婚約者に逃げられて精霊使いになりました〜私は壁でありたいのに推しカプが私を挟もうとします。〜

一花カナウ

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4:私の選択

勉強しないといけないこと

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「ん?」
「俺も一緒に勉強する。黄水晶は金運をあげる効果があるからな、経営管理の勉強は向いていると思う」
「ありがとう」

 励ましてくれているようだ。一人でやるのは難しいが、一緒に頑張ってくれる仲間がいるのはありがたいことだ。
 私がニコッと笑えば、隣にいたアメシストが膨れた。

「黄水晶としてのアイデンティティにこだわりがないとか、マスターの気をひくのに能力は使いたくないとか言ってたのに、そういうことするぅ?」

 シトリンを非難して、ぶぅぶぅ言っている。
 アメシストが指摘するのはもっともかもしれない。私は小さく笑う。

「それとこれとは別だ……と否定はしない。だが、適材適所ということで挙手しただけのこと。マスターを支える気があるなら、兄だって一緒に学べばいい話だ」
「僕はお勉強があまり好きじゃないんだよねえ……」

 能力がどうという話以前に、アメシストはシトリンと私が勉強に勤しむのが面白くないようだ。彼の勉強嫌いは個体差だろう。紫水晶にそういう傾向はないはずだ。

「そう言わずに、一緒に学んでいきましょうよ。これから興味が湧いてくるものもあるかもしれませんよ?」
「マスターと一緒にいたいから、できる限り頑張るよ」

 アメシストが諦め気味に告げる。逃げないのはえらいと思う。

「ジュエルさんが精霊使いになるにあたって、ちょうどいい物件がないかどうかは確認しているようだな。現在の部隊の展開を踏まえたうえで検索すると、だいぶ限られてしまうが……まあ、すでに四体の鉱物人形を所持していて、今後もすぐに増えると考えられるわけで、難航するだろうな。研修後もしばらくここを本拠地にするかもしれん」
「ですが、ステラには場所がわれていたわけで、安全かどうかって言われると怪しいんじゃないでしょうか?」

 ステラは私を拐おうとしていた。彼単独での思考だったと決めつけるには早計な気がするのだ。
 私の懸念に対し、オパールは腕を組む。

「内通者がいるからな。どこに行っても同じだと思うぞ?」
「こっちを見るな。俺だけじゃない」

 オパールがニヤッと笑ってスタールビーに疑う視線を向ける。スタールビーは両手をさっと上げて否定した。

「ま、それは現在調査中だ。セレナが戻ってきたら、情報も増えるだろ」

 オパールがスタールビーを朝食の後片付けに呼んだのは、監視の意味合いもあったと言うことだろう。

「なるほど。下手にうろうろするよりも、迎え撃つ、と」
「迎え撃つのを狙っているわけでもないけどな」

 よくわからないという顔をしたら、オパールは肩をすくめた。
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