63 / 82
腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!
不満なので許しませんけど。 4
しおりを挟む
ゲルハルトさんが最後までしてくれなかった理由は、私の身体を気遣ったからだけではなく、アーデルベルトの婚約者だと知ったからもあるようだ。なんとも難しい関係のような気がする。
「こんなことなら、お前にきちんと思いを告げておけばよかったな」
ため息とともにボソリと呟かれたアーデルベルトの後悔の言葉は、抱きかかえられていたからはっきりと聞こえた。わざと聞こえるように言ったのかもしれないけど。
なんだ……ちゃんと愛してくれていたのね。きっかけは身体目的っぽかったけど。
政治面では器用なところしか見せない王太子さまであるが、恋愛ごとに関しては不器用なのかもしれない。ゲームでも、奥手な部分にギャップが感じられていいとの評価があったような気がする。
そこで、ハッとベッドの上での言動を思い出す。私は焦った。
「あ、あのっ、城に帰るって話だと思いますが、そのあと牢に突っ込まれて監禁……みたいな展開にはなりませんよねっ⁉︎」
そう。アーデルベルトは言っていた。自分のためのショーをさせたい、と。世界中からオモチャを集めて遊んでやると――そう言い放っていた。それは洒落にならない。
私は血の気が引いていく。紅くなったり蒼くなったりと、今の私は忙しい。
アーデルベルトはほくそ笑んだ。
「そうだな。ゲルハルト叔父から取り返すなら、それもアリかもしれないな」
おおう、悪い顔してるっ‼︎
冷や汗が止まらない。一刻も早く、脱出せねば!
ところが、アーデルベルトはすぐに真顔になった。
「――だが、お前にも仕事があるんだ。ちゃんと制服も用意してやるから、オレの指示に従ってほしい。お楽しみはそのあとだな」
「わ、私はアーデルベルトさまの慰みモノになるつもりはありませんよっ!」
諦めてないんかいっ‼︎
牢に閉じ込められるエンドなんて真っ平御免である。悪役令嬢の末路としては、まだマシな展開かもしれないけど。
「一度くらい抱かせてほしいがなあ。ずっと我慢していたんだから」
「い、嫌です」
「地位と名誉を回復させてやるぞ?」
「そんなもの、もう結構です」
くっそ、しつこいぞ! そんなに執着しないでほしい。執着心をみせるくらいなら、手綱を離さなければよかったのに。
「ふぅん? この仕事が片付いたときも、そう思っていられるかな?」
「え? ――どういう意味?」
そこで宿から外に出た。まだ太陽は低い位置にある。夜が明けてからそう経っていないようだ。空には明るい星がかろうじて見えた。
「こんなことなら、お前にきちんと思いを告げておけばよかったな」
ため息とともにボソリと呟かれたアーデルベルトの後悔の言葉は、抱きかかえられていたからはっきりと聞こえた。わざと聞こえるように言ったのかもしれないけど。
なんだ……ちゃんと愛してくれていたのね。きっかけは身体目的っぽかったけど。
政治面では器用なところしか見せない王太子さまであるが、恋愛ごとに関しては不器用なのかもしれない。ゲームでも、奥手な部分にギャップが感じられていいとの評価があったような気がする。
そこで、ハッとベッドの上での言動を思い出す。私は焦った。
「あ、あのっ、城に帰るって話だと思いますが、そのあと牢に突っ込まれて監禁……みたいな展開にはなりませんよねっ⁉︎」
そう。アーデルベルトは言っていた。自分のためのショーをさせたい、と。世界中からオモチャを集めて遊んでやると――そう言い放っていた。それは洒落にならない。
私は血の気が引いていく。紅くなったり蒼くなったりと、今の私は忙しい。
アーデルベルトはほくそ笑んだ。
「そうだな。ゲルハルト叔父から取り返すなら、それもアリかもしれないな」
おおう、悪い顔してるっ‼︎
冷や汗が止まらない。一刻も早く、脱出せねば!
ところが、アーデルベルトはすぐに真顔になった。
「――だが、お前にも仕事があるんだ。ちゃんと制服も用意してやるから、オレの指示に従ってほしい。お楽しみはそのあとだな」
「わ、私はアーデルベルトさまの慰みモノになるつもりはありませんよっ!」
諦めてないんかいっ‼︎
牢に閉じ込められるエンドなんて真っ平御免である。悪役令嬢の末路としては、まだマシな展開かもしれないけど。
「一度くらい抱かせてほしいがなあ。ずっと我慢していたんだから」
「い、嫌です」
「地位と名誉を回復させてやるぞ?」
「そんなもの、もう結構です」
くっそ、しつこいぞ! そんなに執着しないでほしい。執着心をみせるくらいなら、手綱を離さなければよかったのに。
「ふぅん? この仕事が片付いたときも、そう思っていられるかな?」
「え? ――どういう意味?」
そこで宿から外に出た。まだ太陽は低い位置にある。夜が明けてからそう経っていないようだ。空には明るい星がかろうじて見えた。
0
お気に入りに追加
2,111
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。

悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる