魔導師として宮廷入りしたので、殿下の愛人にはなりません?

一花カナウ

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魔導師として宮廷入りしたので、殿下の愛人にはなりません?

お返しをしたいだけなんです

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「あの……くわえてみてもいいですか?」
「え?」
「大きさが気になって」

 まじまじと見つめながら、私は正直に告げる。口にくわえて、心構えをしておきたい。

「君は面白いことを言いますね」

 そう返すと、リシャール殿下はつけ根を掴んで私の方に頭を向けた。

「噛まないでくれると嬉しいな」
「優しくしますよ。私がしてほしい程度には」

 少し困らせてしまった気がする。リシャール殿下は経験豊富な人なのだろうと口づけで判断したのだが、口ですることは少ないのかもしれない。
 私は前に落ちてきそうになった髪を耳にかけ、もう片方の手で彼の熱を優しく包む。できるだけ口を大きく開けて、先端を口腔内に含んだ。

 結構苦しい……こんなに入るのかな……。

 ただ大きさを測るためだけに含まれたとなったら、リシャール殿下はいい気持ちじゃないだろう。せっかくなので唇をすぼめ、舌で舐めてみる。
 リシャール殿下がビクッと震えた。

「え、えっと……口でしてくれるのかい?」

 どことなく不安そうな声なので、私は彼をくわえたまま上目遣いに見つめる。

 戸惑わせてしまったかしら? 仕方がない、今は引こう。

 私ははむはむと唇を動かしたあとチュッと吸って、口を離した。

「お嫌いでしたか? それとも、私が下手すぎて話にならなかったでしょうか」

 これまでちゃんとホンモノでやったことはない。だから、男性が気持ちがいいのかどうか正直わからなかった。

「嫌ではないんだよ。ただ、ちょっと、こう、積極的にされることがあまりないから」
「口づけのお礼も兼ねているつもりだったのですけど、私自身経験が浅いので……ああ、胸で挟みましょうか?」

 お店のお姉さんがたが私のよく発達した胸を見て言っていたのだ。それだけ胸があれば、挟んで扱くといいよ、と。
 私の提案の仕方が悪かったのか、リシャール殿下はうーんと唸ってしまった。

「あ、あの……」

 男女の交わりにおいて対等でありたいと思うがゆえに、自分ができることややりたいことはきちんと伝えるべきだと思って生きていたのだが、それは一般的な感覚と違っていたのだろうか。

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