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5:清算のためにすべきこと
召喚と再契約
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「――お。やっと出番か?」
「再召喚、感謝いたします」
ルビとダイヤが出現した。前回呼び出した時と比べて、煌めきが増している。正式な召喚はより魔力が巡りやすく効率よく活動できるらしい。
なお、再契約をするのに呪文は必要がないのだが、彼らと契約をするイメージを整えるのにこの方法が私にはしっくりきただけである。
鉱物人形の召喚を見ていた使用人たちが驚いたようにして壁に寄っていく。
「……って、一般人に見られたらいけないんでしたっけ」
「そういう決まりではあるが、緊急事態だろ。きっと黙っていてくれるって」
なあ、とルビが使用人たちに促せば、みんな首を縦に振った。人間じゃないことは気配から明白だし、怖がるのも仕方がないことなのかもしれない。
「概ね状況は把握していると思いますが、ルビさん、外に出たいのでお願いします。ダイヤさんは彼女たちの護衛を頼みますよ」
「了解」
「承知しました」
ルビは身体の調子を確認するように関節を鳴らしている。ダイヤは使用人たちに近づいて強力な結界を生み出した。
「んじゃ、行くか!」
ルビの準備運動が終わった。腰元に手を構えると、鉱物でできた赤く半透明な剣が生み出される。
そして一閃。
扉は切られた。
「一応、いきなり火の海じゃないことは確認したつもりだが、なかなか派手にやられているな……」
そんなに時間は経っていないはずなのに、外は瓦礫の山になっていた。オズリックの姿も、スタールビーの姿もない。
「シェルターって衝撃にも強いんですね……」
「そうじゃないと意味がないだろ」
外がこんな状態では、私が中でわめいていても聞こえないわけである。スタールビーがオズリックのそばにいたはずだから、それなりに守っていることを期待する。
遠くの轟音が響く。
私はあたりを確認しつつ、先に出たルビを追う。
「のんびりしている余裕はなさそうだな。抱っこするぞ」
私の返事を待たずに、ルビは私を横抱きにして跳躍する。外れた窓から外に飛び出した。
遠目に炎が見える。あの方角はおそらく別館だ。
「襲撃を受けても、ここなら一般市民を巻き込みにくいと判断したのか」
オズリックの屋敷が建つ敷地はとても広い。丘になったこの場所から見える海までは少なくとも彼の持ち物であり、海とは反対側の壁も昼間であればかろうじて見えるというくらいには遠い。使用人たちもこの敷地内に寮があるとのことだが、本館、別館とも離れた壁側にあるので今のところ被害はなさそうだ。
「オズリックさまはこうなることを予期していたってこと?」
「そういうことかもしれないな。なんせ、ずっと君が狙われているのは確かなのだし」
「ステラは私を死んだことにしたいらしいけど、偽装じゃなくて本当に死にそうなんですけど」
やることが派手すぎではなかろうか。
私があきれた口調で告げれば、ルビはふむと唸る。
「アレには他の目的があるのかもしれないぞ」
「他の目的……」
「とりあえず、ここで悩んでいても目的は達せられないからな。俺は現場に向かうが、マスターはどうする?」
精霊使いが現場で指揮をとるのは少数だと聞いた。私は術を使えるわけではないので、戦闘どころか自分の身すら充分には守れない。
ルビの気遣いには感謝しているが、私の意志は決まっている。
「私も連れて行ってください」
胸元のペンダントトップに触れて私は答えた。策はある。
ルビはふぅと短く息を吐いた。
「離れていると心配だからな。そうしてくれるとありがたい」
「よろしくお願いします」
日が沈み、月が照らす中をルビは別館に向けて飛び跳ねた。
「再召喚、感謝いたします」
ルビとダイヤが出現した。前回呼び出した時と比べて、煌めきが増している。正式な召喚はより魔力が巡りやすく効率よく活動できるらしい。
なお、再契約をするのに呪文は必要がないのだが、彼らと契約をするイメージを整えるのにこの方法が私にはしっくりきただけである。
鉱物人形の召喚を見ていた使用人たちが驚いたようにして壁に寄っていく。
「……って、一般人に見られたらいけないんでしたっけ」
「そういう決まりではあるが、緊急事態だろ。きっと黙っていてくれるって」
なあ、とルビが使用人たちに促せば、みんな首を縦に振った。人間じゃないことは気配から明白だし、怖がるのも仕方がないことなのかもしれない。
「概ね状況は把握していると思いますが、ルビさん、外に出たいのでお願いします。ダイヤさんは彼女たちの護衛を頼みますよ」
「了解」
「承知しました」
ルビは身体の調子を確認するように関節を鳴らしている。ダイヤは使用人たちに近づいて強力な結界を生み出した。
「んじゃ、行くか!」
ルビの準備運動が終わった。腰元に手を構えると、鉱物でできた赤く半透明な剣が生み出される。
そして一閃。
扉は切られた。
「一応、いきなり火の海じゃないことは確認したつもりだが、なかなか派手にやられているな……」
そんなに時間は経っていないはずなのに、外は瓦礫の山になっていた。オズリックの姿も、スタールビーの姿もない。
「シェルターって衝撃にも強いんですね……」
「そうじゃないと意味がないだろ」
外がこんな状態では、私が中でわめいていても聞こえないわけである。スタールビーがオズリックのそばにいたはずだから、それなりに守っていることを期待する。
遠くの轟音が響く。
私はあたりを確認しつつ、先に出たルビを追う。
「のんびりしている余裕はなさそうだな。抱っこするぞ」
私の返事を待たずに、ルビは私を横抱きにして跳躍する。外れた窓から外に飛び出した。
遠目に炎が見える。あの方角はおそらく別館だ。
「襲撃を受けても、ここなら一般市民を巻き込みにくいと判断したのか」
オズリックの屋敷が建つ敷地はとても広い。丘になったこの場所から見える海までは少なくとも彼の持ち物であり、海とは反対側の壁も昼間であればかろうじて見えるというくらいには遠い。使用人たちもこの敷地内に寮があるとのことだが、本館、別館とも離れた壁側にあるので今のところ被害はなさそうだ。
「オズリックさまはこうなることを予期していたってこと?」
「そういうことかもしれないな。なんせ、ずっと君が狙われているのは確かなのだし」
「ステラは私を死んだことにしたいらしいけど、偽装じゃなくて本当に死にそうなんですけど」
やることが派手すぎではなかろうか。
私があきれた口調で告げれば、ルビはふむと唸る。
「アレには他の目的があるのかもしれないぞ」
「他の目的……」
「とりあえず、ここで悩んでいても目的は達せられないからな。俺は現場に向かうが、マスターはどうする?」
精霊使いが現場で指揮をとるのは少数だと聞いた。私は術を使えるわけではないので、戦闘どころか自分の身すら充分には守れない。
ルビの気遣いには感謝しているが、私の意志は決まっている。
「私も連れて行ってください」
胸元のペンダントトップに触れて私は答えた。策はある。
ルビはふぅと短く息を吐いた。
「離れていると心配だからな。そうしてくれるとありがたい」
「よろしくお願いします」
日が沈み、月が照らす中をルビは別館に向けて飛び跳ねた。
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