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2:私の人生が動くとき
合流、そして新しい仲間たち
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「そういうことだから、よろしくなお嬢さん」
スタールビーが指示をあおいでくるので、私は頷いた。
「自分の身は自分で守ること、アメシストとシトリンも仲間と見做して守ることを命じます」
「話が早いじゃないか。だが、君を守れとは命じなくていいのか?」
確かに指摘のとおりなのだが、この指示は意図的なものだ。私は薄く笑う。
「そこは任意でいいです。本気で私をマスターにしたいなら、頑張ってください」
「この非常事態にそれだけの指示ができれば、申し分ないな」
満足げに答えて、彼は首から下げていたチェーンを引っ張る。その先についていたペンダントトップを引きちぎって、私の手に載せた。
手のひらにあるのは紅玉と金剛石だ。商品として見せられた中でもなかなかの大粒で印象に残っていたものだ。
「脱出には戦力が必要だ。ふたりを喚べ」
「え、え? 喚ぶって?」
「ルビ、ダイヤ、久しぶりに暴れられるぞ」
手の中の石が熱い。魔力の高まりを感じる。
この感覚、アメシストとシトリンを喚んだときに似ている――
もう、やるしかない。
「えっとえっと……おふたりとも、力を貸してください!」
光が渦巻いた。影が人型を作り出す。
「――才能があるからって、こういうことさせるなよ。消耗させてどうするんだ」
「そうですよ。スタールビー。そういうところが、貴方のよくないところです」
男性にしては少し小柄な赤い男と、長身の白く輝く短髪の男が現れた。
「よう。ルビ、ダイヤ。久しぶり。さあ、仕事だぜ」
「そうですね、説教はあとにしましょうか」
白い長身の男が私に向き直った。
「マスター、はじめまして。私はダイヤ。貴女を守りましょう」
「俺はルビ。状況は石の状態でもある程度把握できている。俺たちは主に攻撃手として活動してきたこともあって戦闘には慣れている。こちらの判断で、君の安全を最優先とした行動を取るが、構わないか?」
「はじめまして、ダイヤさん、ルビさん。戦闘についてはあなた方にお任せします。ただ……私、正式な精霊使いじゃないので回復させることができないんです。だから、くれぐれも怪我はしないでください」
「承知した」
「了解だ」
自己紹介が終わったところで、扉が勢いよく開いた。アメシストが転がり込む。
「え、増えてる」
部屋に鉱物人形がたくさん並んでいる様を見て、アメシストがぎょっとしていた。第一声がそれでいいのかわからないが、気持ちはわからないでもない。
「アメシストさん」
私の呼びかけに、アメシストはそれどころじゃなかったことを思い出したように私に駆け寄った。
「外、魔物が押し寄せてるんだけど、何があった?」
「兄よ、ここにもそれ以上の情報はない。俺たちのすべきことは、マスターを守りながら脱出すること、だ」
「ああ、うん、そうだね」
シトリンの説明にアメシストは頷いて、新たな仲間を見やる。
「――前衛で浄化を得意としている紅玉と金剛石なら、僕たちは後衛でいいだろうね」
浄化を得意としているのは紅玉と金剛石の効能ゆえだろうか。鉱物人形と石の効能には関連があるものだと考えてよさそうだ。
私が考えごとをしているとシトリンが顔を覗いた。
「マスター、身体は?」
「動けなくはなさそうですけど」
勢いでふたりを喚び出したので気絶する可能性もあるんじゃないかと構えていたのだが、今のところ大丈夫である。
「それは良かった。とはいえ人間が移動するにはいささか時間がかかりすぎるので失礼」
シトリンが私を横抱きにした。元婚約者からの書状が入った封筒は胸に抱き締めた状態である。
「他に君の持ち物はあっただろうか?」
「鞄が棚の中に」
私が答えたタイミングで、アメシストが鞄を取り出してくれた。
「それなら今持った」
「なら大丈夫です」
「じゃあ、出ようか」
アメシストは告げて、迷わず窓を蹴破った。枠ごと外れて落ちていく。
スタールビーが指示をあおいでくるので、私は頷いた。
「自分の身は自分で守ること、アメシストとシトリンも仲間と見做して守ることを命じます」
「話が早いじゃないか。だが、君を守れとは命じなくていいのか?」
確かに指摘のとおりなのだが、この指示は意図的なものだ。私は薄く笑う。
「そこは任意でいいです。本気で私をマスターにしたいなら、頑張ってください」
「この非常事態にそれだけの指示ができれば、申し分ないな」
満足げに答えて、彼は首から下げていたチェーンを引っ張る。その先についていたペンダントトップを引きちぎって、私の手に載せた。
手のひらにあるのは紅玉と金剛石だ。商品として見せられた中でもなかなかの大粒で印象に残っていたものだ。
「脱出には戦力が必要だ。ふたりを喚べ」
「え、え? 喚ぶって?」
「ルビ、ダイヤ、久しぶりに暴れられるぞ」
手の中の石が熱い。魔力の高まりを感じる。
この感覚、アメシストとシトリンを喚んだときに似ている――
もう、やるしかない。
「えっとえっと……おふたりとも、力を貸してください!」
光が渦巻いた。影が人型を作り出す。
「――才能があるからって、こういうことさせるなよ。消耗させてどうするんだ」
「そうですよ。スタールビー。そういうところが、貴方のよくないところです」
男性にしては少し小柄な赤い男と、長身の白く輝く短髪の男が現れた。
「よう。ルビ、ダイヤ。久しぶり。さあ、仕事だぜ」
「そうですね、説教はあとにしましょうか」
白い長身の男が私に向き直った。
「マスター、はじめまして。私はダイヤ。貴女を守りましょう」
「俺はルビ。状況は石の状態でもある程度把握できている。俺たちは主に攻撃手として活動してきたこともあって戦闘には慣れている。こちらの判断で、君の安全を最優先とした行動を取るが、構わないか?」
「はじめまして、ダイヤさん、ルビさん。戦闘についてはあなた方にお任せします。ただ……私、正式な精霊使いじゃないので回復させることができないんです。だから、くれぐれも怪我はしないでください」
「承知した」
「了解だ」
自己紹介が終わったところで、扉が勢いよく開いた。アメシストが転がり込む。
「え、増えてる」
部屋に鉱物人形がたくさん並んでいる様を見て、アメシストがぎょっとしていた。第一声がそれでいいのかわからないが、気持ちはわからないでもない。
「アメシストさん」
私の呼びかけに、アメシストはそれどころじゃなかったことを思い出したように私に駆け寄った。
「外、魔物が押し寄せてるんだけど、何があった?」
「兄よ、ここにもそれ以上の情報はない。俺たちのすべきことは、マスターを守りながら脱出すること、だ」
「ああ、うん、そうだね」
シトリンの説明にアメシストは頷いて、新たな仲間を見やる。
「――前衛で浄化を得意としている紅玉と金剛石なら、僕たちは後衛でいいだろうね」
浄化を得意としているのは紅玉と金剛石の効能ゆえだろうか。鉱物人形と石の効能には関連があるものだと考えてよさそうだ。
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「マスター、身体は?」
「動けなくはなさそうですけど」
勢いでふたりを喚び出したので気絶する可能性もあるんじゃないかと構えていたのだが、今のところ大丈夫である。
「それは良かった。とはいえ人間が移動するにはいささか時間がかかりすぎるので失礼」
シトリンが私を横抱きにした。元婚約者からの書状が入った封筒は胸に抱き締めた状態である。
「他に君の持ち物はあっただろうか?」
「鞄が棚の中に」
私が答えたタイミングで、アメシストが鞄を取り出してくれた。
「それなら今持った」
「なら大丈夫です」
「じゃあ、出ようか」
アメシストは告げて、迷わず窓を蹴破った。枠ごと外れて落ちていく。
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