可愛い僕の婚約者さま

一花カナウ

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エピローグ

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 翌日、ダライアス邸に迎えに来たドロテウスは、馬車に乗り込むなりテオドラをまじまじと見つめ、ぼそりと呟いた。

「なんか、綺麗になった」
「そ、そうですか?」

 昨夜のことを思い出し、身体が熱くなる。愛されるということを身体でも体験してしまったテオドラは、さすがにそれを実の兄に報告するのはどうかと考えて口ごもった。

「怖い目に遭ったから、どうかと心配したんだが」
「それはアルフレッドさまに慰めてもらいましたから大丈夫です」
「あ、呼びかた……」

 ドロテウスに指摘されてハッとし、テオドラは口もとを押さえる。

「いや、二人が仲睦まじくするのは俺としては喜ばしいんだが、式を挙げる前に子ができるようなことは避けてほしい」
「は、はい……」

 恥ずかしさにうつむいてもじもじしてしまう。結婚したらあんな夜を毎日過ごすのだろうかと思うと幸せのようで、しかし身体が持つのだろうかと心配になる。

「事件も片付いたことだし、式を早く挙げられるようにお父様にかけあってみるか……」
「本当ですかっ! 私、早くアルフレッドさまと一緒に暮らしたいです!」

 思いがけないドロテウスの提案にあまりの嬉しさで告げれば、対照的につまらなそうな顔をされた。

「テア。一応言っておくが、お前たちの仲がいいのは大いに結構だが、俺としては寂しいんだからな。可愛い妹を取られて悔しくないわけがなかろうが」
「ですけどお兄さま。私とお兄さまは兄妹ですし、その縁が切れるわけではないんですよ」
「わかってる」

 短く返された。
 テオドラはドロテウスが不満げにしている意味がわからない。嫉妬されているような気はするけれども。

 とにかく、いよいよ結婚かあ……。

 物心がついたときから聞かされてきた婚約者という立場から、ついに妻に変わる。その日が来るのがとても待ち遠しかった。
 ずっと一緒にいられますように。アルフレッドさま、私をどうぞよろしくお願いいたします。


《完》
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