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3:運命の歯車が回りだす
廃墟となった研究所
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※※※※※
スタールビーは意図があって失踪したのだろうか。
急に消えたら心配すると思わなかったのだろうか。
ルビやダイヤが言うように、非常事態が起きてみんなが目覚めるまでには戻るつもりでいたのにできなかったのだろうか。
「――痕跡を隠したかったわけじゃなくて、音を立てて誰かに追われるのを避けたかったっぽいな」
草が踏まれた真新しい痕跡をたどりながら、ルビが呟く。
「そんな感じだな。途切れることなく続いているあたり、目的があって進んでいるっぽいし」
「この先は何があるんだ?」
同意するオパールに、ルビが尋ねる。
「この先は研究所よ。放棄されて随分と経つから、廃墟になってると思うけど」
「荒れているが道らしくなっているのは、保養所から研究所への道だったからか」
「そうね。それこそ何十年も使っていないはずだけど」
オパールの代わりにセレナが質問に答えた。
「研究所って、精霊管理協会のものか?」
「ううん。あの保養所もそうだけど、もとは民間のものだったわね。私の記憶違いじゃなかったら」
「……ああ、やっとここがどこなのか思い出したぞ」
ルビが意味ありげに笑う。
「あら、あなたも知っている場所だったの?」
「座標を聞いておくべきだったな」
転送されるとき、ここが国のどこに位置するのかはセレナもオパールも告げなかった。施設名称も具体的には言わなかったことを私は思い出す。
「そろそろ目的地だ」
視界を塞いでいた木々がなくなって、開けた場所に着いた。ちょっとした商業施設くらいの規模だと思われる朽ちた建物がその先に見える。
「意外と広い?」
「俺の思っている場所ならば、あそこは研究所と工場を兼ねていたはずだからな」
私の問いに、ルビが返す。面倒そうな口調なのが気にかかる。
そのまま建物に進むのかと思ったが立ち止まったので、私は先頭のルビとオパールを見つめる。ルビが真っ直ぐに手を差し出すと、バチっと火花が出た。
「何か仕掛けられているな」
「建物の保護のために結界を張っている……って感じじゃなさそうね。ここに何かあるのは間違いないってことで、結界を破っちゃうつもりだけど、いいかしら?」
唸るルビの隣に立って、セレナが聞く。
「任せる。始末書はオレが書いておく」
「よーし。景気よくいきますか」
セレナが手を構える。聞き慣れない旋律が響くと、周囲に渦巻く瘴気に変化が起こる。木々がざわめき、風が立った。
おお、景気がいい演出……
肌がざわめく。広範囲に張り巡らされた結界を破るために術を使っているのだと察せられた。
「破!」
スタールビーは意図があって失踪したのだろうか。
急に消えたら心配すると思わなかったのだろうか。
ルビやダイヤが言うように、非常事態が起きてみんなが目覚めるまでには戻るつもりでいたのにできなかったのだろうか。
「――痕跡を隠したかったわけじゃなくて、音を立てて誰かに追われるのを避けたかったっぽいな」
草が踏まれた真新しい痕跡をたどりながら、ルビが呟く。
「そんな感じだな。途切れることなく続いているあたり、目的があって進んでいるっぽいし」
「この先は何があるんだ?」
同意するオパールに、ルビが尋ねる。
「この先は研究所よ。放棄されて随分と経つから、廃墟になってると思うけど」
「荒れているが道らしくなっているのは、保養所から研究所への道だったからか」
「そうね。それこそ何十年も使っていないはずだけど」
オパールの代わりにセレナが質問に答えた。
「研究所って、精霊管理協会のものか?」
「ううん。あの保養所もそうだけど、もとは民間のものだったわね。私の記憶違いじゃなかったら」
「……ああ、やっとここがどこなのか思い出したぞ」
ルビが意味ありげに笑う。
「あら、あなたも知っている場所だったの?」
「座標を聞いておくべきだったな」
転送されるとき、ここが国のどこに位置するのかはセレナもオパールも告げなかった。施設名称も具体的には言わなかったことを私は思い出す。
「そろそろ目的地だ」
視界を塞いでいた木々がなくなって、開けた場所に着いた。ちょっとした商業施設くらいの規模だと思われる朽ちた建物がその先に見える。
「意外と広い?」
「俺の思っている場所ならば、あそこは研究所と工場を兼ねていたはずだからな」
私の問いに、ルビが返す。面倒そうな口調なのが気にかかる。
そのまま建物に進むのかと思ったが立ち止まったので、私は先頭のルビとオパールを見つめる。ルビが真っ直ぐに手を差し出すと、バチっと火花が出た。
「何か仕掛けられているな」
「建物の保護のために結界を張っている……って感じじゃなさそうね。ここに何かあるのは間違いないってことで、結界を破っちゃうつもりだけど、いいかしら?」
唸るルビの隣に立って、セレナが聞く。
「任せる。始末書はオレが書いておく」
「よーし。景気よくいきますか」
セレナが手を構える。聞き慣れない旋律が響くと、周囲に渦巻く瘴気に変化が起こる。木々がざわめき、風が立った。
おお、景気がいい演出……
肌がざわめく。広範囲に張り巡らされた結界を破るために術を使っているのだと察せられた。
「破!」
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