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4:私の選択
朝食の片付けをしながら
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※※※※※
朝食の後片付けをオパールの指示で一緒にこなす。精霊使いとして独立したら、誰かしらやらねばならないわけで、知っておくのは大事なことだ。
夜通し見張ってくれていたルビは朝食後に部屋で休息。ダイヤは館内の見回り。スタールビーと私たちは片付けついでに厨房の説明を受けることになった。
「――精霊使いが生活している場所って、こういう保養所みたいな場所なんですか?」
前にスタールビーから見せてもらった石たちの数は種類も数もたくさんあった。それらがみんな鉱物人形になるのだとしたら、私の実家で働いていた使用人たちよりも人数は多いことだろう。この保養所規模の建物は必要だろうと考えられる。
私の問いに、オパールは頷いた。
「そうだな……この規模の建物は稀だろうが厨房と食堂の設備は概ね同じだと思う。ここは古いものが多いが、機能としてはそう変わらないだろう。オーブンも食洗機もどこだってあるからなあ」
オパールはなにかを思い出したように告げ、スタールビーに顔を向けた。
「きみのところもこんな感じだったんだろ? ダイヤにサポートを頼んだら、すんなり使いこなしていたし」
「設備的には似たり寄ったりだな。俺のマスターは代々精霊使いになるような家系だったからか、設備は古いものが多くてオンボロだったが……そう考えると、ここのものの方が新しいくらいだ」
そう答えて、スタールビーは苦笑した。
それぞれの部隊によって歴史があるようだ。私はふむふむと頷く。
「なるほどな。きみのところは大所帯だったから、設備投資まで回らなかったのかもしれない」
「それはそうだな。つい、あの規模感で考えがちだが、レアケースだったか」
「だいぶ珍しいんじゃないか。オレが知る限りでは、匹敵するのはええっと……十はない」
指を折って数え、オパールが答える。
そうだろうなという顔をしてスタールビーが口を開いた。
「だよな。それはそうと、今は小規模経営にシフトしているんだろ? 精霊使いの負担になるから、制限が設けられたって聞いてる」
「あれは建前の部分もあるな。負担になるのは間違いないが、政府が脅威に感じて戦力の集中を避けるように言ってきたんだよ」
オパールにしれっと言われて、スタールビーが目を瞬く。
「……それ、話していいヤツか?」
「極秘ってほどの情報でもないさ。たぶん、ジュエルさんは特例で大規模経営権を得ることになるだろうし、そうならないときみの仲間全員を引き継げないだろ?」
おっと、まさかここで私の話題か。
オパールの視線がチラッとこちらに向けられて、スタールビーに向き直る。
「あー……そう、だな。励起できるかの問題はクリアしたが、そういう問題があったのは盲点だった」
「魔物退治にもいろいろあるんだよ」
そう答えてオパールは笑った。ちょっと陰があるように感じるのは、私たちには言えない裏の事情にも精通しているからなのだろう。セレナ自身が精霊管理協会に深く関わる立場にあるらしいので、いろいろ聞いているのかもしれない。
「魔物退治も大変ですけど、自分達の生活する場所を維持管理するのは大変そうですね……」
「経営についての講習会もあるから、任意の鉱物人形とともに勉強すればいいさ」
「学ぶことがたくさん……」
覚えられるのか自信がない。私はふぅっとため息をつく。
そんな私の肩を、シトリンがポンポンと優しく叩く。
朝食の後片付けをオパールの指示で一緒にこなす。精霊使いとして独立したら、誰かしらやらねばならないわけで、知っておくのは大事なことだ。
夜通し見張ってくれていたルビは朝食後に部屋で休息。ダイヤは館内の見回り。スタールビーと私たちは片付けついでに厨房の説明を受けることになった。
「――精霊使いが生活している場所って、こういう保養所みたいな場所なんですか?」
前にスタールビーから見せてもらった石たちの数は種類も数もたくさんあった。それらがみんな鉱物人形になるのだとしたら、私の実家で働いていた使用人たちよりも人数は多いことだろう。この保養所規模の建物は必要だろうと考えられる。
私の問いに、オパールは頷いた。
「そうだな……この規模の建物は稀だろうが厨房と食堂の設備は概ね同じだと思う。ここは古いものが多いが、機能としてはそう変わらないだろう。オーブンも食洗機もどこだってあるからなあ」
オパールはなにかを思い出したように告げ、スタールビーに顔を向けた。
「きみのところもこんな感じだったんだろ? ダイヤにサポートを頼んだら、すんなり使いこなしていたし」
「設備的には似たり寄ったりだな。俺のマスターは代々精霊使いになるような家系だったからか、設備は古いものが多くてオンボロだったが……そう考えると、ここのものの方が新しいくらいだ」
そう答えて、スタールビーは苦笑した。
それぞれの部隊によって歴史があるようだ。私はふむふむと頷く。
「なるほどな。きみのところは大所帯だったから、設備投資まで回らなかったのかもしれない」
「それはそうだな。つい、あの規模感で考えがちだが、レアケースだったか」
「だいぶ珍しいんじゃないか。オレが知る限りでは、匹敵するのはええっと……十はない」
指を折って数え、オパールが答える。
そうだろうなという顔をしてスタールビーが口を開いた。
「だよな。それはそうと、今は小規模経営にシフトしているんだろ? 精霊使いの負担になるから、制限が設けられたって聞いてる」
「あれは建前の部分もあるな。負担になるのは間違いないが、政府が脅威に感じて戦力の集中を避けるように言ってきたんだよ」
オパールにしれっと言われて、スタールビーが目を瞬く。
「……それ、話していいヤツか?」
「極秘ってほどの情報でもないさ。たぶん、ジュエルさんは特例で大規模経営権を得ることになるだろうし、そうならないときみの仲間全員を引き継げないだろ?」
おっと、まさかここで私の話題か。
オパールの視線がチラッとこちらに向けられて、スタールビーに向き直る。
「あー……そう、だな。励起できるかの問題はクリアしたが、そういう問題があったのは盲点だった」
「魔物退治にもいろいろあるんだよ」
そう答えてオパールは笑った。ちょっと陰があるように感じるのは、私たちには言えない裏の事情にも精通しているからなのだろう。セレナ自身が精霊管理協会に深く関わる立場にあるらしいので、いろいろ聞いているのかもしれない。
「魔物退治も大変ですけど、自分達の生活する場所を維持管理するのは大変そうですね……」
「経営についての講習会もあるから、任意の鉱物人形とともに勉強すればいいさ」
「学ぶことがたくさん……」
覚えられるのか自信がない。私はふぅっとため息をつく。
そんな私の肩を、シトリンがポンポンと優しく叩く。
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