3 / 11
筋書きどおりに婚約破棄したのですが、
助けに来てくれたのですよね……?
しおりを挟む「ろ、ロータルさん。助けに来てくださったのですか?」
私から話しかけることはあまりなかったが、いつだって彼のまとう雰囲気が怖くて名を呼ぶときは緊張してしまう。
このタイミングで彼がこうして現れたということは、私が何者かに拉致されたところをヨハネス王子が気づいていて派遣してくれたのではないか――そんなことを期待する。
婚約はなかったことになったとはいえ、それまでは付き合いがあったのだ。優しい彼なら、そのくらいはするかもしれない。私が一番苦手としているロータルを選んだのは、たんにロータルへの信頼度の都合だろう。ロータルは護衛騎士の中でも飛び抜けて強いのだ。
淡い期待の眼差しを向けると、ロータルは私がいるベッドに乗ってきた。最初は私の右手首にはめられた手錠と鎖を確認するためかと思ったが、なんか雲行きがあやしい。あっという間に組み伏せられた。
「え、あの……」
「お前はこの状況がわかっていないようだな」
そう告げられると、首筋に口づけされる。チュウっときつく吸われると、身体が慄いた。
「ろ、ロータルさん?」
「エルヴィーラ、お前を捕らえたのは俺だ」
「さ、さようでございますか……」
どう答えたのかわからなくて、とりあえず頷いておくと、ロータルは低い声でくつくつと笑った。
「やはり状況がわかっていないようだな」
「わ、わかるわけないではありませんか。私は屋敷に戻って、両親に報告をせねばならないのです。私を解放してください」
「報告? なんの報告だ?」
見下ろされると怖い。ふだんから怖いと思っている相手に拘束されているのだ。私は自分を奮い立たせて、できる限り気丈に振る舞う。
「あ、あなたには関係のないことです!」
「関係がないかどうかは、聞いてみないとわからないだろう?」
そう告げて、彼は私の唇を指でフニフニと触った。
今更気づいたが、ロータルの格好は見慣れた騎士の格好ではなく部屋着だ。当然手袋もしていない。
ひょっとして、ここは彼の家……? え、待って。高位の貴族でありながら、騎士という職業を選んだのだとは聞いていたけど……この人は……
「わ、私はヨハネス王子の婚約者ですよ! こ、こんなことをして許されるとでもお思いで?」
もう婚約者ではないが、公式発表にはなっていない。パーティーの場で、ダンスの前にひっそりと私に告げられただけだ。周囲で聞き耳を立てていた者はいるかもしれないが、周知されるまでには時間がある。
強気の態度で話をかわそうとすると、ロータルはつまらなそうな顔をしたのちに私の顎をグイッと持ち上げた。
10
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
婚約破棄された令嬢は騎士団長に溺愛される
狭山雪菜
恋愛
マリアは学園卒業後の社交場で、王太子から婚約破棄を言い渡されるがそもそも婚約者候補であり、まだ正式な婚約者じゃなかった
公の場で婚約破棄されたマリアは縁談の話が来なくなり、このままじゃ一生独身と落ち込む
すると、友人のエリカが気分転換に騎士団員への慰労会へ誘ってくれて…
全編甘々を目指しています。
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
私、夫が血迷っちゃっただけの女、だそうなのですが。
夏笆(なつは)
恋愛
男爵令嬢であるマリアは、騎士団の小隊長を務める父が邸に招いた部下で伯爵子息でもある騎士レスターと出会う。
互いにひと目で恋に落ちたふたりは、身分という格差を越え、周りからも祝福されて婚姻を結ぶ。
結婚後も変わらず優しいレスターと幸せな毎日を過ごすマリアだが、閨で感じ過ぎてしまい、レスターに呆れられているようなのが悩みの種。
そしてもうひとつ、街で執拗に睨みつけて来る謎の女性に頭を悩ませていると、その女性がマリアに急接近。
レスターと自分は、マリアとレスターが婚姻する前よりの恋人同士だと宣言する。
レスターと離縁などしたくないマリアは、自分が感じることがなくなればレスターに嫌われることもないと決意。
薬師でもある魔女の元へ行き、不感となる薬を調剤して欲しいと依頼する。
小説家になろうにも掲載。
公爵令嬢のひとりごと
鬼ヶ咲あちたん
ファンタジー
城下町へ視察にいった王太子シメオンは、食堂の看板娘コレットがひたむきに働く姿に目を奪われる。それ以来、事あるごとに婚約者である公爵令嬢ロザリーを貶すようになった。「君はもっとコレットを見習ったほうがいい」そんな日々にうんざりしたロザリーのひとりごと。
虐げられた出戻り姫は、こじらせ騎士の執愛に甘く捕らわれる
無憂
恋愛
旧題:水面に映る月影は――出戻り姫と銀の騎士
和平のために、隣国の大公に嫁いでいた末姫が、未亡人になって帰国した。わずか十二歳の妹を四十も年上の大公に嫁がせ、国のために犠牲を強いたことに自責の念を抱く王太子は、今度こそ幸福な結婚をと、信頼する側近の騎士に降嫁させようと考える。だが、騎士にはすでに生涯を誓った相手がいた。
貴方は私を虐げてきたのではないのですか?【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
結婚後の初夜。
見合いで結婚を余儀なくされて、嫁いだ未央理。夫の秀平は初夜の後に未央理に言った。
「愛して欲しかったら努力するんだな……名の通り、未完成の未の女なんだから」と。
未央理は妾腹で産まれ育ったが、母が病に倒れた事により、存在を知らなかった父に引き取られたのは16歳の時。母の姓から父の姓へ変わって直ぐ、父の決めた会った事もない男と結婚させられて………。
※Hシーンには♡付
転生令嬢は婚約者を聖女に奪われた結果、ヤンデレに捕まりました
高瀬ゆみ
恋愛
侯爵令嬢のフィーネは、八歳の年に父から義弟を紹介された。その瞬間、前世の記憶を思い出す。
どうやら自分が転生したのは、大好きだった『救国の聖女』というマンガの世界。
このままでは救国の聖女として召喚されたマンガのヒロインに、婚約者を奪われてしまう。
その事実に気付いたフィーネが、婚約破棄されないために奮闘する話。
タイトルがネタバレになっている疑惑ですが、深く考えずにお読みください。
※本編完結済み。番外編も完結済みです。
※小説家になろうでも掲載しています。
出戻り令嬢は馭者台で愛される
柿崎まつる
恋愛
子どもが出来ないことを理由に離縁された伯爵令嬢ソフィ。やけ酒して馭者台に乗り込んだ彼女は、幼馴染のイケメン馭者セレスタンに抱きとめられる。狭い馭者台に重なり合う二人。多くの婿養子の誘いを断ってなお伯爵家で働き続けるセレスタンの抑えきれない想いが、ソフィを甘く翻弄してーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる