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3:運命の歯車が回りだす
私はあなたとは行きませんから
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「あなたの特性を知って、近づき求める者は多いことでしょう。それは、鉱物人形も同じです。あなたを謀り唆し、己がモノとしようとする。……ワタシ自身がそうではないとは否定しませんよ」
なにをされたのかわからないが、彼の使う術に掛かっているのだろうことは察せられる。身体がとても重いのだ。それは片膝をついた私だけでなく、後方にいるスタールビーも同じようだった。
身動きが取れないために、ゆっくりとした足取りで近づいてくるステラから逃げることができない。
「しかし、あなたをそばでずっと支えてきた自負はあります。誰よりもずっとあなたのことを考えてきました。あなたの最良の道を、ワタシは選ぶことができますよ。守る価値のない連中のために命を捧げる必要はないのです」
私の前に来てしゃがむ。見上げる私の頬を、手袋をはめた手で撫でた。
「我が愛し子。一緒に行きましょう」
「だから、行かないって言ってるでしょ!」
「もう拒否権はないのですよ?」
力尽くで拐われる!
身構えた瞬間、なぜかステラは後方に飛び退いた。何事かと状況を理解しようと頭を働かせている間に、私とステラの間に影が二つ落ちる。
「説得ができないからと言って拐おうとするのは感心しないな」
「そっちには行かないって言ってるんだから、出直しておいでよ」
シトリンとアメシストがステラに言い放つ。
「邪魔をしないでいただきたい。あとから湧いてきた分際で、我が愛し子のなにがわかるというのでしょう。ワタシの意志は彼女と同じだ。惑わすな」
「その言葉、そのまま返すよ」
アメシストが手を構える。
ステラはため息をついた。
「ふたりとも、警戒したほうがいい。アレはなかなか強いし、一体だけじゃねえんだ」
スタールビーが警告する。
そう、敵対しているのはステラだけではないのだ。見えない場所におぞましい気配を感じる。このフロアのずっと奥に何かいる。
「そっちは俺が引き受ける。だから、アメシストとシトリンはオパールと連携してそいつを引きつけておいてくれ」
階段からルビが出てきて、壁を蹴って跳躍。返事を聞くことなくフロアの奥に消えた。素早い。
まあ、ルビは視界不良になることがなさそうなので、適任といえば適任だろうか。ここの明かりはスタールビーが作ってくれているので問題はない。
「イキイキしてるな」
呆れるような声を出しながら、オパールも階段から姿を現した。
「オパールさん、あっちは大丈夫だと思います?」
「うーん。のんびりしていたらやばいかもっつーことで、そこの彼を追い払うんじゃなくて取っ捕まえようと思う。廃墟とはいえここは精霊管理協会管轄のエリアなんでな。勝手なことされると困るわけで」
会話中を呑気に待っていてくれるような相手ではない。アメシストとシトリンが睨みをきかせている間にも次の手を打つためにステラが動く。
それにめざとく気づいたオパールは対応すべく跳躍した。
「商店街のど真ん中に魔物を放ったのにも、ウチの施設に魔物をばら撒いたのにも、関わっているんだろ、きみが」
「さあ、なんの話です?」
どこからか複雑なきらめきを持つ石の剣を喚び出して、オパールが薙ぐ。応戦する形でステラも青い石の剣を取り出して受けた。
重い打撃音がフロアに響く。続く剣戟の動き。ぶつかるたびに音がこだまする。
衝撃波が私たちの髪を弄んだ。剣で戦っているように見えるが、特殊な剣なのかあるいは術を纏っているのか、通常の物理戦闘ではなさそうだ。
なにをされたのかわからないが、彼の使う術に掛かっているのだろうことは察せられる。身体がとても重いのだ。それは片膝をついた私だけでなく、後方にいるスタールビーも同じようだった。
身動きが取れないために、ゆっくりとした足取りで近づいてくるステラから逃げることができない。
「しかし、あなたをそばでずっと支えてきた自負はあります。誰よりもずっとあなたのことを考えてきました。あなたの最良の道を、ワタシは選ぶことができますよ。守る価値のない連中のために命を捧げる必要はないのです」
私の前に来てしゃがむ。見上げる私の頬を、手袋をはめた手で撫でた。
「我が愛し子。一緒に行きましょう」
「だから、行かないって言ってるでしょ!」
「もう拒否権はないのですよ?」
力尽くで拐われる!
身構えた瞬間、なぜかステラは後方に飛び退いた。何事かと状況を理解しようと頭を働かせている間に、私とステラの間に影が二つ落ちる。
「説得ができないからと言って拐おうとするのは感心しないな」
「そっちには行かないって言ってるんだから、出直しておいでよ」
シトリンとアメシストがステラに言い放つ。
「邪魔をしないでいただきたい。あとから湧いてきた分際で、我が愛し子のなにがわかるというのでしょう。ワタシの意志は彼女と同じだ。惑わすな」
「その言葉、そのまま返すよ」
アメシストが手を構える。
ステラはため息をついた。
「ふたりとも、警戒したほうがいい。アレはなかなか強いし、一体だけじゃねえんだ」
スタールビーが警告する。
そう、敵対しているのはステラだけではないのだ。見えない場所におぞましい気配を感じる。このフロアのずっと奥に何かいる。
「そっちは俺が引き受ける。だから、アメシストとシトリンはオパールと連携してそいつを引きつけておいてくれ」
階段からルビが出てきて、壁を蹴って跳躍。返事を聞くことなくフロアの奥に消えた。素早い。
まあ、ルビは視界不良になることがなさそうなので、適任といえば適任だろうか。ここの明かりはスタールビーが作ってくれているので問題はない。
「イキイキしてるな」
呆れるような声を出しながら、オパールも階段から姿を現した。
「オパールさん、あっちは大丈夫だと思います?」
「うーん。のんびりしていたらやばいかもっつーことで、そこの彼を追い払うんじゃなくて取っ捕まえようと思う。廃墟とはいえここは精霊管理協会管轄のエリアなんでな。勝手なことされると困るわけで」
会話中を呑気に待っていてくれるような相手ではない。アメシストとシトリンが睨みをきかせている間にも次の手を打つためにステラが動く。
それにめざとく気づいたオパールは対応すべく跳躍した。
「商店街のど真ん中に魔物を放ったのにも、ウチの施設に魔物をばら撒いたのにも、関わっているんだろ、きみが」
「さあ、なんの話です?」
どこからか複雑なきらめきを持つ石の剣を喚び出して、オパールが薙ぐ。応戦する形でステラも青い石の剣を取り出して受けた。
重い打撃音がフロアに響く。続く剣戟の動き。ぶつかるたびに音がこだまする。
衝撃波が私たちの髪を弄んだ。剣で戦っているように見えるが、特殊な剣なのかあるいは術を纏っているのか、通常の物理戦闘ではなさそうだ。
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