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3:運命の歯車が回りだす
信用はしていないわ
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戦い慣れているオパールの翻弄する動きに、ステラは防戦を強いられているように映った。
「自然発生ではないことくらい、調査済みなんだよ。誰かが人為的に仕組んだことには違いなくてだな!」
「魔物を運べるなんて聞いたことはないですね」
「なるほど、アレは運んできたのか。てっきり、術で召喚したんだとばかり」
「!」
動揺。その瞬間を逃すことなく、オパールはステラの剣を弾き飛ばした。
剣は高く飛んで、遠くに落下する。
「加減はしないぜ?」
丸腰になったステラを、オパールは容赦なく切り裂いた。
「ちっ」
両腕がごとりと地面に落ちる。ステラはその場に膝をついてオパールを見上げる。彼の首にオパールの剣が添えられた。
「加減はしないと言いつつも、腕をもいだだけですか」
「いんや。きっちり無力化させてもらう」
ステラの身体に黒い文字が浮かび上がる。それを見たステラは苦笑いを浮かべた。
「――なるほど。時間稼ぎだったわけですね」
諦めた顔をして、階段の方に首を向ける。そこにいたのはセレナだった。手を構えているのは、ステラに向かって術を使用中だからだ。
「見事だ」
どさっとステラはその場に崩れる。もう動かないようで、オパールは剣をしまった。
「……ええっと、ステラの腕」
なかなかにショッキングな絵面なのだが、血が流れている気配がないあたりで彼が鉱物人形だったことを理解した。断面がカットされた宝石のそれと同じように滑らかで光沢がある。
「精霊使いの手で修復できる怪我だから心配するな」
そう答えて、オパールは腕を拾うと持っている包帯状の布で左右まとめて縛った。
「ひゅうってなるね……」
「そうだな」
ショックを受けているのは私だけでなくアメシストとシトリンも同様のようだった。
「――って」
私はスタールビーに駆け寄る。彼は目をまんまるくする。
「怪我は大丈夫なんですか? 動けますか?」
どうも一晩中ステラとやり合っていたようなのだ。吹っ飛ばされたらしい音も聞いているあたり、元気ではないだろう。
「動けなくはないが、戦闘要員に数えられるほどは動けそうにないな」
脇腹を押さえて、スタールビーは壁に背中を預けた。苦しそうに息を吐いているあたり、激しい運動は難しそうだ。
「なんでおひとりで行ったんですか? 皆さん、心配したんですよ」
「相討ちで止められれば、君に知られないまま終われるだろうって」
「……勝手なことはしないでください」
「俺のために泣きそうな顔をするのはやめておきな」
「私は怒っているんですよ!」
スタールビーはふっと笑って、私の隣に来たセレナを見やった。
「悪いな。信用して入れてもらったってのに」
「信用はしていないわ。泳がせて、尻尾を出すのを待ってたから」
セレナがきっぱり言う。その返事に、大きくため息をついた。
「なるほどねえ。はじめから察していたわけか」
「オパールと仲がいいだけあって、直感が優れているの」
「幸運の石もかたなしだなあ」
スタールビーを回復させないあたりに、それなりのペナルティを感じる。私としても、すぐには回復させなくていいような気がした。
まだ戦闘は終わっていない。
フロアの奥から咆哮が聞こえる。
「ルビと合流しますか?」
気配からすると、ルビは優勢のようだ。大きな怪我をしている感じはなく、彼が高揚しているのが周囲に漏れ出す魔力から伝わってくる。
「そうね。鉱物人形の戦闘を見ておくのも勉強だし、危なくなったら私が援護するわ」
セレナから許可を取ったので、私はスタールビーに手を差し出した。
「そういうことですので協力していただけますか、スタールビーさん」
「罪滅ぼしの範疇でなら」
スタールビーは私の手を取ってくれたのだった。
「自然発生ではないことくらい、調査済みなんだよ。誰かが人為的に仕組んだことには違いなくてだな!」
「魔物を運べるなんて聞いたことはないですね」
「なるほど、アレは運んできたのか。てっきり、術で召喚したんだとばかり」
「!」
動揺。その瞬間を逃すことなく、オパールはステラの剣を弾き飛ばした。
剣は高く飛んで、遠くに落下する。
「加減はしないぜ?」
丸腰になったステラを、オパールは容赦なく切り裂いた。
「ちっ」
両腕がごとりと地面に落ちる。ステラはその場に膝をついてオパールを見上げる。彼の首にオパールの剣が添えられた。
「加減はしないと言いつつも、腕をもいだだけですか」
「いんや。きっちり無力化させてもらう」
ステラの身体に黒い文字が浮かび上がる。それを見たステラは苦笑いを浮かべた。
「――なるほど。時間稼ぎだったわけですね」
諦めた顔をして、階段の方に首を向ける。そこにいたのはセレナだった。手を構えているのは、ステラに向かって術を使用中だからだ。
「見事だ」
どさっとステラはその場に崩れる。もう動かないようで、オパールは剣をしまった。
「……ええっと、ステラの腕」
なかなかにショッキングな絵面なのだが、血が流れている気配がないあたりで彼が鉱物人形だったことを理解した。断面がカットされた宝石のそれと同じように滑らかで光沢がある。
「精霊使いの手で修復できる怪我だから心配するな」
そう答えて、オパールは腕を拾うと持っている包帯状の布で左右まとめて縛った。
「ひゅうってなるね……」
「そうだな」
ショックを受けているのは私だけでなくアメシストとシトリンも同様のようだった。
「――って」
私はスタールビーに駆け寄る。彼は目をまんまるくする。
「怪我は大丈夫なんですか? 動けますか?」
どうも一晩中ステラとやり合っていたようなのだ。吹っ飛ばされたらしい音も聞いているあたり、元気ではないだろう。
「動けなくはないが、戦闘要員に数えられるほどは動けそうにないな」
脇腹を押さえて、スタールビーは壁に背中を預けた。苦しそうに息を吐いているあたり、激しい運動は難しそうだ。
「なんでおひとりで行ったんですか? 皆さん、心配したんですよ」
「相討ちで止められれば、君に知られないまま終われるだろうって」
「……勝手なことはしないでください」
「俺のために泣きそうな顔をするのはやめておきな」
「私は怒っているんですよ!」
スタールビーはふっと笑って、私の隣に来たセレナを見やった。
「悪いな。信用して入れてもらったってのに」
「信用はしていないわ。泳がせて、尻尾を出すのを待ってたから」
セレナがきっぱり言う。その返事に、大きくため息をついた。
「なるほどねえ。はじめから察していたわけか」
「オパールと仲がいいだけあって、直感が優れているの」
「幸運の石もかたなしだなあ」
スタールビーを回復させないあたりに、それなりのペナルティを感じる。私としても、すぐには回復させなくていいような気がした。
まだ戦闘は終わっていない。
フロアの奥から咆哮が聞こえる。
「ルビと合流しますか?」
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「そうね。鉱物人形の戦闘を見ておくのも勉強だし、危なくなったら私が援護するわ」
セレナから許可を取ったので、私はスタールビーに手を差し出した。
「そういうことですので協力していただけますか、スタールビーさん」
「罪滅ぼしの範疇でなら」
スタールビーは私の手を取ってくれたのだった。
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