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虫除け令嬢は薬学博士に捕われる

2.自分でできる範囲の調査を

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 首を突っ込むなと言われたが、私にも生活がある。
 お見舞いと称して情報収集をした結果、仄かに残っていた匂いに共通するものがあるのはわかった。わずかな香りを見逃さない私であるが、ちょっと気分が悪い。
 とはいえ、匂いを覚えたからには犯人が持ち歩いているだろう噴霧器なりハンカチなりから漏れ出た匂いを感知できるはずである。
 それに、話を聞いた限りではみんな同じ人物とやり取りをしているように感じられた。彼女たちは流行の最先端を意識したドレスを身につけ、化粧を施すことに情熱を注いでいる。犯行当時に身につけていたドレスは似たような奇抜なデザインであり、流行の仕掛け人とやり取りしていただろうことが窺えた。
 流行を押さえるにしても、貴婦人のドレスはオーダーメイドなので最新型を取り入れるには時間がかかる。舞踏会期間が始まったばかりで最新型の、それもそこそこ珍しいデザインのドレスを取り入れるには、舞踏会シーズンが始まる前に準備せねば間に合わないわけである。
 あのデザインを考えそうな人物って一人だけなのよね……
 被害者たちが揃って犯人の特徴を覚えていないのは犯行現場が暗がりであること、犯行中一切喋らない慎重さを持ち合わせていること、そもそも媚薬で酩酊状態であり記憶に残らないからとのこと。
 とりあえず、今夜は舞踏会に参加して、彼が関係していないか調べておくか……

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