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4:私の選択
少しは参考になったか?
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※※※※※
気づけば外が暗くなっていた。チーム編成も変えて連携も試したので、ひと試合は長いと感じなかったのにこんな時間である。
「――少しは参考になったか?」
休憩中にオパールが私に尋ねた。私は気づいたことを雑記帳にまとめていたので、彼に見せる。
「おかげさまで勉強になりました。組み合わせで意外なこともありましたし、助かりました」
「それならいいんだ。オレも彼らの能力を把握しておきたかったからな。――正式に拠点を持つようになったら、こんな感じで模擬戦を組んで、鉱物人形たちの能力を測るんだよ。定期的に協会から職員が派遣されてきてな。オレは時々、それの審判をしてる」
「なんか手慣れていると思ったら、そういうことだったんですね」
時間を潰すためになんとなくやっているわけではなかったということだ。
そもそも今回の模擬戦は、私がオパールにみんなの能力を把握するにはどうしたらいいかと相談した結果ではあるのだが。
「きみは勉強熱心だな」
雑記帳に目を通してふむふむと頷いていたオパールがほめてくれた。
「家を出るために必死なだけです。実家にはこれ以上迷惑をかけられないので、自立したいんですよ」
「精霊管理協会がきみを利用しようと企んでいるとは思わないのか?」
オパールの問いに、私は目を瞬かせる。
「ええっと。それは思いますけど、しばらくは生かしておいてくれそうですし、私の力が誰かのためになるなら悪くはないかと。お荷物にはなりたくないんです」
「それは結構なことだが……きみはやりたいことや夢はなかったのか?」
「政略結婚の駒として育てられてきましたし、そういうモノだと思っていたので。私に自由意志があると困るらしくて、従順なフリをしてやり過ごしてきました。向こうが婚約破棄を願っているのだから、私はもう自由です」
私のせいではない不当な理由で婚約破棄されたのだから、仕方がないことである。そんな相手の気が変わらないうちに私は私として生きる道を進んでしまいたいのだ。
「自由を得た結果、精霊使いを目指すのか」
「そうですね。もともと、石には興味がありましたし。精霊の加護も感じられるので向いていると思ったんですよ」
「そりゃあ、きみは《聖女》と呼ばれるほどの力を持っているわけだから、加護も見えて当然だろうが……なんだかなあ」
表情が曇る。オパールは精霊使いを良いものだと持て囃す立場にはないようだ。
「同情はいらないですよ。悲しいとも不幸だとも思っていないので。今、とっても楽しいですし」
「楽しそうにしているようには見えるさ。だが……いや、オレが言うものじゃないな」
彼は面倒くさそうに頭をかいて立ち上がった。
「そろそろ夕食を仕込まないとな。腹減ってるだろ。ガッツリと胃にたまる料理、出してやるよ」
「早く食いたいから手伝うぜ」
ルビが挙手して、ピョンっと身軽に立ち上がる。勝ち星を一番獲っていた彼だが、まだ体力が余っているようだ。戦闘に特化していると明言していただけはある。
「じゃあお願いするよ。オレらは先に行くから、きみたちはゆっくり来るといい」
はーいと各々返事をする。それを聞いてオパールとルビは出て行った。
「はぁ……ヘトヘトだよお」
オパールとルビの前で弱音を吐くのが嫌だったのだろう。足音がしなくなるのを待って、アメシストが呟いた。
「お疲れ様でしたね」
「僕はあまり戦闘は得意じゃないんだよねえ」
よほど疲れているのか汚れることにも厭わず、アメシストは床に突っ伏した。
気づけば外が暗くなっていた。チーム編成も変えて連携も試したので、ひと試合は長いと感じなかったのにこんな時間である。
「――少しは参考になったか?」
休憩中にオパールが私に尋ねた。私は気づいたことを雑記帳にまとめていたので、彼に見せる。
「おかげさまで勉強になりました。組み合わせで意外なこともありましたし、助かりました」
「それならいいんだ。オレも彼らの能力を把握しておきたかったからな。――正式に拠点を持つようになったら、こんな感じで模擬戦を組んで、鉱物人形たちの能力を測るんだよ。定期的に協会から職員が派遣されてきてな。オレは時々、それの審判をしてる」
「なんか手慣れていると思ったら、そういうことだったんですね」
時間を潰すためになんとなくやっているわけではなかったということだ。
そもそも今回の模擬戦は、私がオパールにみんなの能力を把握するにはどうしたらいいかと相談した結果ではあるのだが。
「きみは勉強熱心だな」
雑記帳に目を通してふむふむと頷いていたオパールがほめてくれた。
「家を出るために必死なだけです。実家にはこれ以上迷惑をかけられないので、自立したいんですよ」
「精霊管理協会がきみを利用しようと企んでいるとは思わないのか?」
オパールの問いに、私は目を瞬かせる。
「ええっと。それは思いますけど、しばらくは生かしておいてくれそうですし、私の力が誰かのためになるなら悪くはないかと。お荷物にはなりたくないんです」
「それは結構なことだが……きみはやりたいことや夢はなかったのか?」
「政略結婚の駒として育てられてきましたし、そういうモノだと思っていたので。私に自由意志があると困るらしくて、従順なフリをしてやり過ごしてきました。向こうが婚約破棄を願っているのだから、私はもう自由です」
私のせいではない不当な理由で婚約破棄されたのだから、仕方がないことである。そんな相手の気が変わらないうちに私は私として生きる道を進んでしまいたいのだ。
「自由を得た結果、精霊使いを目指すのか」
「そうですね。もともと、石には興味がありましたし。精霊の加護も感じられるので向いていると思ったんですよ」
「そりゃあ、きみは《聖女》と呼ばれるほどの力を持っているわけだから、加護も見えて当然だろうが……なんだかなあ」
表情が曇る。オパールは精霊使いを良いものだと持て囃す立場にはないようだ。
「同情はいらないですよ。悲しいとも不幸だとも思っていないので。今、とっても楽しいですし」
「楽しそうにしているようには見えるさ。だが……いや、オレが言うものじゃないな」
彼は面倒くさそうに頭をかいて立ち上がった。
「そろそろ夕食を仕込まないとな。腹減ってるだろ。ガッツリと胃にたまる料理、出してやるよ」
「早く食いたいから手伝うぜ」
ルビが挙手して、ピョンっと身軽に立ち上がる。勝ち星を一番獲っていた彼だが、まだ体力が余っているようだ。戦闘に特化していると明言していただけはある。
「じゃあお願いするよ。オレらは先に行くから、きみたちはゆっくり来るといい」
はーいと各々返事をする。それを聞いてオパールとルビは出て行った。
「はぁ……ヘトヘトだよお」
オパールとルビの前で弱音を吐くのが嫌だったのだろう。足音がしなくなるのを待って、アメシストが呟いた。
「お疲れ様でしたね」
「僕はあまり戦闘は得意じゃないんだよねえ」
よほど疲れているのか汚れることにも厭わず、アメシストは床に突っ伏した。
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