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4:私の選択
悪夢から目醒めて*
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※※※※※
目が覚めたとき、両側から完全に挟まれていてなんとも言えない気分になる。
アリかナシかでいえば、アリだ。大型犬にもふもふされながら寝ている感覚に近いので、わりと温かいし心地はいい。もう少しふかふかしていればいいけれど、それは多分贅沢な願いなのだろう。こういう行動を可愛いと思ってしまう自分に問題があるだけで、ふたりとも体格は男なのだ。
しいて言うなれば、私を挟むのではなく、ふたりでくっついていたいんだろうなあというところか。
「あの……」
思った以上に身動きが取れなくて、私は声を出す。身じろぎしたのに対して、両側からぎゅっと抱きしめられた。
ふたりとも、起きていますね?
「離れていただけないでしょうか?」
「マスター、温かくてふわふわでいい匂いして気持ちいい……」
「同感だ」
「動けないんですが」
夢の中に呼び出してふたりに助けてもらったことに感謝している手前、あまり強く言えない。ふたりが消耗しているのが察せられたからだ。
無理させてしまったかな……
紫水晶にも黄水晶にも、夢にまつわる強力な逸話や効能はない。魔除けくらいならできるが、それは現実世界において発揮されるものであり、夢でもとなると無茶な部分も出てくるのだろう。
「キスしてくれたら離れられるよ」
甘えてねだるような声。アメシストに頬擦りされた。
「そうだな……。肌に触れてもいいというなら、それで簡単に済ませるが?」
シトリンの手が私のお腹をそっと撫でる。私はあからさまにビクッと身体を震わせた。
「ちょっ! 変な交渉をふっかけてこないでください! 私が寝ぼけて了承を示すとでもお考えなんですかね? あなたがたが想像している以上に、私、朝は強いんですよ!」
育った環境の都合上、目が覚めたら警戒せねばならなかった。起きてすぐに活動を始めないと怒られてしまうし、自分の自由な時間を得ることができない。寝つきはいいし、二度寝はしないタイプである。
「あ、あとですね、シトリンさん、手つきがいやらしいですっ! 触れることは許可しますけど、その触りかたはダメです!」
「……ふむ。意識してもらえるように、こうしているのだが?」
再びへそのあたりを撫でられる。ゾクゾクしてしまって、悲鳴があがりそうなのをぐっと堪えた。
胸やお尻なら下心だとわかるけど、へそ……くすぐったい以上になんか……
うっすら涙が出てくる。
「や、やだ……っ、変な気持ちになっちゃうっ」
「身体が熱くなってきたな?」
「言わないで」
「汗もかいてきたね? 感じてるんだ?」
アメシストにも聞かれてしまって、私は首を横に振る。
感じるって何?
刺激に飲まれてしまいそうだ。そっちにばかり気を向けてはいけない。こうなったら奥の手だ。
「ふ、ふたりとも、やめてください。あんまりしつこくしたら、わ、私……オパールさんのところで寝ますからね!」
大声で叫んでやると、ふたりはばっと離れた。それと同時にドアも開く。
目が覚めたとき、両側から完全に挟まれていてなんとも言えない気分になる。
アリかナシかでいえば、アリだ。大型犬にもふもふされながら寝ている感覚に近いので、わりと温かいし心地はいい。もう少しふかふかしていればいいけれど、それは多分贅沢な願いなのだろう。こういう行動を可愛いと思ってしまう自分に問題があるだけで、ふたりとも体格は男なのだ。
しいて言うなれば、私を挟むのではなく、ふたりでくっついていたいんだろうなあというところか。
「あの……」
思った以上に身動きが取れなくて、私は声を出す。身じろぎしたのに対して、両側からぎゅっと抱きしめられた。
ふたりとも、起きていますね?
「離れていただけないでしょうか?」
「マスター、温かくてふわふわでいい匂いして気持ちいい……」
「同感だ」
「動けないんですが」
夢の中に呼び出してふたりに助けてもらったことに感謝している手前、あまり強く言えない。ふたりが消耗しているのが察せられたからだ。
無理させてしまったかな……
紫水晶にも黄水晶にも、夢にまつわる強力な逸話や効能はない。魔除けくらいならできるが、それは現実世界において発揮されるものであり、夢でもとなると無茶な部分も出てくるのだろう。
「キスしてくれたら離れられるよ」
甘えてねだるような声。アメシストに頬擦りされた。
「そうだな……。肌に触れてもいいというなら、それで簡単に済ませるが?」
シトリンの手が私のお腹をそっと撫でる。私はあからさまにビクッと身体を震わせた。
「ちょっ! 変な交渉をふっかけてこないでください! 私が寝ぼけて了承を示すとでもお考えなんですかね? あなたがたが想像している以上に、私、朝は強いんですよ!」
育った環境の都合上、目が覚めたら警戒せねばならなかった。起きてすぐに活動を始めないと怒られてしまうし、自分の自由な時間を得ることができない。寝つきはいいし、二度寝はしないタイプである。
「あ、あとですね、シトリンさん、手つきがいやらしいですっ! 触れることは許可しますけど、その触りかたはダメです!」
「……ふむ。意識してもらえるように、こうしているのだが?」
再びへそのあたりを撫でられる。ゾクゾクしてしまって、悲鳴があがりそうなのをぐっと堪えた。
胸やお尻なら下心だとわかるけど、へそ……くすぐったい以上になんか……
うっすら涙が出てくる。
「や、やだ……っ、変な気持ちになっちゃうっ」
「身体が熱くなってきたな?」
「言わないで」
「汗もかいてきたね? 感じてるんだ?」
アメシストにも聞かれてしまって、私は首を横に振る。
感じるって何?
刺激に飲まれてしまいそうだ。そっちにばかり気を向けてはいけない。こうなったら奥の手だ。
「ふ、ふたりとも、やめてください。あんまりしつこくしたら、わ、私……オパールさんのところで寝ますからね!」
大声で叫んでやると、ふたりはばっと離れた。それと同時にドアも開く。
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