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さあ、婚約破棄から始めましょう!
幸せな目覚め
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・#・#・#・#・#・
目が覚める。誰かの腕の中に自分の身体がおさまっていることに驚いて、ゴーティエ王子の抱き枕になっているのだと理解する。
戻ってきてしまった……。
私は心の中でため息をついた。ヴァランティーヌが表面に出てきたなら、私は消えてなくなろうと願っていたのに。今の彼らなら道を誤ることなく国民を導けるだろうと期待していたから、なおのこと残念だった。
私は結末を見届けるつもりはないのに。
ゴーティエ王子とヴァランティーヌの幸せな結末を望んではいる。でも、そのために私があれこれ動こうとは、今は思えない。
ゴーティエ王子には信頼できる仲間がいる。彼らと協力することが、この『プリンセス・ソニア』という物語の正しい姿だろう。私は外部の人間なのだから、できる限り介入すべきではない。
「……ヴァランティーヌ?」
ゴーティエ王子がゆっくりと目を開けた。彼の瞳が私を映す。
「おはようございます、ゴーティエさま」
私は微笑んでみせた。彼の負担にはなりたくなかった。
「疲れは残っていないか?」
「えっと……少し身体が重いです」
私の意識が飛んでいる間にイチャイチャしていたのだろう感覚が残っている。ヴァランティーヌはゴーティエ王子を拒まず受け入れたのだろう。
「そうか……」
「あ、あの。私、途中から記憶がなくて。その、子ができるような行為は、えっと……」
不安になって尋ねると、ゴーティエ王子は困ったように笑った。
「案ずるな。触れただけで挿れてはいない。貴女の意に反することはせんぞ」
そう返して、私の額に唇を落とした。くすぐったい。
たぶん、本当なんだろうな……。
ヴァランティーヌとともに歩く未来のために、彼なりに抑えているのだろう。
「……ですよね」
「疲れて眠ってしまった貴女の身体を拭ってはおいたが、入浴は必要か?」
「いえ。……ですが、ゴーティエさまが入浴するのであればお付き合いいたしますわ」
王族は一人では入浴をしない。安全のためでもあるので、そういうものだと理解している。
私が提案すると、ゴーティエ王子は目をまんまるくして驚いたあとに、優しく微笑んだ。
「可愛いことをいう。ならば、ともに入ろうか」
「お湯の準備は」
「ここは温泉があるのだ。案内しよう」
温泉? ゲームにそんなシーンはなかったよね?
今度は私が驚く番だ。目を瞬かせていると、ゴーティエ王子はするりとベッドからおりる。
「貴女の着替えはそこにある。服を着て、着替えを持つといい」
「は、はい。すぐに支度いたします」
「ゆっくりでいいぞ。今はまだ、時間がある」
窓の外を見やってはっきりと告げる。確信しているような口ぶりだった。
ゴーティエさまは王都がどんな状態なのかわかっているのかしら。
王都で攻略対象たちが手を組んでクーデターを起こすルートを私は知らないが、ゴーティエ王子は何かを察しているのか既知のこととして理解しているかのような言動だ。
ゴーティエ王子の様子に気を配りながら、私はドレスを着込むのだった。
目が覚める。誰かの腕の中に自分の身体がおさまっていることに驚いて、ゴーティエ王子の抱き枕になっているのだと理解する。
戻ってきてしまった……。
私は心の中でため息をついた。ヴァランティーヌが表面に出てきたなら、私は消えてなくなろうと願っていたのに。今の彼らなら道を誤ることなく国民を導けるだろうと期待していたから、なおのこと残念だった。
私は結末を見届けるつもりはないのに。
ゴーティエ王子とヴァランティーヌの幸せな結末を望んではいる。でも、そのために私があれこれ動こうとは、今は思えない。
ゴーティエ王子には信頼できる仲間がいる。彼らと協力することが、この『プリンセス・ソニア』という物語の正しい姿だろう。私は外部の人間なのだから、できる限り介入すべきではない。
「……ヴァランティーヌ?」
ゴーティエ王子がゆっくりと目を開けた。彼の瞳が私を映す。
「おはようございます、ゴーティエさま」
私は微笑んでみせた。彼の負担にはなりたくなかった。
「疲れは残っていないか?」
「えっと……少し身体が重いです」
私の意識が飛んでいる間にイチャイチャしていたのだろう感覚が残っている。ヴァランティーヌはゴーティエ王子を拒まず受け入れたのだろう。
「そうか……」
「あ、あの。私、途中から記憶がなくて。その、子ができるような行為は、えっと……」
不安になって尋ねると、ゴーティエ王子は困ったように笑った。
「案ずるな。触れただけで挿れてはいない。貴女の意に反することはせんぞ」
そう返して、私の額に唇を落とした。くすぐったい。
たぶん、本当なんだろうな……。
ヴァランティーヌとともに歩く未来のために、彼なりに抑えているのだろう。
「……ですよね」
「疲れて眠ってしまった貴女の身体を拭ってはおいたが、入浴は必要か?」
「いえ。……ですが、ゴーティエさまが入浴するのであればお付き合いいたしますわ」
王族は一人では入浴をしない。安全のためでもあるので、そういうものだと理解している。
私が提案すると、ゴーティエ王子は目をまんまるくして驚いたあとに、優しく微笑んだ。
「可愛いことをいう。ならば、ともに入ろうか」
「お湯の準備は」
「ここは温泉があるのだ。案内しよう」
温泉? ゲームにそんなシーンはなかったよね?
今度は私が驚く番だ。目を瞬かせていると、ゴーティエ王子はするりとベッドからおりる。
「貴女の着替えはそこにある。服を着て、着替えを持つといい」
「は、はい。すぐに支度いたします」
「ゆっくりでいいぞ。今はまだ、時間がある」
窓の外を見やってはっきりと告げる。確信しているような口ぶりだった。
ゴーティエさまは王都がどんな状態なのかわかっているのかしら。
王都で攻略対象たちが手を組んでクーデターを起こすルートを私は知らないが、ゴーティエ王子は何かを察しているのか既知のこととして理解しているかのような言動だ。
ゴーティエ王子の様子に気を配りながら、私はドレスを着込むのだった。
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