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腹癒せにドラゴン退治に行ってきます!
ドラゴンのいる世界 2
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彼から口づけされて、私は抱きしめられながら絶頂を迎えた。視界が真っ白に弾けて、全身が戦慄く。こんな体験は前世も含めて一度もない。
意識はかろうじて繋がっている。荒く息をする私の身体を解放した彼は、私のあらゆる身体の部位に唇を落とし、キスマークを施していく。チクリと痛みを感じるとともに甘い痺れが脳を揺らした。感じすぎて、反応がおかしくなっている。
正面だけでなく背面も丁寧にキスマークをつけ、マッチョさんはようやく私の顔を見た。
「悪いな……もしもの事態に備えて細工をした。こういうことが可能なのもルツィエ、貴女しかいないからな」
「……私の回復力だったら、こんなマーク、朝までもたないわよ?」
瀕死から一晩で回復できるくらいなのに、キスマーク――つまりは内出血の痕だ――なんて一時の支配欲を埋める程度にしかならないのではなかろうか。
私が戻ってきた理性で小さく笑うと、マッチョさんは微苦笑を浮かべた。
「そうならないことを祈るよ」
必死そうな気配を感じて、私はもう笑えなかった。なんでだろう。マッチョさんが私のそばからいなくなってしまうような気がする。
「き……気持ちよかったわよ。たぶん、一生感じることができないんじゃないかって思えるくらい」
「処女なのに何言ってるんだ」
笑われた。不安な気持ちを伝える方法がすっとは浮かんでこなくて、拙くても何か言わないとと考えた結果だったのに。
でも、それでもいい。精一杯優しくしてくれたんだと思えたから。あなたの気持ちは伝わっているのだと、きちんと言わないと後悔する気がした。
なんだろう、この胸騒ぎ。
「ねえ、なんでこんなに魔力の相性がいいの? 理由はあるの? この世界の魔法に秘密があるってことなの?」
疼きから解放されて、私は聞いておかないといけないと思っていたことを矢継ぎ早に口にする。マッチョさんが言うことなら、私、信じるよ?
私がじっと見つめると、マッチョさんはそっと視線から逃れた。少し待って、彼の唇が動き始める。
「――この世界の魔法は、ドラゴンが由来なんだ。ドラゴンと人間が交わって、魔法が人間にも使えるようになり、急速に広まった」
私は全く知らなかった知識に、目を瞬かせた。
ドラゴンと人間の雑種が、この世界における魔導師の正体。
意識はかろうじて繋がっている。荒く息をする私の身体を解放した彼は、私のあらゆる身体の部位に唇を落とし、キスマークを施していく。チクリと痛みを感じるとともに甘い痺れが脳を揺らした。感じすぎて、反応がおかしくなっている。
正面だけでなく背面も丁寧にキスマークをつけ、マッチョさんはようやく私の顔を見た。
「悪いな……もしもの事態に備えて細工をした。こういうことが可能なのもルツィエ、貴女しかいないからな」
「……私の回復力だったら、こんなマーク、朝までもたないわよ?」
瀕死から一晩で回復できるくらいなのに、キスマーク――つまりは内出血の痕だ――なんて一時の支配欲を埋める程度にしかならないのではなかろうか。
私が戻ってきた理性で小さく笑うと、マッチョさんは微苦笑を浮かべた。
「そうならないことを祈るよ」
必死そうな気配を感じて、私はもう笑えなかった。なんでだろう。マッチョさんが私のそばからいなくなってしまうような気がする。
「き……気持ちよかったわよ。たぶん、一生感じることができないんじゃないかって思えるくらい」
「処女なのに何言ってるんだ」
笑われた。不安な気持ちを伝える方法がすっとは浮かんでこなくて、拙くても何か言わないとと考えた結果だったのに。
でも、それでもいい。精一杯優しくしてくれたんだと思えたから。あなたの気持ちは伝わっているのだと、きちんと言わないと後悔する気がした。
なんだろう、この胸騒ぎ。
「ねえ、なんでこんなに魔力の相性がいいの? 理由はあるの? この世界の魔法に秘密があるってことなの?」
疼きから解放されて、私は聞いておかないといけないと思っていたことを矢継ぎ早に口にする。マッチョさんが言うことなら、私、信じるよ?
私がじっと見つめると、マッチョさんはそっと視線から逃れた。少し待って、彼の唇が動き始める。
「――この世界の魔法は、ドラゴンが由来なんだ。ドラゴンと人間が交わって、魔法が人間にも使えるようになり、急速に広まった」
私は全く知らなかった知識に、目を瞬かせた。
ドラゴンと人間の雑種が、この世界における魔導師の正体。
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