のほうが得意。二十四歳の若さで王太子サマの親衛隊隊長に任命される程度には強いし、アーデルベルトからも信頼されている。
「無駄口叩いていないで、すぐに戻るぞ。城を抜け出しているのがバレるのはまずい」
「そうだな」
声をかけてきたのは、ヴァルデマールだった。
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