婚約者に逃げられて精霊使いになりました〜私は壁でありたいのに推しカプが私を挟もうとします。〜

一花カナウ

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4:私の選択

情報を整理しよう

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※※※※※


 これまで出てきた情報を雑記帳に走り書きをして、自分の立ち位置を整理する。
 ステラのやり方は自分勝手で強引ではあれど、私を生かすために必死で動いていただろうことはなんとなくわかった。スタールビーたちがそうであるように、契約者である精霊使いがこの世から去れば、存在を保てなくなってしまうわけで、ステラは自分が生き残るためにも躍起になっていたのだろう。
 元婚約者の思惑はまだわからないが、私が穢れない存在であることを望み求めていたことには違いない。私を必要としているのではなく、私の魔力がほしいだけなのだろうとは考えられる。顔を合わせてもいつだって私のことなんか見ていないし、触れようともしなかった人だ。私という人格には興味がないとずっと思っていた。政略結婚だし、そういうものかと受け入れてきたのだけども。
 精霊管理協会としては、私を特例として受け入れたいと動いているらしい。それはそれでなんらかの思惑があるのだろうけれど、今のところは命を取られる心配はなさそうだ。いいように働かされることにはなりそうなものの、実家を離れるためだと思えば悪くない。搾取される側として生きることにあまり躊躇いのない私なのだった。

「――セレナさんが戻ってきたら、向こう側の情報も聞けるかしらね……」

 ペンを指先でくるくると回す。
 精霊管理協会に身を寄せる都合で自分が情報収集をするにも限界がある。実家では私なりに取引をして情報収集をおこなってきたが、ここではそうはいかないのだから仕方がない。
 スタールビーさんからも聞き出しておいたほうがいいよね……
 ステラとスタールビーの関係も気になる。
 ここまで出た情報から考えると、私が単独で買い物に出かけたことも、そこで魔物に襲撃されることになったのもステラが裏で糸を引いている。スタールビーに声をかけられたのも、すべてシナリオ通りだったということだ。
 予定が狂ったのは、私が紫黄水晶からアメシストとシトリンを呼び出してしまったあたりからで、スタールビーがアメシストとシトリンを盾にしようと動いたのも、概ね私を行方不明者として処理する都合だったのだろうと今なら考えられる。

「アメシストさんとシトリンさんは味方についてくれると思うけど……どう付き合うのが望ましいのかな……」

 このままだとアメシストが不安定になってしまう。シトリンもいずれその影響が出てくるだろう。
 自分と歳の近い異性として向き合うのがいいのだろうけれど、ずっと屋敷に引きこもっていた弊害でさっぱりイメージできない。使用人たちも私より歳上で、若くても兄と同じくらいである。参考になる気がしなかった。

「大型犬とトレーナー状態なのがよくないのはわかるんだけど」

 うーんと頭を抱えていると、ドアが叩かれた。時計を見やる。もう昼食の時間だ。
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