上 下
9 / 9
水鏡の深淵

お披露目パーティー 2

しおりを挟む
******


 浴室はよく声が響く。
 大きな鏡に手をついて、私は背後から龍司に抱かれていた。

「あんっ、あっ、りゅう……っ」
「気持ちがよさそうだな」

 鏡越しに見る龍司の顔は余裕がなくなっている。腰の動きが徐々に速くなっていた。

「い、イっちゃう」
「出すぞ」

 腰に手を回される。快感に驚いて逃げようとするのを防がれて、最奥を激しく刺激される。

「ひゃ、あっ、ああっ!」
「ぐぅっ」

 私の中の龍司が大きく膨らんで、その刺激が私を恍惚とさせる。ゆるゆると動かれると、私は体を震わせた。

「……龍ちゃんは、鏡、好きだよね」

 龍司の膝の上に乗せられて休憩しながら、私は言う。

「そうだろうか?」
「鏡の前でするとき、いつもちょっと激しい」
「痛むのか?」
「痛きもちい感じだから、それは大丈夫」
「幸菜の体を思いやれなくて申し訳ない」
「そういう話じゃないの。なんか、誰かと張り合っている、みたいな?」
「幸菜のよがっている姿は興奮する。鏡越しだと、よりいっそう、クるんだ」

 想像したらしく、私の腰に元気を取り戻した彼の熱が当たった。身体の反応は正直だ。私は苦笑する。

「龍ちゃんが楽しんでいるならいいよ」
「幸菜が嫌なら、鏡は使わない」

 私は首をゆるゆると横に振った。

「ううん。私も鏡は好きだから」

 理由を告げそうになるのを、私は口を閉じて我慢した。
 鏡越しに見る龍司は昇太の姿と重なって、二人に代わる代わる抱かれたあの日を思い出すのだ。あれほど激しく求められたのは、あの日以来一度もない。

「……幸菜」
「うん?」

 悟られたんじゃないかと焦って振り向けば、龍司に甘い口づけを与えられた。

「んっ、ふぅっ……?」
「……もう一回、挿れたい。嫌か?」
「いいよ、好きなだけ付き合うよ。私もしたい気分なの」

 パーティの準備と学業の両立で忙しく、この二ヶ月はご無沙汰だった。求められると嬉しい。

「ゴム、足りるか?」
「昇ちゃんが別れ際にくれたから大丈夫じゃない?」

 パーティを終えて瞳子と赤子と一緒に帰るところを見送りに行ったら、昇太がこっそりと私に押し付けてきたのだ。受け取った時には気づかなかったが、必要になると思ってと耳打ちされて私は中身を察したのだった。
 私が明かせば、龍司の眉間に皺が寄る。

「なんで兄貴は幸菜に渡すんだ……」
「私から誘わないとしない約束に気づいているんじゃない?」
「俺はそんなにわかりやすいだろうか」
「双子の兄弟だからじゃないの?」
「俺には兄貴のことはわからん」
「じゃあ、相手が昇ちゃんだから、だよ」

 私がそう告げて慰めると、龍司は大きく息をついた。

「そうだな、昇太だから、だろうな」

 再び深い口づけをして、ゴムをつけ直した龍司が私の中に入ってくる。それはとても幸せな時間だった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【R18】国王陛下はずっとご執心です〜我慢して何も得られないのなら、どんな手を使ってでも愛する人を手に入れよう〜

まさかの
恋愛
濃厚な甘々えっちシーンばかりですので閲覧注意してください! 題名の☆マークがえっちシーンありです。 王位を内乱勝ち取った国王ジルダールは護衛騎士のクラリスのことを愛していた。 しかし彼女はその気持ちに気付きながらも、自分にはその資格が無いとジルダールの愛を拒み続ける。 肌を重ねても去ってしまう彼女の居ない日々を過ごしていたが、実の兄のクーデターによって命の危険に晒される。 彼はやっと理解した。 我慢した先に何もないことを。 ジルダールは彼女の愛を手に入れるために我慢しないことにした。 小説家になろう、アルファポリスで投稿しています。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【R18】朝から逆ご奉仕されるメイドさん

ねんごろ
恋愛
朝日の気持ちいい、そんな朝に。 私のご主人様がたっぷりと愛してくれるのです。

【R18】幼馴染な陛下と、甘々な毎日になりました💕

月極まろん
恋愛
 幼なじみの陛下に、気持ちだけでも伝えたくて。いい思い出にしたくて告白したのに、執務室のソファに座らせられて、なぜかこんなえっちな日々になりました。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

年上彼氏に気持ちよくなってほしいって 伝えたら実は絶倫で連続イキで泣いてもやめてもらえない話

ぴんく
恋愛
いつもえっちの時はイきすぎてバテちゃうのが密かな悩み。年上彼氏に思い切って、気持ちよくなって欲しいと伝えたら、実は絶倫で 泣いてもやめてくれなくて、連続イキ、潮吹き、クリ責め、が止まらなかったお話です。 愛菜まな 初めての相手は悠貴くん。付き合って一年の間にたくさん気持ちいい事を教わり、敏感な身体になってしまった。いつもイきすぎてバテちゃうのが悩み。 悠貴ゆうき 愛菜の事がだいすきで、どろどろに甘やかしたいと思う反面、愛菜の恥ずかしい事とか、イきすぎて泣いちゃう姿を見たいと思っている。

【R18】私は婚約者のことが大嫌い

みっきー・るー
恋愛
侯爵令嬢エティカ=ロクスは、王太子オブリヴィオ=ハイデの婚約者である。 彼には意中の相手が別にいて、不貞を続ける傍ら、性欲を晴らすために婚約者であるエティカを抱き続ける。 次第に心が悲鳴を上げはじめ、エティカは執事アネシス=ベルに、私の汚れた身体を、手と口を使い清めてくれるよう頼む。 そんな日々を続けていたある日、オブリヴィオの不貞を目の当たりにしたエティカだったが、その後も彼はエティカを変わらず抱いた。 ※R18回は※マーク付けます。 ※二人の男と致している描写があります。 ※ほんのり血の描写があります。 ※思い付きで書いたので、設定がゆるいです。

【R18】絶倫にイかされ逝きました

桜 ちひろ
恋愛
性欲と金銭的に満たされるからという理由で風俗店で働いていた。 いつもと変わらず仕事をこなすだけ。と思っていたが 巨根、絶倫、執着攻め気味なお客さんとのプレイに夢中になり、ぐずぐずにされてしまう。 隣の部屋にいるキャストにも聞こえるくらい喘ぎ、仕事を忘れてイきまくる。 1日貸切でプレイしたのにも関わらず、勤務外にも続きを求めてアフターまでセックスしまくるお話です。 巨根、絶倫、連続絶頂、潮吹き、カーセックス、中出しあり。

処理中です...