コレは流行りの転生ですか？〜どうやら輪廻転生の方でした〜

本編

ピクニック万歳

「ルシーの分が小さくなっちゃったね。優しい子にはご褒美に僕のを半分あげる」

ギル兄様が自分の焼き菓子を半分にすると、その半分をもう一度半分にして口元まで持ってきてくれた。

「ほら、あーんだよ」

いいんですか！？
トカゲは自分の友達だと思っているし、自分とオヤツを半分こするのはいつもの事だ。
自分もトカゲも胃が小さいので丁度いいのだ。
だが、ギル兄様があーんしてくれるのなら胃がはち切れても食べる。

「あーん」
「美味しい？」
「うん！」

自分で食べた焼き菓子と全く同じ物なのだが、味が飛躍的に向上している気がする。
これはギル兄様のエキスですか！？
飲み込むのが勿体無い。

「もう1個あるよ。あーんして？」

どんなご褒美ですか！？
2回も良いんですか！？
ギル兄様がニコニコと促してくれるので、卑しくも口を開けてしまった。

別にこれが初めてのあーんではない。
というより、お屋敷では毎日の様にしてくれるのだが、毎日がご褒美状態で毎回嬉しすぎて興奮してしまう。
プリンやゼリーの時などは、スプーンも一緒の物を使うので興奮状態がMAXになってしまうのだが、仕方がないだろう。
間接キッスをみすみす逃す信者はいないと思う。
毎回、鼻血が出ない事が奇跡だ。

しかし、今日はお屋敷の中ではなく外だ。
あまりお行儀の良くない行為だとわかっているので、ギル兄様の面子の為にも外ではあまりしない様にしているのだが、ここにはお爺さましかいないので我慢が出来なかった。
ピクニック万歳！！

「それならギルバートにはわしの分を半分やろう」

お爺さまもなんてお優しいんだ。
2人はあーんで食べさせ合う事はしなかったが、ギル兄様はお爺さまから貰った焼き菓子を美味しそうに食べていた。

「そろそろアルバートの仕事も終わった頃だろう。騎士団に帰るとするか…」

楽しかったピクニックもどうやら終わりらしい。

「ルシー、おいで？帰りは僕に抱っこさせて？」

今日は自分の命日になるんですか…。
良いことばかりが起きている気がする。
昨日、あれだけ迷惑をかけたのにギル兄様は変わらず優しくして下さるし、新しい友達も増えた。
帰りまで抱っこしてもらったら贅沢すぎる気がするのだが、自分にはその誘惑を弾き飛ばせる精神力はない。
勢いよく両手をあげて抱っこをお願いした。

「今日は楽しかったね」
「ぼく、にいしゃまと、いっしょ。いちゅも、たのちいよぉ」
「ふふ。僕もだよ。ルシーに出会えてから毎日が楽しいんだ。だから、何処にも行かないでね」
「うん。じゅっと、いっちょ！やくしょくねぇ」


言質は取ったので、今後も立派なストーカーになれる様に精進します！