1 / 12
車好きな先輩にマフラーを編む話
車好きな先輩と私
しおりを挟む
私が気になっている先輩は、いつも車の話ばかりしている。
今日も休憩所で見かけた先輩は、先日のドライブでいかに自分の愛車がいかしていたかについてを熱く語っている。
私には車のことなんてさっぱりわからないわけだけれど、車の話をしている先輩はいつもキラキラしているし、話の内容なんて頭に入らないくせに話はうまいから楽しくなってしまう。営業成績の良さは、おそらくこの話術にあるのだろう。
見た目も爽やかで格好いいし、一緒にいると気がきくのがよくわかるし、とにかく素敵なのだ。車の話が始まったら止まらないこと以外は、本当にいい人である。
「――ほら、先輩。次のミーティングの時間ですよ」
コーヒー休憩で休憩室にいた先輩に声をかけにいくのが私の仕事である。先輩後輩という関係で仕事を教えてもらうようになってから半年。私はこの冬で先輩の手を離れることが決まっている。
「あ、いつもわりぃな」
話に夢中になっていて時間が経つのを忘れていたのだろう。腕時計をチラッと見やると、先輩は私のところに駆け寄った。
「もう。私と組んでいるのもあと三ヶ月なんですよ。次のペアの子が呼びに来ないタイプだったらどうするんですか?」
「それは……まあ、どうにかするって。君と組む前に遅刻したことなんてないし」
だったら呼びに来るまで休んでいないでくださいよ、と突っ込みたくなる気持ちを抑えて私は仕事に意識を切り替える。
「ほら、むすっとするな。契約を逃すぞ」
ニカっと笑う顔がすごく好きだ。呼びに行ってからデスクに戻り、必要なものをまとめるとすぐにミーティングに向かうのだった。
今日も休憩所で見かけた先輩は、先日のドライブでいかに自分の愛車がいかしていたかについてを熱く語っている。
私には車のことなんてさっぱりわからないわけだけれど、車の話をしている先輩はいつもキラキラしているし、話の内容なんて頭に入らないくせに話はうまいから楽しくなってしまう。営業成績の良さは、おそらくこの話術にあるのだろう。
見た目も爽やかで格好いいし、一緒にいると気がきくのがよくわかるし、とにかく素敵なのだ。車の話が始まったら止まらないこと以外は、本当にいい人である。
「――ほら、先輩。次のミーティングの時間ですよ」
コーヒー休憩で休憩室にいた先輩に声をかけにいくのが私の仕事である。先輩後輩という関係で仕事を教えてもらうようになってから半年。私はこの冬で先輩の手を離れることが決まっている。
「あ、いつもわりぃな」
話に夢中になっていて時間が経つのを忘れていたのだろう。腕時計をチラッと見やると、先輩は私のところに駆け寄った。
「もう。私と組んでいるのもあと三ヶ月なんですよ。次のペアの子が呼びに来ないタイプだったらどうするんですか?」
「それは……まあ、どうにかするって。君と組む前に遅刻したことなんてないし」
だったら呼びに来るまで休んでいないでくださいよ、と突っ込みたくなる気持ちを抑えて私は仕事に意識を切り替える。
「ほら、むすっとするな。契約を逃すぞ」
ニカっと笑う顔がすごく好きだ。呼びに行ってからデスクに戻り、必要なものをまとめるとすぐにミーティングに向かうのだった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
坊主頭の絆:学校を変えた一歩【シリーズ】
S.H.L
青春
高校生のあかりとユイは、学校を襲う謎の病に立ち向かうため、伝説に基づく古い儀式に従い、坊主頭になる決断をします。この一見小さな行動は、学校全体に大きな影響を与え、生徒や教職員の間で新しい絆と理解を生み出します。
物語は、あかりとユイが学校の秘密を解き明かし、新しい伝統を築く過程を追いながら、彼女たちの内面の成長と変革の旅を描きます。彼女たちの行動は、生徒たちにインスピレーションを与え、更には教師にも影響を及ぼし、伝統的な教育コミュニティに新たな風を吹き込みます。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あまやどり
奈那美
青春
さだまさしさんの超名曲。
彼氏さんの視点からの物語にしてみました。
ただ…あの曲の世界観とは違う部分があると思います。
イメージを壊したくない方にはお勧めできないかもです。
曲そのものの時代(昭和!)に即しているので、今の時代とは合わない部分があるとは思いますが、ご了承ください。
さよなら。またね。
師走こなゆき
青春
恋愛系。片想い系。5000文字程度なのでサラッと読めます。
〈あらすじ〉
「行ってきます」そう言って、あたしは玄関を出る。でもマンションの階段を下りずに、手すりから四階下の地面を見下ろした。
マンションの一階の出入り口から、紺のブレザーを着た男子学生が出てくる。いつも同じ時間に出てくる彼。
彼は、あたしと同じ高校に通ってて、演劇部の一つ上の先輩で、あたしの好きな人。
※他サイトからの転載です。
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる