筋書きどおりに婚約破棄したのですが、想定外の事態に巻き込まれています。

一花カナウ

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筋書きどおりに婚約破棄したのですが、

助けに来てくれたのですよね……?

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「ろ、ロータルさん。助けに来てくださったのですか?」

 私から話しかけることはあまりなかったが、いつだって彼のまとう雰囲気が怖くて名を呼ぶときは緊張してしまう。
 このタイミングで彼がこうして現れたということは、私が何者かに拉致されたところをヨハネス王子が気づいていて派遣してくれたのではないか――そんなことを期待する。
 婚約はなかったことになったとはいえ、それまでは付き合いがあったのだ。優しい彼なら、そのくらいはするかもしれない。私が一番苦手としているロータルを選んだのは、たんにロータルへの信頼度の都合だろう。ロータルは護衛騎士の中でも飛び抜けて強いのだ。

 淡い期待の眼差しを向けると、ロータルは私がいるベッドに乗ってきた。最初は私の右手首にはめられた手錠と鎖を確認するためかと思ったが、なんか雲行きがあやしい。あっという間に組み伏せられた。

「え、あの……」
「お前はこの状況がわかっていないようだな」

 そう告げられると、首筋に口づけされる。チュウっときつく吸われると、身体が慄いた。

「ろ、ロータルさん?」
「エルヴィーラ、お前を捕らえたのは俺だ」
「さ、さようでございますか……」

 どう答えたのかわからなくて、とりあえず頷いておくと、ロータルは低い声でくつくつと笑った。

「やはり状況がわかっていないようだな」
「わ、わかるわけないではありませんか。私は屋敷に戻って、両親に報告をせねばならないのです。私を解放してください」
「報告? なんの報告だ?」

 見下ろされると怖い。ふだんから怖いと思っている相手に拘束されているのだ。私は自分を奮い立たせて、できる限り気丈に振る舞う。

「あ、あなたには関係のないことです!」
「関係がないかどうかは、聞いてみないとわからないだろう?」

 そう告げて、彼は私の唇を指でフニフニと触った。
 今更気づいたが、ロータルの格好は見慣れた騎士の格好ではなく部屋着だ。当然手袋もしていない。

 ひょっとして、ここは彼の家……? え、待って。高位の貴族でありながら、騎士という職業を選んだのだとは聞いていたけど……この人は……

「わ、私はヨハネス王子の婚約者ですよ! こ、こんなことをして許されるとでもお思いで?」

 もう婚約者ではないが、公式発表にはなっていない。パーティーの場で、ダンスの前にひっそりと私に告げられただけだ。周囲で聞き耳を立てていた者はいるかもしれないが、周知されるまでには時間がある。
 強気の態度で話をかわそうとすると、ロータルはつまらなそうな顔をしたのちに私の顎をグイッと持ち上げた。
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