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4:私の選択
どうすればあなたを救えますか?
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「――どうすれば、あなたを救えますか?」
「俺を救う理由は君にはないだろう?」
「つらい思いをしていることをこうして明かしてくるのですから、救われたいのでしょう?」
スタールビーは首を横に振った。
「違う。俺は任務にそって君に接触しただけだ。できれば君には、もうあの計画に関わらなくていいように離れてほしい。そのために、俺はこういう方法をとった」
それは彼のマスターの命令なのだろうか。
私が関わると困るから、出てこないでほしい、と。
「私が穢れれば、計画から遠ざけられると判断したんですか」
「……そうだ。君を傷つけるのは本望じゃないが、もう時間がない」
私が好きな相手の姿をして、私を抱いて、穢そうと考えた――ということらしい。
雰囲気は悪くなかったのだけれど、なんとなく察してしまった。本当の彼じゃないのだと見抜いてしまった。気づかないふりができなかった。
「いいですか、スタールビーさん。あなたはあなたとして私に接していればよかったんだと思いますよ。アメシストさんとシトリンさんを刺激して、私と関係を持たせようとするのも悪手だった。おそらく、あなたは焦りすぎて本来の力を発揮できていないのでしょう」
「だから、なんだ?」
私の服をうまく脱がせなくて、彼は力で引き裂いた。ここは夢なのだから私が抵抗しようともなんとかできそうなのに、結局力技で押してくるあたりに彼らしい冷静さが感じられない。焦りと苛立ちばかりだ。
私は落ち着いた様子を努めて見せて、説得を続ける。
「私も協力しますよ。あなたに。なので、不本意なことはしないでほしい。私を傷つけるために、あなた自身も傷つくのはおかしいと思います」
「俺は傷ついてなんかいない」
怒鳴られる。大きな声に怯んだ私の首を、彼は強く噛んだ。痛い。
「そ、そうやって大声を出すってことは、図星じゃないんですか? 自分の痛みに鈍感になろうとしないでください。私みたいにおかしくなってしまいます。あなたはまだ、引き返せる」
「黙って俺に襲われてくれ」
口づけられた。無理矢理に口の中を荒らされる。息苦しいけれど、これはチャンスだと思った。
私は冷静になると、意識を集中して全身の魔力を舌先に集めるようにする。そうして彼の舌に自身の舌を絡めた。
「んっ⁉︎」
ギョッとした顔をして、スタールビーが離れた。
私は口元を手の甲で乱暴に拭う。
「お、お嬢さんっ」
「穢そうとした相手に穢されてどういう気分かしら?」
スタールビーが顔を真っ赤に染めている。私の作戦はうまくいったようだ。
「け、穢すって……君はそういう言葉を使うべきじゃない」
「スタールビーさん。もう私のものになりなさい。私の道標として、先を照らす灯りとなることを命じます」
とん、っと彼の胸に触れると赤く光りだす。紅玉の光。
「ま、待て。それは困る」
「正式な契約は現実の世界で行います。覚悟してくださいね」
光が夢の世界を壊していく。
「俺を救う理由は君にはないだろう?」
「つらい思いをしていることをこうして明かしてくるのですから、救われたいのでしょう?」
スタールビーは首を横に振った。
「違う。俺は任務にそって君に接触しただけだ。できれば君には、もうあの計画に関わらなくていいように離れてほしい。そのために、俺はこういう方法をとった」
それは彼のマスターの命令なのだろうか。
私が関わると困るから、出てこないでほしい、と。
「私が穢れれば、計画から遠ざけられると判断したんですか」
「……そうだ。君を傷つけるのは本望じゃないが、もう時間がない」
私が好きな相手の姿をして、私を抱いて、穢そうと考えた――ということらしい。
雰囲気は悪くなかったのだけれど、なんとなく察してしまった。本当の彼じゃないのだと見抜いてしまった。気づかないふりができなかった。
「いいですか、スタールビーさん。あなたはあなたとして私に接していればよかったんだと思いますよ。アメシストさんとシトリンさんを刺激して、私と関係を持たせようとするのも悪手だった。おそらく、あなたは焦りすぎて本来の力を発揮できていないのでしょう」
「だから、なんだ?」
私の服をうまく脱がせなくて、彼は力で引き裂いた。ここは夢なのだから私が抵抗しようともなんとかできそうなのに、結局力技で押してくるあたりに彼らしい冷静さが感じられない。焦りと苛立ちばかりだ。
私は落ち着いた様子を努めて見せて、説得を続ける。
「私も協力しますよ。あなたに。なので、不本意なことはしないでほしい。私を傷つけるために、あなた自身も傷つくのはおかしいと思います」
「俺は傷ついてなんかいない」
怒鳴られる。大きな声に怯んだ私の首を、彼は強く噛んだ。痛い。
「そ、そうやって大声を出すってことは、図星じゃないんですか? 自分の痛みに鈍感になろうとしないでください。私みたいにおかしくなってしまいます。あなたはまだ、引き返せる」
「黙って俺に襲われてくれ」
口づけられた。無理矢理に口の中を荒らされる。息苦しいけれど、これはチャンスだと思った。
私は冷静になると、意識を集中して全身の魔力を舌先に集めるようにする。そうして彼の舌に自身の舌を絡めた。
「んっ⁉︎」
ギョッとした顔をして、スタールビーが離れた。
私は口元を手の甲で乱暴に拭う。
「お、お嬢さんっ」
「穢そうとした相手に穢されてどういう気分かしら?」
スタールビーが顔を真っ赤に染めている。私の作戦はうまくいったようだ。
「け、穢すって……君はそういう言葉を使うべきじゃない」
「スタールビーさん。もう私のものになりなさい。私の道標として、先を照らす灯りとなることを命じます」
とん、っと彼の胸に触れると赤く光りだす。紅玉の光。
「ま、待て。それは困る」
「正式な契約は現実の世界で行います。覚悟してくださいね」
光が夢の世界を壊していく。
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