10 / 38
魔導師として宮廷入りしたので、殿下の愛人にはなりません?
ここに呼ばれた本当の理由
しおりを挟む
「私があなたの命を狙うこともあるかもしれない、ってことですか?」
「賢いね。そういうこと」
短く答えると、リシャール殿下はベッドの上であぐらをかいた。私と向かい合うと、壇上で見かけたときと同じ真面目な顔を作った。服は着ていないけど。
「君の魔力の由来についてはメルが調査しています。そもそも出生も明らかではないですしね。実際、捨て子だったという話が真実なのかも疑わしいです」
「捨て子じゃない?」
育ての親とは明らかに外見が違うので産みの親とは違うとわかる。だが、捨て子ではないのなら、あの娼館に私の親がいたということだろうか。
私が疑問を口にすると、リシャール殿下は重々しく頷く。
「捨て子ということにした方が都合が良かったのかもしれない、ということです。ただ、私とメルの見解としては、君を産んだときになんらかの事故で母親が死亡してしまった説を推しますけど」
「あの娼館にいた人物が私を産んで亡くなってしまった……なるほど」
辻褄は合いそうだ。
避妊に失敗し、出産に至ってしまった場に居合わせたことがある。生まれた子どもは私のように裏方の雑用をしていた。
ちなみに親が亡くなったことも、あるいは生後間もない子が亡くなったこともある。そのくらい大変なのだ、出産は。
「母親が仮にそうだったとして、次は父親についてなのですが、彼はこの宮廷内にいる可能性が非常に高い」
リシャール殿下が話し出した父親の情報に、私はさらに驚いた。
「え、待ってください。それってどういう……?」
「あの娼館に出入りする人間のほとんどが貴族の、とりわけ王家に仕えている人間なのです。君があの娼館で生まれた子どもであるなら……全て言わずともわかるでしょう?」
そういうことか、と私は理解する。
娼館を出入りできる立場の人間が限られている以上、父親もどういう人物なのかが絞り込めるはずだ。
「そんなわけで、君の父親が君に接触し、利用しようとひっそり企むこともありうる。だから気軽には明かせないのです。今の君の反応を見たところ、両親の心当たりはなさそうで良かった」
明るい口調で告げられたが、次期国王がするようなことではないと思う。私は戸惑った。
「……そんな状況で私を抱いたんですか?」
「君の魔力の質を知るのにも抱くのは手っ取り早い手段なんですよ。メルが嫌がったからと、ものすっごく私の好みだったからという理由で張り切らせていただきました!」
キリッとして言われたが、素っ裸だと全く絵にならない。
「賢いね。そういうこと」
短く答えると、リシャール殿下はベッドの上であぐらをかいた。私と向かい合うと、壇上で見かけたときと同じ真面目な顔を作った。服は着ていないけど。
「君の魔力の由来についてはメルが調査しています。そもそも出生も明らかではないですしね。実際、捨て子だったという話が真実なのかも疑わしいです」
「捨て子じゃない?」
育ての親とは明らかに外見が違うので産みの親とは違うとわかる。だが、捨て子ではないのなら、あの娼館に私の親がいたということだろうか。
私が疑問を口にすると、リシャール殿下は重々しく頷く。
「捨て子ということにした方が都合が良かったのかもしれない、ということです。ただ、私とメルの見解としては、君を産んだときになんらかの事故で母親が死亡してしまった説を推しますけど」
「あの娼館にいた人物が私を産んで亡くなってしまった……なるほど」
辻褄は合いそうだ。
避妊に失敗し、出産に至ってしまった場に居合わせたことがある。生まれた子どもは私のように裏方の雑用をしていた。
ちなみに親が亡くなったことも、あるいは生後間もない子が亡くなったこともある。そのくらい大変なのだ、出産は。
「母親が仮にそうだったとして、次は父親についてなのですが、彼はこの宮廷内にいる可能性が非常に高い」
リシャール殿下が話し出した父親の情報に、私はさらに驚いた。
「え、待ってください。それってどういう……?」
「あの娼館に出入りする人間のほとんどが貴族の、とりわけ王家に仕えている人間なのです。君があの娼館で生まれた子どもであるなら……全て言わずともわかるでしょう?」
そういうことか、と私は理解する。
娼館を出入りできる立場の人間が限られている以上、父親もどういう人物なのかが絞り込めるはずだ。
「そんなわけで、君の父親が君に接触し、利用しようとひっそり企むこともありうる。だから気軽には明かせないのです。今の君の反応を見たところ、両親の心当たりはなさそうで良かった」
明るい口調で告げられたが、次期国王がするようなことではないと思う。私は戸惑った。
「……そんな状況で私を抱いたんですか?」
「君の魔力の質を知るのにも抱くのは手っ取り早い手段なんですよ。メルが嫌がったからと、ものすっごく私の好みだったからという理由で張り切らせていただきました!」
キリッとして言われたが、素っ裸だと全く絵にならない。
0
お気に入りに追加
384
あなたにおすすめの小説
【R18】国王陛下はずっとご執心です〜我慢して何も得られないのなら、どんな手を使ってでも愛する人を手に入れよう〜
まさかの
恋愛
濃厚な甘々えっちシーンばかりですので閲覧注意してください!
題名の☆マークがえっちシーンありです。
王位を内乱勝ち取った国王ジルダールは護衛騎士のクラリスのことを愛していた。
しかし彼女はその気持ちに気付きながらも、自分にはその資格が無いとジルダールの愛を拒み続ける。
肌を重ねても去ってしまう彼女の居ない日々を過ごしていたが、実の兄のクーデターによって命の危険に晒される。
彼はやっと理解した。
我慢した先に何もないことを。
ジルダールは彼女の愛を手に入れるために我慢しないことにした。
小説家になろう、アルファポリスで投稿しています。
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【R18】幼馴染な陛下と、甘々な毎日になりました💕
月極まろん
恋愛
幼なじみの陛下に、気持ちだけでも伝えたくて。いい思い出にしたくて告白したのに、執務室のソファに座らせられて、なぜかこんなえっちな日々になりました。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる