王立魔導研究所は今日も平和です❤︎〜贈り物には罠がある?〜

一花カナウ

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贈り物には罠がある?

贈り物をいただきました。

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 フィールドワークでみなさんにご迷惑をお掛けした一件から十日が経過した。私のまわりは、見慣れた日常に戻りつつある。
 そんな日の昼食前。報告書を所長に提出した帰りに、同じく書類を提出しに来たらしい第七研究室室長のヨーズア室長に呼び止められた。

「ちょっと時間ある?」
「なんでしょう?」
「これ。君たちが恋人になったお祝いにと思って手配したんだ。どうぞ」

 謎の紙袋を手渡された。

「えっと……」

 どうやらアナスタージウス室長と晴れて恋人になったお祝いというのが、この紙袋の中身のようだ。
 私は気づかなかったのだが、私とアナスタージウス室長が両片想いであることを早くから知っていたらしい。そして、私たちが結ばれたことを一番喜んでくれたのがヨーズア室長である。

「中身は茶葉だよ」
「効能は何かあるのですか?」

 お祝いだと告げて渡してきたということは、おそらく普通の茶葉ではないのだろう。それは高級だという意味ではなく、《恋人になった》ことに起因するものに違いない。
 というのも、以前の薬湯事件で使用した茶葉の出所がヨーズア室長であることは調べがついているからである。

 私に直接渡してくるのもなんか怪しいのよね……

 警戒しながら答えを待つと、ヨーズア室長は私に耳打ちをするようにして答えた。

「そりゃあ、恋人だから必要になるものだよ」
「避妊……でしょうか?」

 それ以外になにも思い浮かばなくて私はまじめに尋ねる。

「そ……そんな話を恥ずかしげもなく言うかい?」

 ギョッとされた。ヨーズア室長は私から数歩離れて様子をうかがっている。

「むしろ、他になにが?」
「なんというか……もっとピュアな関係を想像していたよ。君たちの間だし」

 恋愛ごとに疎いという意味かしら?

 私もアナスタージウス室長もお互いにそれなりの年齢なので、することをしたいと思うのは自然なのだろうと思い込んでいた。事件が事件ではあったものの、お互いに求め合うようになったのはとても自然な流れであって、おかしなところはないはずだが。

 お互いに了承していることだし……

 私が首をかしげると、ヨーズア室長はうーんと小さく唸った。

「とにかく、そのお茶は二人で一緒に飲んでね。悪いことにはならないはずだから」
「え、あ、はい……」

 私が頷くと、ヨーズア室長は退散する勢いで去っていった。

「一体なんなのかしら……?」

 その時の私は、ある事実を失念していたことに思い至らなかったのだ。
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