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本編

おやつの時間

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「お爺様、玄武が我が家に来るらしいのですがケルベロスはどうなりますか?今までは獣舎でしたが、ルシーがいるのにあっちに帰りますか?」
「……偶に獣舎にも泊まるが、これからは屋敷で過ごすらしい」
「そうでしょうね。家族の相棒特権らしいですよ。ただ、これからはフリーの獣が我が家に押しかけて来そうですが…」

自分が亀の甲羅に乗って散歩している間に、ギル兄様とお爺さまは何か相談していたようだ。
ただ、亀ののんびりした歩みに付き添う様に、熊と兄犬が横を並んで歩き、虎は小さくなって自分と一緒に背に乗って遊んでいたので、あまり聞こえていなかった。

「ウーちゃん、だいじょぶ?ちゅかれた?」

亀の1日の運動量などは知らないが、子供だとはいえ人を乗せて歩かせているので疲労は半端ないと思う。
亀は全く歩みを止めないのでわからないが、無理をしていないか心配だ。

「きゅうけい、しゅる。なんか、たべりゅ?」

熊と虎、兄犬はお昼にサンドイッチを一緒に食べたのだが、亀は何を食べるのだろうか。
イメージ的には草なのだが、魚も食べると思う。
ただ、今現在あるのはシェフがオヤツに持たせてくれた焼き菓子だけだ。
湖で釣りをして調達してもいいのだが、それなら亀が自分で獲った方が早いだろう。

「にいしゃま、ウーちゃんと、おやちゅ、たべちゃいのぉ。ウーちゃん、たべれりゅ?」
「どうかな…。……ルシーから貰えるならみんな泥団子でも食べそうだけど…」
「う??」
「獣だし、普通の亀じゃないから大丈夫だよ。食べなかったら、ソラにあげれば喜んで食べるよ」

ギル兄様から焼き菓子をもらい、敷物の上に座ると獣達も近くの寄って来てくれていた。
亀はどうやら虎が魔法で浮かせたらしく、そのまま運ばれてきた様で先頭にいる。
1番頑張ってくれた上に、1番お腹も空いているだろう。
焼き菓子を1つ、亀に差し出すとムシャリと食い付いてくれた。

よく見ると亀には歯がない事がわかる。
だが自分と違って顎の力がありそうだ。
肉も楽々食べられそうで羨ましい。

続いて、兄犬にも焼き菓子を差し出した。
頭が3つあるので順番に1個づつだ。
3匹とも、自分の手をペロリと舐めていくので、手ごと食べられてしまうのかとヒヤヒヤしてしまった小心者の自分が情け無い。

熊と虎は慣れているからか、口を大きく開けて準備万端で待っていてくれた。
ポイポイと入れていく。
人間用のオヤツなので、獣にとってはとても小さく食べた気にはならないだろうが全員嬉しそうにしてくれる。

最後に自分の焼き菓子を少し千切り、トカゲにもあげるのを忘れない。
トカゲも器用に前足で固定して食べている。
本当に可愛いヤツだ。
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