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さあ、婚約破棄から始めましょう!
思惑どおりにならない 3
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私は咳払いをして、ゴーティエ王子の腕を解いた。
「――ゴーティエさま、話が面倒な方向に進んでいるので修正したいのですが、まずはどうしてこちらにアロルドさまが?」
すると、ゴーティエ王子はアロルドから一番遠い席の椅子を引いて私を招く。
「ソフィエット嬢の話をするのであれば、アロルドもいたほうがいいのではないかと考えたのだ。そもそもソフィエット嬢がオレに近づくことがなければいいのだろう?」
「ええ、まあ……」
私は素直にゴーティエ王子が示した椅子に腰を下ろす。その隣にゴーティエ王子が腰掛けた。
微妙に近すぎる……。
私たちの会話を聞いて、アロルドが不思議そうな顔をした。
「ん? ソフィエット嬢? あの伯爵家の娘さんに何かあったのか?」
「いや、これから何かが起きるんだ。それで、ヴァランティーヌが危機に陥る」
ゴーティエ王子がきっぱりと告げると、アロルドはそれだけで納得顔をした。
へえ。大した情報はないのに伝わるんだ。
私が驚きで目を瞬かせていると、アロルドは口を動かす。
「誰に占ってもらったんだ?」
予言なのだと理解したらしい。この世界に予言システムが実装されていて本当によかったと思う。
私は問いに対して小さく手を挙げた。うっかり私がアロルドに声をかけてしまったら決闘を申し込む展開になりかねないので、できる限り直接には喋らないようにしようと努める。
アロルドは目を細めた。
「へえ。不吉なものを見たもんだな」
「ヴァランティーヌにとっての危機だからな、そういうものを見るときは見るだろう。グールドン家は一族に危機が訪れると未来を予知できるものが現れるのだと聞いているからな。なにも不思議なことはない」
え、そうなの?
ゴーティエ王子の補足に私は驚いて彼に顔を向ける。自分の一族に予言者体質の人間がいるなんて聞いたことがなかったからだ。
ゲームの設定でもヴァランティーヌ・グールドンについては特には触れられていなかった気がする。主人公の情報は漏れていない設定のはずなのにプレイヤーの邪魔を熱心にしてくるなあとは思っていたが、そういう言動が予言によるものだったということだろうか。
「なるほど、そういう噂はあったな。俺としては危機を回避し続けられたのは予言のおかげじゃなくて、根回しがうまかったり頭の回転が良くていい感じに切り抜けているんだと解釈していたが」
私の実感はアロルドの指摘のとおりだ。父は自身の力でとてもうまく政治を行なっているように映る。
「そういう部分もあるにはあるだろうな」
「――で、ソフィエット嬢が邪魔になる未来が見えたわけだ。この様子だとゴーティエがよそ見をするようには思えないが」
そう告げて、アロルドはゴーティエ王子を見つめる。私に直接話すのを禁じられてしまったため、律儀に守っているのだろう。
「そうだ。浮気などあるわけがない。ただ、それゆえに、ヴァランティーヌはオレとの子を流して自身の命も落とす。結果として、王太子妃にソフィエット嬢がおさまるそうだ」
「ああ、そういう……。ふぅん。ソフィエット嬢も面倒なところに巻き込まれているんだな。先日の暴漢も面倒だったが、そもそも彼女はそういう星回りなのかねえ」
腕を組んで、しみじみとアロルドは告げた。ソフィエットを案じているようだ。
そういえば、私が出席できなかったパーティーでソフィエットはゴーティエ王子とアロルドに助けられていたんだっけ。まだ詳細を聞いていなかったなぁ。
「――ゴーティエさま、話が面倒な方向に進んでいるので修正したいのですが、まずはどうしてこちらにアロルドさまが?」
すると、ゴーティエ王子はアロルドから一番遠い席の椅子を引いて私を招く。
「ソフィエット嬢の話をするのであれば、アロルドもいたほうがいいのではないかと考えたのだ。そもそもソフィエット嬢がオレに近づくことがなければいいのだろう?」
「ええ、まあ……」
私は素直にゴーティエ王子が示した椅子に腰を下ろす。その隣にゴーティエ王子が腰掛けた。
微妙に近すぎる……。
私たちの会話を聞いて、アロルドが不思議そうな顔をした。
「ん? ソフィエット嬢? あの伯爵家の娘さんに何かあったのか?」
「いや、これから何かが起きるんだ。それで、ヴァランティーヌが危機に陥る」
ゴーティエ王子がきっぱりと告げると、アロルドはそれだけで納得顔をした。
へえ。大した情報はないのに伝わるんだ。
私が驚きで目を瞬かせていると、アロルドは口を動かす。
「誰に占ってもらったんだ?」
予言なのだと理解したらしい。この世界に予言システムが実装されていて本当によかったと思う。
私は問いに対して小さく手を挙げた。うっかり私がアロルドに声をかけてしまったら決闘を申し込む展開になりかねないので、できる限り直接には喋らないようにしようと努める。
アロルドは目を細めた。
「へえ。不吉なものを見たもんだな」
「ヴァランティーヌにとっての危機だからな、そういうものを見るときは見るだろう。グールドン家は一族に危機が訪れると未来を予知できるものが現れるのだと聞いているからな。なにも不思議なことはない」
え、そうなの?
ゴーティエ王子の補足に私は驚いて彼に顔を向ける。自分の一族に予言者体質の人間がいるなんて聞いたことがなかったからだ。
ゲームの設定でもヴァランティーヌ・グールドンについては特には触れられていなかった気がする。主人公の情報は漏れていない設定のはずなのにプレイヤーの邪魔を熱心にしてくるなあとは思っていたが、そういう言動が予言によるものだったということだろうか。
「なるほど、そういう噂はあったな。俺としては危機を回避し続けられたのは予言のおかげじゃなくて、根回しがうまかったり頭の回転が良くていい感じに切り抜けているんだと解釈していたが」
私の実感はアロルドの指摘のとおりだ。父は自身の力でとてもうまく政治を行なっているように映る。
「そういう部分もあるにはあるだろうな」
「――で、ソフィエット嬢が邪魔になる未来が見えたわけだ。この様子だとゴーティエがよそ見をするようには思えないが」
そう告げて、アロルドはゴーティエ王子を見つめる。私に直接話すのを禁じられてしまったため、律儀に守っているのだろう。
「そうだ。浮気などあるわけがない。ただ、それゆえに、ヴァランティーヌはオレとの子を流して自身の命も落とす。結果として、王太子妃にソフィエット嬢がおさまるそうだ」
「ああ、そういう……。ふぅん。ソフィエット嬢も面倒なところに巻き込まれているんだな。先日の暴漢も面倒だったが、そもそも彼女はそういう星回りなのかねえ」
腕を組んで、しみじみとアロルドは告げた。ソフィエットを案じているようだ。
そういえば、私が出席できなかったパーティーでソフィエットはゴーティエ王子とアロルドに助けられていたんだっけ。まだ詳細を聞いていなかったなぁ。
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