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エピローグ

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 日帰りのはずのフィールドワークが一泊二日になってしまって、王立魔導研究所では始末書を書かされた。緊急時には連絡が必要なのにそれさえ怠っており、捜索班が出るところだったのだ。

 まあ、予期せぬ事態はあったけれど、他の人が出るほどじゃないし……まさかイチャついていて外泊することになったとは、恥ずかしくて言えないし……

 関係する部署に二人で頭を下げに行き、始末書を提出して落ち着きを取り戻したのは、帰宅した翌々日のことだった。




 昼食休憩後の王立魔導研究所、第五研究室。始末書を届けた私たちはその足で食堂に行き、一緒に食事を終えて戻ってきたところだ。

「いやはや、おおごとになってしまったね」
「そうですね……次はもう少し余裕を持ったスケジュールにしましょう」
「それがよさそうだ」

 アナスタージウス室長は大きく肩を竦めた。もうこりごりといった様子だ。
 これまで彼は、物事を計画どおりに進めてきた。今回のフィールドワークの内容も危険性が低いものであり、日帰りだと説明してから出掛けたため、なかなか帰らない私たちを職員の人たちはとても心配したらしい。
 研究所の損失になるからすぐに様子を見に行ったほうがいいと言い出す者までいたそうで、どれだけ職員がたに大事にされているのかも身にしみて感じるはめになった。申し訳ない。

「――さて、フィルギニア君?」
「はい、何でしょう?」

 午後は何の研究をしようかと考えていたら、アナスタージウス室長に急に話しかけられた。彼の手には二つの木製のマグカップがある。

「君の体質がどんなものなのか、今はそれが一番興味があってね。仮説が正しいのかを知るために、また薬湯を作ってみたんだ。一緒に飲んでみないかい?」
「え、いいですけど……効能は?」

 私は素直に取りに行き、カップの中を見る。
 以前飲んだものはお茶のような感じだったが、今受け取ったマグカップにはドロッとした液体が入っている。湯気が青臭い。あまり美味しそうではないが、健康にはよさそうな感じがした。

「それを教えちゃったら、実験にならないよ。無意識の刷り込みで、反応が変わっちゃうかもしれないから」
「はあ……」

 アナスタージウス室長がとてもワクワクした様子で語ってくるのが気にかかる。だが、一応信用している相手なので、受け取ってしまった以上全く口をつけないわけにもいかない。

「では、いただきます」

 彼の視線がすごく気になるが、完全に冷めてしまったら効果が変わってしまうかもしれない。気が進まなくても飲んでおこう。
 水面に息を吹きかけて、一口すする。想像よりも口当たりはさっぱりとしていて、ググッと一気に飲めた。

 何故だろう、室長の眼鏡が一瞬光ったような……

「……んっ?」

 身体がポカポカとしてくる。それは温かいものを飲んだせいではなさそうだ。

「あ、あのっ……室長、これって……」
「うん。薬湯事件で飲んだものの改良版。避妊薬入り」
「な、何考えているんですかっ!」

 うう、いかん。身体がムズムズしてきちゃった……

 ついモジモジしてしまうと、アナスタージウス室長のほうから私に近づいたきた。

「うんうん。軽度の発汗があるね。目も潤んできた」
「し、しつちょ……」
「呼吸も上昇。この様子だと心拍数も上がってそうだね。肌も上気してきたし」

 迫られて、私はジリジリと後方に追い詰められる。お尻に作業台が当たって、そのまま背中から倒れ込んだ。

「やっ……待って、室長……」

 起き上がろうとして動かした私の手はすぐに彼に捕らわれて、作業台に両方まとめて押さえつけられた。

「確認するだけだから。失礼するね」

 スルッとスカートの中に手を入れられて、ともすると下着の中へと簡単に侵入を果たす。秘裂を二本の指で広げられると、トロリとしたものが溢れ出した。

「やぁっ……恥ずかしいからっ……誰か来たらどうするんですかっ……ああん、い、いやっ」
「大丈夫だよ、先手は打ってあるから。――安心したところで、僕に何をしてほしい?」

 なんてことを言ってくるのだろう!

 すでに入口はピクピクと震えていて彼を待ちわびている。でも、私はそれを認めたくなかった。互いの気持ちを確認済みとはいえ、まだ勤務中だ。私の良心が許さない。

「ほら、言って。僕が何でもしてあげる。だって、今から三日間を休暇にしたからね。所長からも僕たちの休暇が少ないことに文句をつけられていたんだ。せっかくの機会でしょ? そういうわけで、お休み中だから誰も来ないよ」
「わ、私の休暇申請を勝手に出さないでくださいっ!」
「君の上司として、必要な処置をしただけなのに、怒らないでよ」

 そう告げられて口づけをされる。触れるだけが食むようになって、舌が入れられる。

「んんっ……!」

 私の中に侵入してきたのは舌だけではなかった。秘裂を往復させていた指先が、蜜壺の中に突き立てられたのだ。

「はぁ……ここは温かくて柔らかいね。中もたっぷり濡れてる。一度達してから仕上げのほうがいいかい?」

 甘い囁きに抵抗して、私は首を横に振る。
 眼鏡の奥に、情欲に濡れた目がある。私が言葉で拒否したところで、最後まで愛し抜くのだろう。

「そう。それならたっぷりと焦らして、それから美味しくいただこうかな。素直になったほうがいいと思うよ、フィルギニア」

 この人は本気だ――私はすぐに降参して、自ら腰を動かす。薬湯の効果を消すには、達するのが手っ取り早い。

「いい子だね。そういうところも、僕は好きだよ」

 すごく嬉しそうな笑顔が見られただけでも満足だったが、彼が私にたっぷりくれた愛情がさらに心地よかった。

 ああ、大好き。アナスタージウスさま。




 こうして彼の研究対象になってしまった私だが、実は私の体質がアナスタージウス室長が予想していたものよりも、とんでもなく厄介なものである事実に気がつくのは、もう少し先の未来のことである。

《終わり》
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