婚約者に逃げられて精霊使いになりました〜私は壁でありたいのに推しカプが私を挟もうとします。〜

一花カナウ

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3:運命の歯車が回りだす

魔物の核

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※※※※※


 厚めの壁一枚を隔てた広い空間。そこには大型の魔物がいた。
 蛇に似た姿で、とにかく大きい。持ち運べるようなサイズではないので、どこから入り込んだのだろうと考えてしまう。さっき通ってきた階段の幅よりも腹囲があるのではなかろうか。人間くらいなら容易く丸呑みできそうだ。

「お、そっちは片付いたか」

 ルビが魔物に打撃を与えて部屋の奥に押し込む。魔物は疲弊しているようには見えるものの、まだまだ力は残っているようだ。すぐには反撃せず、こちらの出方をうかがうようにさらに下がった。

「一応、動けなくはしました」
「そうか」
「そっちはどういう感じですか?」

 私が尋ねると、ルビは私の前に着地した。

「核がどこなのかちっとも掴めなくて、とどめを刺せないんだよな。動きはある程度封じることができているとは思うんだが」

 核……核ってなんだ?
 私がスタールビーに目を向けると、ふうと息を吐き出した。

「大型の魔物との戦闘を見るのは初めてだったか。何がわからない?」
「核ってなんですか?」

 大型の魔物がこちらに向かって動き出したので、ルビは私から離れて戦闘に戻る。アメシストとシトリンも剣を出して構えた。ルビを追って突っ込んでいかなかったのは、剣を出した目的が私たちを守るためだからだろう。

「核ってのは、人間における心臓や脳みたいな弱点で、それを破壊すれば魔物は霧散する。そして核がある限り魔物は再生可能だ。ここは魔物のエネルギー源にもなる瘴気が濃いから、放っておくと無限に回復するだろうな」
「じゃあ、早く核を探さないといけないですね……」
「そうなるな」

 スタールビーはルビの戦いを見ながら魔物の核を探しているようだ。目を凝らして動きを辿っている。

「防御が堅牢だ。いなしているだけで、致命には至らない感じか」
「ふぅん……あまり見ないタイプの魔物ねえ」

 セレナが呟く。ステラを拘束してオパールに押し付けてきたのだろう。

「魔物って、形状によって同じ場所に弱点を抱えているものなんですか?」
「そうでもないのよね。基本的に魔物一体につき核は一つなのだけれど、同じ場所に核があるとは限らなくて。そこの蛇型はそもそも遭遇率が低いから、統計が取れるほどの情報がなくてなおさらわからないわね。とりあえず、頭部にはなさそう、か」

 端末をいじりながらセレナが答えた。ルビだけで充分に魔物を止められることもあって、少々呑気ではあるが作戦会議である。
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