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さあ、婚約破棄から始めましょう!
私たちの運命 1
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優しい口づけで私は起こされた。
はぁ……家に帰りたい……。
ゆっくりと目を開けると、ゴーティエ王子の麗しい顔があった。少々困惑気味。
「おはようございます、ゴーティエさま。どうかされましたか?」
「負担をかけてすまない。どうにも歯止めがきかなくてな。こんなはずじゃなかったんだ」
あんまりにも動揺している様子だったので、私はにっこりと微笑んだ。
「では、どんなつもりでしたの?」
「嫌わないでくれ、ヴァランティーヌ」
「嫌ってなどいませんよ、ゴーティエさま。ただ、お互いのことを考えると、婚約はなかったことにするのがよろしいのではと考えているだけで」
少なくとも今は、結婚するべきではないと感じられる。
このゲームはソフィエットが恋をして結ばれるというだけの筋だっただろうか?
何か重要なことを忘れている気がする。自分自身の運命はとにかく、もっとなにか重大ななにかが――。
私が意見を述べると、ゴーティエ王子は私を抱きしめた。私が抱きしめ返そうとしたところで、まだ手が自由になっていないことに気づく。
ええ……監禁されるんですか、このまま私……。
「ヴァランティーヌ、オレは貴女を失いたくない。それだけなんだ」
「私だって死にたくはありません。それに、あなたさまを失うことも嫌です。互いに生きて、生き延びましょう」
そう答えたとき、ゴーティエ王子の様子がおかしい原因に思い至った。
もしかしたら、ゴーティエ王子は……。
「――あの、ゴーティエさま? もしや、未来を占ってもらったのではありませんか?」
リオン家に仕えている専属の予言者はおそらくいる。専門分野がいくつか分かれていることを思うと、複数人いてもおかしくはない。
国としては貴族院が機能しているので、政まつりごとをまじないに委ねているわけではないが、天候についてや祭典等の催し事の日取りは予言者を頼っていると聞いている。予言者はこの国の重要な職業なのだ。
私の問いに、ゴーティエ王子はびくりと身体を震わせた。どうやら図星の様子。
「そこで何か悪い未来を聞いたのではありませんか?」
促すように尋ねる。ゴーティエ王子は逡巡しているような間をとって、ようやく私から離れた。でも、すぐに私に背を向けてしまい、黙っている。
私は言葉を続けた。
「感情が高ぶっていたのは寝不足が原因だったのでしょう。その寝不足の原因は、悪い予言が気になっていたからでは?」
「なかなか鋭いな……。さすがはヴァランティーヌだ」
白状したのだと捉えていいんだろうか。彼はまだ私に背を向けたままだ。
「一緒に乗り越えるためにも、話をお聞かせてください。策を練りましょう」
話し合うついでに手首を解放してくれないかな、と私は密かに期待する。
ゴーティエ王子は動かなかった。
「全てを話さなくても構いませんわ。ですから――」
「いや。きっと、変えることはできないのだろう。オレは逃れられないのだから」
「そんなこと、動いてみないとわかりませんでしょう? 諦めてはいけません」
私が励ますために告げると、彼は私の顔をようやく見た。彼の瞳が冷たく光っている。
「ならば、子をなしてみるか?」
「え?」
なにがどうなってそういう言葉が出てきたのかが理解できない。考えている間にゴーティエ王子が馬乗りになっていた。
「本当に変えられるなら、そういう方法もあるんだ」
彼の指先が私の乳房に食い込んだ。やわやわと揉まれて、私は身じろぎする。
「どういう意味です?」
「オレがオレの進む道を変えるなら、この方法が一番だというだけのことだ、ヴァランティーヌ」
「え、そ、そんな……待って、考えましょう? きっと突破口がある……あっ……」
首筋に口づけられて、私は昨夜の快楽を思い出す。はしたなくも貪欲に蜜がこぼれる感触があって、私は内腿をもじもじさせた。
「子どもができるまで、一緒にいようじゃないか、ヴァランティーヌ。仕事なら済ませてあるんだ。貴女が気にすることはないよ」
「だ、ダメです! ゴーティエさまはソフィエット嬢を助けてしまったんでしょう? 出会ってしまったからには、彼女が王太子妃に――」
そこまで告げて、私は重要なことを思い出した。
そうよ。だから、あのゲームのタイトルは――
もっと深く考えようとしたとき、官能がせり上がって現実に引き戻された。
「他の女の話などするな」
彼の指が隘路を開く。言葉を発さねばと思ったのに、深い口づけがされて声が出せない。
「あっ……いやっ……」
「嫌なものか。こんなにオレを求めているのに、どうして拒絶する? オレは貴女を死なせないし、離れさせないよ」
「やっ……しちゃいや……」
抵抗らしい抵抗なんてできない。首を左右に振って拒否するが、ゴーティエ王子がその程度でとどめてくれるはずがなかった。
「ヴァランティーヌ。優しくするから、諦めろ」
秘部に熱を感じる。太い棒状のものが押し当てられて、割れ目を擦っているのだ。
「や、いやぁっ! こんな、やっ、待って」
「待てない。時間はかけただろう? 朝目覚めて、もう待てないと悟ったんだ。愛してる、ヴァランティーヌ。オレがオレでなくなる前に、どうか――」
指とは違うものが入り込んだのが伝わってきた。ぐっと中を押し広げてめり込んでいく。
「あっ……ああっ」
息ができない。
「あんなにほぐしたのに……ッ」
「うぅっ……」
苦しい。
「動くぞ」
「ん、あっ⁉︎」
言葉が出てこない代わりに涙がこぼれた。
ゆっくりと腰が動かされて、内部を穿つ。狭いながらも、身体は彼を受け入れたがっているようでとても濡れていた。
「ヴァランティーヌ……」
始めはのんびりとしていた抽挿が徐々に早くなっていく。入口からどんどん奥に貫かれていく。
ゴーティエさま……どうして、こんな……。
痛みと悲しみで状況を理解することを拒んだ私は、一番奥になにかを浴びせられたらしいことを感じたのを最後に意識を飛ばした。
はぁ……家に帰りたい……。
ゆっくりと目を開けると、ゴーティエ王子の麗しい顔があった。少々困惑気味。
「おはようございます、ゴーティエさま。どうかされましたか?」
「負担をかけてすまない。どうにも歯止めがきかなくてな。こんなはずじゃなかったんだ」
あんまりにも動揺している様子だったので、私はにっこりと微笑んだ。
「では、どんなつもりでしたの?」
「嫌わないでくれ、ヴァランティーヌ」
「嫌ってなどいませんよ、ゴーティエさま。ただ、お互いのことを考えると、婚約はなかったことにするのがよろしいのではと考えているだけで」
少なくとも今は、結婚するべきではないと感じられる。
このゲームはソフィエットが恋をして結ばれるというだけの筋だっただろうか?
何か重要なことを忘れている気がする。自分自身の運命はとにかく、もっとなにか重大ななにかが――。
私が意見を述べると、ゴーティエ王子は私を抱きしめた。私が抱きしめ返そうとしたところで、まだ手が自由になっていないことに気づく。
ええ……監禁されるんですか、このまま私……。
「ヴァランティーヌ、オレは貴女を失いたくない。それだけなんだ」
「私だって死にたくはありません。それに、あなたさまを失うことも嫌です。互いに生きて、生き延びましょう」
そう答えたとき、ゴーティエ王子の様子がおかしい原因に思い至った。
もしかしたら、ゴーティエ王子は……。
「――あの、ゴーティエさま? もしや、未来を占ってもらったのではありませんか?」
リオン家に仕えている専属の予言者はおそらくいる。専門分野がいくつか分かれていることを思うと、複数人いてもおかしくはない。
国としては貴族院が機能しているので、政まつりごとをまじないに委ねているわけではないが、天候についてや祭典等の催し事の日取りは予言者を頼っていると聞いている。予言者はこの国の重要な職業なのだ。
私の問いに、ゴーティエ王子はびくりと身体を震わせた。どうやら図星の様子。
「そこで何か悪い未来を聞いたのではありませんか?」
促すように尋ねる。ゴーティエ王子は逡巡しているような間をとって、ようやく私から離れた。でも、すぐに私に背を向けてしまい、黙っている。
私は言葉を続けた。
「感情が高ぶっていたのは寝不足が原因だったのでしょう。その寝不足の原因は、悪い予言が気になっていたからでは?」
「なかなか鋭いな……。さすがはヴァランティーヌだ」
白状したのだと捉えていいんだろうか。彼はまだ私に背を向けたままだ。
「一緒に乗り越えるためにも、話をお聞かせてください。策を練りましょう」
話し合うついでに手首を解放してくれないかな、と私は密かに期待する。
ゴーティエ王子は動かなかった。
「全てを話さなくても構いませんわ。ですから――」
「いや。きっと、変えることはできないのだろう。オレは逃れられないのだから」
「そんなこと、動いてみないとわかりませんでしょう? 諦めてはいけません」
私が励ますために告げると、彼は私の顔をようやく見た。彼の瞳が冷たく光っている。
「ならば、子をなしてみるか?」
「え?」
なにがどうなってそういう言葉が出てきたのかが理解できない。考えている間にゴーティエ王子が馬乗りになっていた。
「本当に変えられるなら、そういう方法もあるんだ」
彼の指先が私の乳房に食い込んだ。やわやわと揉まれて、私は身じろぎする。
「どういう意味です?」
「オレがオレの進む道を変えるなら、この方法が一番だというだけのことだ、ヴァランティーヌ」
「え、そ、そんな……待って、考えましょう? きっと突破口がある……あっ……」
首筋に口づけられて、私は昨夜の快楽を思い出す。はしたなくも貪欲に蜜がこぼれる感触があって、私は内腿をもじもじさせた。
「子どもができるまで、一緒にいようじゃないか、ヴァランティーヌ。仕事なら済ませてあるんだ。貴女が気にすることはないよ」
「だ、ダメです! ゴーティエさまはソフィエット嬢を助けてしまったんでしょう? 出会ってしまったからには、彼女が王太子妃に――」
そこまで告げて、私は重要なことを思い出した。
そうよ。だから、あのゲームのタイトルは――
もっと深く考えようとしたとき、官能がせり上がって現実に引き戻された。
「他の女の話などするな」
彼の指が隘路を開く。言葉を発さねばと思ったのに、深い口づけがされて声が出せない。
「あっ……いやっ……」
「嫌なものか。こんなにオレを求めているのに、どうして拒絶する? オレは貴女を死なせないし、離れさせないよ」
「やっ……しちゃいや……」
抵抗らしい抵抗なんてできない。首を左右に振って拒否するが、ゴーティエ王子がその程度でとどめてくれるはずがなかった。
「ヴァランティーヌ。優しくするから、諦めろ」
秘部に熱を感じる。太い棒状のものが押し当てられて、割れ目を擦っているのだ。
「や、いやぁっ! こんな、やっ、待って」
「待てない。時間はかけただろう? 朝目覚めて、もう待てないと悟ったんだ。愛してる、ヴァランティーヌ。オレがオレでなくなる前に、どうか――」
指とは違うものが入り込んだのが伝わってきた。ぐっと中を押し広げてめり込んでいく。
「あっ……ああっ」
息ができない。
「あんなにほぐしたのに……ッ」
「うぅっ……」
苦しい。
「動くぞ」
「ん、あっ⁉︎」
言葉が出てこない代わりに涙がこぼれた。
ゆっくりと腰が動かされて、内部を穿つ。狭いながらも、身体は彼を受け入れたがっているようでとても濡れていた。
「ヴァランティーヌ……」
始めはのんびりとしていた抽挿が徐々に早くなっていく。入口からどんどん奥に貫かれていく。
ゴーティエさま……どうして、こんな……。
痛みと悲しみで状況を理解することを拒んだ私は、一番奥になにかを浴びせられたらしいことを感じたのを最後に意識を飛ばした。
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