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腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!
まさか、こんなところで 3
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震える唇を懸命に動かして、私は言葉を紡ぐ。
「私は……あの日のあなた様を見て、逃げ出したくなったのだと思います。私はみんなが求めていた私の役目を果たせなくなったのだと悟りました。だから、舞台から退場して、自分らしい派手なことをして国を去るか、そうでなければ鮮やかに散ろうと決めたんです。――もう放っておいてください! あなた様に必要がなくなっただけでなく、あなた様にふさわしくもなくなった私など、もう用済みでいらっしゃるのでしょう⁉︎」
どこまで本気で言っているのかわからなくなってきた。混乱している。感情のままに言葉があふれ出ていた。
でも、それでよかった。言いたいことはここで言い切ってしまわないともう永遠に機会など与えられないと察していた。
ちゃんと区切りをつけておこう。後悔しないために。
マッチョさんの姿が見えないことは充分に気がかりではあるのだけれど、私は私の問題を片付けることも必要だと感じていた。
「――ルツィエ。お前はオレが思っていた以上に、オレのことや将来のことを考えていてくれたんだな」
アーデルベルトの目から怒りの炎がかげりはじめ、悲しみの色が多く混じり始めていた。彼はゆっくりとした動作で私の上から退いてくれる。
「オレはお前がオレの婚約者として社交界デビューしたときから、この白い肌を最初に見る男はオレだと信じていた。その滑らかな肌に触れて、赤く上気させるのを見るのはオレなのだと、無邪気に考えていたんだ」
「……そう」
唐突な彼の告白に、私は短く素っ気なく答えるしかない。
胸のうちとしては正直なところ呆れている。私が社交界デビューした十四歳のとき、すでに彼は私を抱くことを考えていたのだと聞かされたら、たいていの女性はそういう反応をするものではなかろうか。そのとき彼は十九歳で、血気盛んなお年頃だったもかもしれないけれど、そんな勝手な都合で情状酌量とはならない。少なくとも、私は。
「婚約者であればいずれは――と期待しているうちに、お前は綺麗になった。会うたびに気高く美しい存在へと変貌していくお前に、オレは心のどこかで嫉妬していたんだろうな。結果を急いだために、お前との時間を作ることができなかった。もっと話をかわすことができていたら、おそらくこんなことにはなっていなかったんだろう。その点はすまなかった」
「……そう」
懺悔を聞いても、今さら戻れることはない。マッチョさんはアーデルベルトと復縁することを私が望むと考えていたようだけれど、こうして自分の気持ちを吐露して、彼からの懺悔を聞いても心は動かない。ただ、そういうことだったんだと頷くだけ。
やっぱり私の気持ちはアーデルベルト王太子さまから完全に離れている。
「私は……あの日のあなた様を見て、逃げ出したくなったのだと思います。私はみんなが求めていた私の役目を果たせなくなったのだと悟りました。だから、舞台から退場して、自分らしい派手なことをして国を去るか、そうでなければ鮮やかに散ろうと決めたんです。――もう放っておいてください! あなた様に必要がなくなっただけでなく、あなた様にふさわしくもなくなった私など、もう用済みでいらっしゃるのでしょう⁉︎」
どこまで本気で言っているのかわからなくなってきた。混乱している。感情のままに言葉があふれ出ていた。
でも、それでよかった。言いたいことはここで言い切ってしまわないともう永遠に機会など与えられないと察していた。
ちゃんと区切りをつけておこう。後悔しないために。
マッチョさんの姿が見えないことは充分に気がかりではあるのだけれど、私は私の問題を片付けることも必要だと感じていた。
「――ルツィエ。お前はオレが思っていた以上に、オレのことや将来のことを考えていてくれたんだな」
アーデルベルトの目から怒りの炎がかげりはじめ、悲しみの色が多く混じり始めていた。彼はゆっくりとした動作で私の上から退いてくれる。
「オレはお前がオレの婚約者として社交界デビューしたときから、この白い肌を最初に見る男はオレだと信じていた。その滑らかな肌に触れて、赤く上気させるのを見るのはオレなのだと、無邪気に考えていたんだ」
「……そう」
唐突な彼の告白に、私は短く素っ気なく答えるしかない。
胸のうちとしては正直なところ呆れている。私が社交界デビューした十四歳のとき、すでに彼は私を抱くことを考えていたのだと聞かされたら、たいていの女性はそういう反応をするものではなかろうか。そのとき彼は十九歳で、血気盛んなお年頃だったもかもしれないけれど、そんな勝手な都合で情状酌量とはならない。少なくとも、私は。
「婚約者であればいずれは――と期待しているうちに、お前は綺麗になった。会うたびに気高く美しい存在へと変貌していくお前に、オレは心のどこかで嫉妬していたんだろうな。結果を急いだために、お前との時間を作ることができなかった。もっと話をかわすことができていたら、おそらくこんなことにはなっていなかったんだろう。その点はすまなかった」
「……そう」
懺悔を聞いても、今さら戻れることはない。マッチョさんはアーデルベルトと復縁することを私が望むと考えていたようだけれど、こうして自分の気持ちを吐露して、彼からの懺悔を聞いても心は動かない。ただ、そういうことだったんだと頷くだけ。
やっぱり私の気持ちはアーデルベルト王太子さまから完全に離れている。
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