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さあ、婚約破棄から始めましょう!
有意義な会議のあとで 1
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現状と前世の記憶を整理する作業はとても興味深く、議論は白熱した。お茶と軽食を取りながらの意見交換の場は有用なものになったに違いない。私たち五人は時が経つのも忘れて没頭していたのだが――。
「あら、いけない。そろそろお暇しないと」
紅茶のおかわりが尽きていることに気づいたエリーが、意匠の凝った懐中時計を取り出して時刻を確認する。
「部屋を用意したほうがいいか?」
ゴーティエ王子が一瞬だけ外に目をやってから、エリーに話しかける。
窓の外は真っ暗で、とても静かだ。王都で大きな事件が起きているなんて信じられないほどに。
「いえ。あたしがここにいるのが知られると話がややこしくなりますから」
エリーはゴーティエ王子の提案にそう応えて、私たちを見やる。そして頭巾を目深に被り直した。
「必要なときに呼んでくださいな。いつでもどこでも馳せ参じましょう。あなたさまの身代わりに命を差し出せとお申し付けの際も喜んで」
口元が笑みを作る。そう見えたと認識したときには、エリーの姿は忽然として消え去っていた。
身代わり計画は却下したはずなのに。
私は小さく息を吐き出す。エリーがこの場に姿を現したこと自体が彼の覚悟を示しているのだとしたら、私たちが説得を試みたところでそう簡単に揺らがないのかもしれないけれど。
「――バグ、ねえ」
一連のやり取りを黙って見ていたアロルドが興味深そうに呟く。エルベルは早速書類を片付け始めていた。
「僕たちも休息をとりましょう。ちょうどキリのいいところですし、事態が急変したときにすぐさま対処できなければ意味がない」
「それもそうだな」
ゴーティエ王子の返答に、エルベルは解散の許可を得たと考えたのだろう。書類をテーブルの上にまとめると、食器類を手際よく片付けてくれた。
「では、僕は先に失礼しますね」
エルベルは私たちにひらひらと手を振って立ち去る。
「――休息も大事ですよね。事態は急速に動いている最中なのだもの」
エリーとエルベルの行動の早さから考えると、彼らは自身の疲労回復を優先させたのかもしれない。このまま続けていても有意義な結論は得られないと踏んだのだろう。賢明な判断である。
「それで、アロルドはなにゆえに残っているのだ?」
なかなか退出しようとしないアロルドをゴーティエ王子がひと睨みした。
「あら、いけない。そろそろお暇しないと」
紅茶のおかわりが尽きていることに気づいたエリーが、意匠の凝った懐中時計を取り出して時刻を確認する。
「部屋を用意したほうがいいか?」
ゴーティエ王子が一瞬だけ外に目をやってから、エリーに話しかける。
窓の外は真っ暗で、とても静かだ。王都で大きな事件が起きているなんて信じられないほどに。
「いえ。あたしがここにいるのが知られると話がややこしくなりますから」
エリーはゴーティエ王子の提案にそう応えて、私たちを見やる。そして頭巾を目深に被り直した。
「必要なときに呼んでくださいな。いつでもどこでも馳せ参じましょう。あなたさまの身代わりに命を差し出せとお申し付けの際も喜んで」
口元が笑みを作る。そう見えたと認識したときには、エリーの姿は忽然として消え去っていた。
身代わり計画は却下したはずなのに。
私は小さく息を吐き出す。エリーがこの場に姿を現したこと自体が彼の覚悟を示しているのだとしたら、私たちが説得を試みたところでそう簡単に揺らがないのかもしれないけれど。
「――バグ、ねえ」
一連のやり取りを黙って見ていたアロルドが興味深そうに呟く。エルベルは早速書類を片付け始めていた。
「僕たちも休息をとりましょう。ちょうどキリのいいところですし、事態が急変したときにすぐさま対処できなければ意味がない」
「それもそうだな」
ゴーティエ王子の返答に、エルベルは解散の許可を得たと考えたのだろう。書類をテーブルの上にまとめると、食器類を手際よく片付けてくれた。
「では、僕は先に失礼しますね」
エルベルは私たちにひらひらと手を振って立ち去る。
「――休息も大事ですよね。事態は急速に動いている最中なのだもの」
エリーとエルベルの行動の早さから考えると、彼らは自身の疲労回復を優先させたのかもしれない。このまま続けていても有意義な結論は得られないと踏んだのだろう。賢明な判断である。
「それで、アロルドはなにゆえに残っているのだ?」
なかなか退出しようとしないアロルドをゴーティエ王子がひと睨みした。
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