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影の王女の成婚
夢中になって覗いていたら思わぬ人に見られてました⁉︎ 2
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逃げ場はない。高身長のバルドゥインから見下ろされると私はすくんだ。彼はさっきの騎士たちと比べたら細身だと思うのだけれど、威圧感は王族ゆえかすごく強いのだ。
「さて」
「……何をなさるおつもりで?」
小声で尋ねる。
「彼らを上長に突き出されたくないなら、僕に従ってもらおうか」
「別に、突き出していただいて結構ですが。持ち場に戻る時間もとうに過ぎていますし、叱られてよいかと存じます」
「ほう……僕に意見するか」
冷ややかな視線に興味の色が滲む。
――おっと、選択肢を誤ったな?
上の人間に盾突くようなことを言うなと散々注意されてきたのに、ついつい反発してしまった。わかりやすいピンチである。
「私にも仕事がありますので、持ち場に戻らねばならないのですが」
騎士たちが先に退出し、時間をあけてエリーゼが出てくる。彼女は私を探しているらしく、名前を呼んでいた。
「……君の名前はマグダレナというのか」
「偽名ですけどね」
私の返事に、バルドゥインは鼻を鳴らした。
「そうだろうな。君の持つ懐中時計が盗まれたものでないなら、それは偽名なのだろう」
「え?」
まさか私の話を認めるとは思わなくて、顔を上げてしまった。バルドゥインの綺麗な顔を直視すると眩しい。彼はニヤリと笑うと私の唇を自身の唇で塞いだ。
「んんっ、ふぅっ⁉︎」
パニックになって口を開けてしまったのは悪手だった。彼の長くて太い舌が入り込んで喉の奥をなぞる。
――苦しい。
苦しいのにゾクゾクしてきて、膝がガクガクと震え出す。
「あ、マグダレナ……って、ふふ。ごゆっくりー」
エリーゼが私に気づいたらしかったが、何を思ったのか助けずに立ち去ってしまった。
――ちょっ、待って。
離れてほしくて彼の胸を押すけれどびくともしない。困惑しているうちに彼の手がスカートの中に入り込み、下着に触れた。
「んんんん⁉︎」
抵抗できない。足に力が入らず、背中を壁に預けてかろうじて立っていられるような状態だ。彼の長い指先が濡れた下着を擦る。ぬるぬるしているのがよくわかる。
唇が離れた。糸が私たちを結ぶ。
呼吸が荒い。彼の指はいまだに私の秘部を撫でている。いいところに触れられると身体は素直に反応した。
エリーゼのまぐわいを見ていた影響もあるのだろう。落ち着いたと思っていた熱が燻っている。
「お、おやめください」
「どうして? こんなに濡らしているんだ、気持ちよくなりたいのだろう?」
「気持ちよくなりたいのはあなただけでしょう?」
「疑うなら、君だけ導いてやろう」
愛液まみれの人差し指が私の中に入り込む。苦しいのに、歓迎するかのようにうねるのがわかった。
「や、いやっ」
「ふむ……ずいぶんと狭いな。経験はないのか」
「や、やめて」
「可愛い反応をするじゃないか」
中を確認するようにぐりぐりと押されると、ある部分でゾクゾクして彼に縋るように抱きついた。
「あっ……抜いて……やだ、こんなっ」
「初めてはイキにくいだろうからな」
「やっ……メイドに手を出したと知れたら……やっあっ……困るのはあなたの方、じゃないんですか?」
私から誘惑したことにでもして、王宮から追い出すつもりなのだろうか。
必死に説得を試みると、彼の唇が私の耳に近づいてきた。
「君はそもそもメイドではないだろう? 本来であれば、捕虜として拘束されるべき人間だ」
――ああ、知れているんだ。
たまたまここを通りかかったわけではない。私が油断しているのを狙って、この男は近づいてきたのだ。
「さあ、僕の手に堕ちればいい」
再び唇が塞がれる。唾液を流し込まれ、飲み込んだところで私はついに達してしまった。頭の奥がキィンと痺れる。ガクガクと震える身体をバルドゥインのたくましい腕が支えてくれた。甘い倦怠感に包まれて、混乱のままに私は意識を手放す。
「さて」
「……何をなさるおつもりで?」
小声で尋ねる。
「彼らを上長に突き出されたくないなら、僕に従ってもらおうか」
「別に、突き出していただいて結構ですが。持ち場に戻る時間もとうに過ぎていますし、叱られてよいかと存じます」
「ほう……僕に意見するか」
冷ややかな視線に興味の色が滲む。
――おっと、選択肢を誤ったな?
上の人間に盾突くようなことを言うなと散々注意されてきたのに、ついつい反発してしまった。わかりやすいピンチである。
「私にも仕事がありますので、持ち場に戻らねばならないのですが」
騎士たちが先に退出し、時間をあけてエリーゼが出てくる。彼女は私を探しているらしく、名前を呼んでいた。
「……君の名前はマグダレナというのか」
「偽名ですけどね」
私の返事に、バルドゥインは鼻を鳴らした。
「そうだろうな。君の持つ懐中時計が盗まれたものでないなら、それは偽名なのだろう」
「え?」
まさか私の話を認めるとは思わなくて、顔を上げてしまった。バルドゥインの綺麗な顔を直視すると眩しい。彼はニヤリと笑うと私の唇を自身の唇で塞いだ。
「んんっ、ふぅっ⁉︎」
パニックになって口を開けてしまったのは悪手だった。彼の長くて太い舌が入り込んで喉の奥をなぞる。
――苦しい。
苦しいのにゾクゾクしてきて、膝がガクガクと震え出す。
「あ、マグダレナ……って、ふふ。ごゆっくりー」
エリーゼが私に気づいたらしかったが、何を思ったのか助けずに立ち去ってしまった。
――ちょっ、待って。
離れてほしくて彼の胸を押すけれどびくともしない。困惑しているうちに彼の手がスカートの中に入り込み、下着に触れた。
「んんんん⁉︎」
抵抗できない。足に力が入らず、背中を壁に預けてかろうじて立っていられるような状態だ。彼の長い指先が濡れた下着を擦る。ぬるぬるしているのがよくわかる。
唇が離れた。糸が私たちを結ぶ。
呼吸が荒い。彼の指はいまだに私の秘部を撫でている。いいところに触れられると身体は素直に反応した。
エリーゼのまぐわいを見ていた影響もあるのだろう。落ち着いたと思っていた熱が燻っている。
「お、おやめください」
「どうして? こんなに濡らしているんだ、気持ちよくなりたいのだろう?」
「気持ちよくなりたいのはあなただけでしょう?」
「疑うなら、君だけ導いてやろう」
愛液まみれの人差し指が私の中に入り込む。苦しいのに、歓迎するかのようにうねるのがわかった。
「や、いやっ」
「ふむ……ずいぶんと狭いな。経験はないのか」
「や、やめて」
「可愛い反応をするじゃないか」
中を確認するようにぐりぐりと押されると、ある部分でゾクゾクして彼に縋るように抱きついた。
「あっ……抜いて……やだ、こんなっ」
「初めてはイキにくいだろうからな」
「やっ……メイドに手を出したと知れたら……やっあっ……困るのはあなたの方、じゃないんですか?」
私から誘惑したことにでもして、王宮から追い出すつもりなのだろうか。
必死に説得を試みると、彼の唇が私の耳に近づいてきた。
「君はそもそもメイドではないだろう? 本来であれば、捕虜として拘束されるべき人間だ」
――ああ、知れているんだ。
たまたまここを通りかかったわけではない。私が油断しているのを狙って、この男は近づいてきたのだ。
「さあ、僕の手に堕ちればいい」
再び唇が塞がれる。唾液を流し込まれ、飲み込んだところで私はついに達してしまった。頭の奥がキィンと痺れる。ガクガクと震える身体をバルドゥインのたくましい腕が支えてくれた。甘い倦怠感に包まれて、混乱のままに私は意識を手放す。
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