婚約者に逃げられて精霊使いになりました〜私は壁でありたいのに推しカプが私を挟もうとします。〜

一花カナウ

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6:新たな門出に

次世代の聖女

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「それはそれでいいと思うんですが、私、確実に次の聖女ですよね?」

 振り向いた私にスタールビーは頷く。

「そうだな。セレナに調べてもらった結果、ステラはお嬢さんの鉱物人形ではあるが守り石ではなかった。取り寄せてもらった守り石もやはり正式なものではない。聖女の条件に一致しているし、なにより、俺が君に惹かれている。次世代の聖女は間違いなくジュエルだ」
「ならば、私が聖女を引き継がないとこの国の魔物防衛システムは破綻する、と」
「そうだな、伝説的には」

 おおごとになってきたなあ。
 私は苦笑する。
 セレナが話を継いだ。

「聖女による結界が消え去ったとしても、精霊管理協会が精霊使いと鉱物人形を派遣して統率しているから、そう心配はいらないわ。街で魔物が発生する確率が上がるくらいでしょうし、予め検知できれば被害は抑えられる」

 その補足に、私はあることを思い出して食いついた。

「でもですね、私、街が破壊されているところを見ているんですよ? スタールビーさんと出会ったあの街、商店街の半分が吹き飛びましたよね?」

 都市部で魔物が出現した場合の被害は建物だけにおさまらない。人的被害もその後の商業への打撃もあるはずだ。
 セレナが苦笑いを浮かべた。

「あれは被害が大きかったわねえ……幸い、死人は出なかったのよ?」
「死ななきゃいいって問題でもないでしょうよ……」
「悪いけど、協会ってそういう考えなのよねえ」
「ええ……」

 対処にやってきた鉱物人形は防御型が多かったとアメシストたちが言っていたのを思い出す。つまりは、魔物の出現はある程度予知されていて、被害を最小にするために防御型が多数派遣されていたのではないか――と思い至り、私は頭を抱える。
 私が聖女の仕事を引き継がない場合、そういう戦闘が日常的に起きる世界になるということだ。

「防衛システムは万全なんです?」
「結果としては上々よ」
「……それで、私は何を求められるのです? 私が聖女を引き継ぐと言ったら、そうなるってことでしょうか?」
「引き継ぐ気持ちがあるなら、ここで消えてもらおうと思って」

 セレナがニコッと笑った。その言葉が冗談ではなく本気であることが、彼女の後ろで控えているオパールの気配から察せられる。迂闊なことは言えない。

「ええ……。でも、そうなると、この国の災いってステラですよね」
「まあ、あれはそういう役目で生まれた鉱物人形だろうからな。俺の対になる存在だし」

 星条青玉であるステラは、星条紅玉であるスタールビーと対になるというのはわかる気がした。

「選択肢、ないじゃないですか」
「私のときよりはマシだと思うがな」

 ラリサが笑う。
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