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4:私の選択
私にはその権限があるということ
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「マスター。食事に行こう」
声をかけてきたのはアメシストだ。気配からシトリンも一緒だとすぐにわかる。
「はーい。すぐに行きますね」
私は散らかった机の上を片付けると、扉をそっと開けた。アメシストとシトリンが待っている。ふたりとも穏やかで機嫌がよさそうだ。
「お待たせしました」
「マスターは何をしていたんだ?」
私がふたりと手を繋ぐなり、シトリンが尋ねてきた。
「私はこれまでの情報整理ですよ。今後の身の振り方を考えておかないと、実家の面々とやりあえないので」
「休まなくてよかったのか?」
私の返事に、シトリンは意外そうな顔をする。
「一人で考えておきたいことはたくさんあるので。シトリンさんもアメシストさんも私の味方でいてくれると信じていますが、スタールビーさんはスタールビーさんで、セレナさんはセレナさんで後ろについている陣営が違うようですからね。誰の何を信用していいのか、きちんと洗い出しておかないと」
「へえ……」
「マスターはどこに所属するの? 精霊管理協会の下につくつもりではいるんだよね?」
アメシストが不安そうに私の顔を覗き込んだ。紫水晶の瞳が揺れている。
「今のところは。身柄を保証してくださるようですし、どうしようもないですからねえ」
「もしも、僕が君の足を引っ張るようだったら、遠慮なく切ってくれていいからね」
想像していなかった発言に、私は驚いて足を止めた。
シトリンも同じ気持ちらしく、アメシストと同じように少し困ったような微笑みを浮かべていた。
「なんでそんなことを言うんですか? 私はおふたりを手放すつもりはないですよ」
「ふふ。嬉しい。でもね、覚えていて。僕たちが負担になると思ったら、僕たちを捨てることもできるってこと」
「俺たちはそういう契約でここに顕現している。遠慮しなくていいからな」
冗談で言っているわけではないことは雰囲気から伝わってくる。
私にはその権限があるということを忘れてはいけないのだ。
私は握っていた手に力を込めた。
「……わかりました。覚えておきます。だから、私はあなた方が足枷だと感じることがないよう、しっかり自分で道を切り拓いて立ちますね」
宣言をして、私はふたりを引っ張るように歩き出す。すぐにふたりは歩調を合わせてくれた。
「僕たちのマスターはたくましいなあ」
「俺たちが選んだマスターだからな。そう簡単には挫けないのかもしれん」
私の少し後ろでふたりが安堵したように微笑みあっている。
そういえば、彼らを励起させることができた精霊使いは今まで誰一人としていなかったんだった。私は彼らにマスターとして選ばれたのか。
それは誇ってもいいのかな?
なんとなく嬉しくなって、私は食堂への道を軽い足取りで進んだ。
声をかけてきたのはアメシストだ。気配からシトリンも一緒だとすぐにわかる。
「はーい。すぐに行きますね」
私は散らかった机の上を片付けると、扉をそっと開けた。アメシストとシトリンが待っている。ふたりとも穏やかで機嫌がよさそうだ。
「お待たせしました」
「マスターは何をしていたんだ?」
私がふたりと手を繋ぐなり、シトリンが尋ねてきた。
「私はこれまでの情報整理ですよ。今後の身の振り方を考えておかないと、実家の面々とやりあえないので」
「休まなくてよかったのか?」
私の返事に、シトリンは意外そうな顔をする。
「一人で考えておきたいことはたくさんあるので。シトリンさんもアメシストさんも私の味方でいてくれると信じていますが、スタールビーさんはスタールビーさんで、セレナさんはセレナさんで後ろについている陣営が違うようですからね。誰の何を信用していいのか、きちんと洗い出しておかないと」
「へえ……」
「マスターはどこに所属するの? 精霊管理協会の下につくつもりではいるんだよね?」
アメシストが不安そうに私の顔を覗き込んだ。紫水晶の瞳が揺れている。
「今のところは。身柄を保証してくださるようですし、どうしようもないですからねえ」
「もしも、僕が君の足を引っ張るようだったら、遠慮なく切ってくれていいからね」
想像していなかった発言に、私は驚いて足を止めた。
シトリンも同じ気持ちらしく、アメシストと同じように少し困ったような微笑みを浮かべていた。
「なんでそんなことを言うんですか? 私はおふたりを手放すつもりはないですよ」
「ふふ。嬉しい。でもね、覚えていて。僕たちが負担になると思ったら、僕たちを捨てることもできるってこと」
「俺たちはそういう契約でここに顕現している。遠慮しなくていいからな」
冗談で言っているわけではないことは雰囲気から伝わってくる。
私にはその権限があるということを忘れてはいけないのだ。
私は握っていた手に力を込めた。
「……わかりました。覚えておきます。だから、私はあなた方が足枷だと感じることがないよう、しっかり自分で道を切り拓いて立ちますね」
宣言をして、私はふたりを引っ張るように歩き出す。すぐにふたりは歩調を合わせてくれた。
「僕たちのマスターはたくましいなあ」
「俺たちが選んだマスターだからな。そう簡単には挫けないのかもしれん」
私の少し後ろでふたりが安堵したように微笑みあっている。
そういえば、彼らを励起させることができた精霊使いは今まで誰一人としていなかったんだった。私は彼らにマスターとして選ばれたのか。
それは誇ってもいいのかな?
なんとなく嬉しくなって、私は食堂への道を軽い足取りで進んだ。
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